雪の三朝温泉@鳥取
年末は山陰にズワイガニを食べに行こうと思った。
ズワイガニは揚がる漁港の関係で、鳥取より東に行かねばいいズワイガニを食べられないということになっている。それで以前に訪れ、美味しいズワイガニをたらふく食べたことのある、鳥取の三朝温泉の旅館を訪れることにした。
年末、ちょうど大規模な寒波が日本全体を来襲し、山陰あたりは大雪になるとの予報である。これは、雪見酒、雪見温泉も楽しめるいい滞在となりそうだ。
ただ、大雪も程度を越えると運転が困難になることもありえる。四駆スタッドレスだけでは準備万端というわけにもいかず、念のためチェーンも用意し、スタック脱出用の道具もそろえ、いざ出発。
高速道路は冬タイヤ規制の区間がいくつかあった程度で順調に走行できたが、湯原ICを下りてから、三朝温泉に至る国道482号線が除雪も行われていない雪まみれのハードルートになっており、特に峠を越えてからの下り道が厳しいものがあった。それでも標高が下って国道179号線に合流したころには道路は除雪もされており、それからは普通に運転できて、無事に三朝温泉に到着。
本日の宿は「旅館大橋」。昭和7年創業、82年の歴史を誇る老舗旅館である。
建物は当時のものが残されており、旅館そのものが国指定の文化財になっている、たいへん由緒ある宿である。
フロントで受付を済まし、しばし外を散策することにする。
三朝温泉は温泉が極上であることでも有名であり、長い距離を運転した疲れを癒すためにもまずは温泉に入りたいところであったが、温泉に入ってしまっては、雪降る寒いなかを散策する気になれるはずはないので、ここは我慢。
三朝川にはいくつも橋がかかっているけど、ここは橋の半ばに足湯があることから、もっとも人気高い橋である。
…ただし、冬期は足湯は休業中であった。
三朝温泉を流れる三朝川。
6月にはホタルが舞飛ぶことでも知られている。
大橋を正面から見た図。
昭和7年という昔、こういう山間の地にこんな大きな旅館が建てられてことを不思議に感じてしまう。
三朝温泉の路地に入ると、タイムスリップしたような、昭和を感じさせる店々が並んでいる。これがシャッター街とならず、現役の店々であるところが、三朝温泉の凄味を感じさせるところである。
三朝温泉名物、河原にある露天風呂。
さすがに日のあるときには使っている人はいなかった。
鳥取大学出身の知合いに聞いた話。「大学時代、三朝温泉にはよく訪れていたけど、冬にこの風呂に入り、身体があったまったのち、すぐわきの積もった雪に身体を投げ出して、それで身体を冷やして、また風呂に入るのが極楽的に気持ちよかった。」とのこと。
…若いからやれることで、それはぜったい身体に悪そう。
三朝温泉の守り神である、三朝神社。
静かでこじんまりした温泉地、三朝温泉にふさわしい雰囲気をもった神社である。
冬の三朝温泉で最も私が好きなスポットが、この三朝神社の手水所。
手水所は神社に必ず備え付けられているので、手水所は数あまたあるわけだが、三朝温泉の手水所は極めて独特で、なんと流れる水は温泉なのである。
それで、冬の厳しい風景のなか、温かな湯気を立てながら、こんこんと流れる手水所の湯は、とてもほっこりした、癒される光景をつくっており、これを見るだけでも冬の三朝温泉に来る価値はある、そういうところである。
三朝温泉を訪れた日は一日中雪が降っていたが、翌日は晴れであった。
朝明けのもと、陽の光を浴びて、霧氷や、積もった雪が輝きだす。
空は澄み切って青く、雪は陽に輝いている。
雪の三朝温泉、とても美しい風景を見ることができた。
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