イタリアワインと和食・鮨のコラボ@光洋
関東に「ヴィナイオータ」という、マニアックなイタリアワインを輸入している酒店があり、その手のワインの紹介を兼ねた、「ヴィナイオータ」開店15周年記念イベントが、光洋で開かれたので行ってみた。
ごま豆腐の雲丹乗せと蛸の柔らか煮。
ワインは微発泡の白。生酒みたいな雰囲気の面白いワインであった。
「前菜その2」という感じで、光洋のスペシャリテとなっている金目鯛の松前漬け。
金目鯛は抜群の素材を10日間寝かせたもので、旨み成分濃厚。
そしてこれには、イタリアワインでなく、定番のゲヴェルツトラミネールのアルザスワイン。
この組み合わせはたいへん良いと思う。
冬瓜と白ズイキ アワビと車海老の吉野餡。
純粋な「和」である椀料理に合わせるワインは、ワイン造りの天才であるパウロ・ヴォドビーヴェッツ氏によるヴィトフスカ2007。
パウロ氏がいかに天才であるかについての、大田社長の熱い説明あり。ついでに社長持論による「天才とは何か」の説明もあって、…要は、天才もワインも紆余曲折を経て熟成成長するとのことであり、ワインを追い続けた人にしか解らぬところもある含蓄深い話であった。
焼物は、カリスマ漁師である村さんの獲ったスズキの塩焼き。
よく手入れされたスズキに上手に火が入れられ、尋常ではない身のほっこり加減がよろしい。
ワインは、これもパウロ氏によるヴィトフスカ・アンフォラ2006。
大田社長の説明によれば、パウロ氏の凄さは、自分の造ろうとしているワインの姿をはっきりとデザインして、そしてその通りに造り上げるところだそうだ。そして、ワインというものは、葡萄品種や畑ではなく、何よりも造り手によって評価されるべきものであり、「○○が造った」ということがまず一番重要だそうだ。
パウロ氏の、凝りに凝ったワインの製造法を聞き、この個性あるワインを飲むと、たしかにそれは納得してしまう。
真鯛の煮漬けは、洋風の味付けを少々用いて、赤ワインにあうように工夫されていた。
ヴァルポリチェッラ・ターゾ2009と2004。香り良く、飲みやすいワインである。
握りは10貫ほど。ワインは4種類くらいを個人の好みにあわせて。
今回は煮きり、煮ツメとも強めの印象があったが、マグロ、鮭、穴子といったところは、味わいが豊かなこともあり、ワインがけっこう合う鮨だったと思う。
やはり問題はヒカリモノ系、それに白身系か。
コハダはいつもより、強めに塩と酢が利いており、純江戸前スタイル。
こうなると鮨自体の個性が強く、ならば、辛口の日本酒で飲みたいなあ~と、やはり思ってしまう。
鮨にワインを合わせることは、今は当たり前に近くなってきているが、江戸前スタイルで仕上げた鮨とワインのマリアージュは、うまくいけば絶品になるはずであり、試行錯誤の末に面白いものがあるのは違いなく、これからの楽しみになりそうである。
食の世界は幅広く、奥深い。
マニアックで美味しいイタリアワインに、それに負けじと対抗した光洋の料理、とても楽しい会であった。