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April 21, 2013

映画:変態仮面

Hk

 映画「変態仮面」の予告編をみて、これは近年の邦画史上稀にみるバカ映画になるに違いないと確信し、上映を楽しみにしていた。ただ、原作の漫画が90年代に少年誌に連載されていた一部受けするマニアックなものであり、さらにバカ映画を好む客層が本邦では極めて少数派のため、とても集客は望めるようなものではなく、九州では博多のT・ジョイ一館でしか上映されていない。
 しょうがないので、福岡まで行って見て来た。

 あらすじを簡単に書く。

 正義感あふれる警察官であった父と、SM倶楽部現役女王様である変態の母を持つ高校生色丞狂介は、ある日銀行強盗に襲われた同級生を救出に行ったとき、変装するためのマスクをかぶる際、誤ってパンティを被ったところ、それによって母譲りの変態の血が目覚め、己の潜在能力を最大限に発揮できる超人「変態仮面」として覚醒した。
 狂介は変態仮面に変身することにより、正義の味方として、街の悪人退治を行っていく。
 ある時、狂介の通う高校の乗っ取りをたくらむ悪党により、高校が襲撃された。しかし変態仮面の活躍により彼らは追い払われた。
 悪党は高校を乗っ取るには変態仮面を排除しなければならないことを知り、様々な刺客を送るがいずれも撃退されてしまう。
 ついに悪党は、最強最悪の刺客として、ニセ変態仮面を送り出した。
 そして変態仮面とニセ変態仮面の対決が始まるが、このニセ変態仮面、ニセどころか、本家の変態仮面を遥かに凌駕する、真の変態であった。その圧倒的な変態力に、狂介は心身ともに打ちのめされてしまう。
 狂介に復活の日はあるのか?

 …とまあ、あらすじ書いていると、よくもこんな下らない話を映画にするなあとも思ってしまうが、この下らない話を、真剣に懸命に役者が演じており、映画力に満ちた場面の数々が造りあげられている。

 主役変態仮面を演じる坂本亮平の、究極にまで鍛え上げられた身体を見るだけで、彼のこの役への思い入れも分かろうものだが、さらに、まるでマトリックスを思い起こすポージングも、各所で見事にその様式美が決まっている。

 それに加え、ニセ変態仮面を演じる安田顕の変態演技っぷりといったら、…役者生命、さらには社会人生命をここで捨ててもいいといった覚悟まで感じられる、鬼気迫る怪演である。
 とりわけ、夜の東京タワーを背景にしたビルの屋上で、変態仮面を前にして長々と己の変態ぶりを演説する長回しの場面は、変態映画(そういう分野があるのかどうかは知らんが)史上、最大級の名場面といえよう。
 いやまったくノミネートが可能なら、本年の邦画助演男優賞を獲れるほどのレベルであった。

 ただ映画全体としては、練り込みがイマイチ足らないようで、悪党や刺客の存在感が薄い。たぶん予算の関係で、そっち方面にいい役者を確保できなかったのだろう。メインの3人と、それに変態母役の片瀬那奈が達者な演技をしていただけに、残念ではある。

 けれども、それらの弱点は、変態仮面とニセ変態仮面の活躍で十分に補われており、そこの場面だけでもこの映画は観る価値が(一部の者にとっては)ある。

 製作者の当初の予定通り、この映画は営業的にはたぶんコケるであろうが、しかし存在感は強く、「記録には残らないが、記憶には残る映画」と称されることになるであろう。
 万人にはとても勧められないが、バカ映画が好きな人には是非とも勧められます。

 (…この映画、日本よりアメリカやフランスのほうが受けるとは思う。既に海外での上映館のほうが多いとも聞くし。
 日本独自の映画として、「クールジャパン(苦笑)」名義で、世界に発信できるコンテンツではなかろうか。
 ついでなので、もしかしてHentai Kamenで検索してきた外国の人のために、簡単な紹介文も英語versionフランス語versionで書いておいた。)


 …………………………………
 変態仮面 公式サイト

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