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December 22, 2012

鮨 仙八@熊本市

 熊本市花畑町の「仙八」は、質のよい魚と、日本全国から揃えた銘酒が自慢の、鮮魚系寿司割烹みたいな店であり、私が熊本市に居たころよく通っていたのだが、店主の息子が代を継ぎ、江戸前寿司店に変わったという話を聞いて、ひさしぶりに行ってみた。

 店は二階から地階に移っており、店の位置も変わったことから、完全に代変わりしたのだろうなと思い扉を開けたら、まだ前店主はヅケ場に立っていて、息子さんを手伝っていた。
 「久しぶりですね~、何年くらいですか」などと挨拶されて、かれこれ7年ぶりくらいですかねえと返事をする。

 息子さんは、東京の西麻布の「真」という寿司店で修業し、その修業の成果を熊本で見せたいと、以前の仙八とはまったく異なる、本格的な江戸前鮨を出すようにしたとのこと。
 まずは、肴から始めたのだが、たしかにどれも色々と仕事をしたものが出て来た。

 突出しは青森産つぶ貝。それから鱈の白子。造りは鯛、〆鯖、サワラであり、造りに合わせて三種類の醤油の皿もセットである。味濃厚なタイラギは、炙って海苔で巻いて。

【四種盛り】
1

 左から平鱸の真子、烏賊印籠詰め、煮浅蜊、煮牡蠣。

【珍味】
14

 これはボラの胃袋(いわゆるボラのヘソ)の炙り。

 それから、茶ぶりナマコのコノワタ和え。唐墨を炙った薄切り餅と。

 いずれも、じつに酒に合う肴である。

【茶碗蒸し】
2

 茶碗蒸しは、熊本の牡蠣。
 玉子も牡蠣も蒸し方も、見事なものである。

 これらの肴ののち、握りへと。

 握りは純江戸前であり、シャリは赤酢と塩のみで砂糖は使わず、鮨種もかならず手を入れている。
 鮨種に関しては、熊本の魚市場は鮨に向いた手入れをした魚はあまり上がってこないので、熊本の有名寿司店は築地や福岡の魚を使うことが多く、また仙八も最初はそうしていたのであるが、それでは師匠の鮨と一緒だと思い、生産者とも連絡をとりながら、熊本の良い素材で、地元のものにこだわった鮨を握ろうとしているとのこと。

【鯛】
3

 鯛は昆布〆。シャリは小ぶりで、ネタは少々厚め。
 形がよく、シャリのほどけ具合もよい。

【コハダ】
4

 熊本天草はコハダの有名な産地なのであるが、需要がないため、その多くは東京に行ってしまう。それを一部熊本で抑えて、熊本産のコハダが出てきます。

【キハダマグロ】
7

 地元の魚にこだわっているので、仙八ではあまり鮪は出ないのだが、本日はいいキハダマグロが一本だけ天草に上がったそうで、それが出てきました。

【車海老】
10

 車海老は茹でたての温かく甘いもの。

【カマス】
6

 よく脂の乗ったカマスは、塩で〆て、それを炙って。

【薄焼き玉子】
13

 江戸前寿司店では、やはり白身を練り込んだ玉子焼きを食べたいものである。
 手間暇のかかる料理であるが、これがあると、コースが引き締まる気がする。

【干瓢巻き】
16

 鮨は、写真のものに加えて、サヨリ、スミイカ、カスゴ、ブリヅケ、煮ハマ、ウニ、穴子、といった丁寧な仕事を加えたものが出てきて、〆は干瓢巻きを頼んだ。
 私がやたらに酒を飲んでいるせいか、干瓢の余った分もツマミで出てきた。


 肴、握り、いずれも堂々とした江戸前系のものであり、とくに酒好きの者にはたまらないものであった。
 この手の寿司店は今まで熊本にはなかったのであり、熊本ではなかなか受け入れられなかったとは思うけど、元々が老舗店であり、常連客をがっちりつかんでいたこともあって、うまく新機軸に行けたようだ。
 それに加え、若い店主は、自身の工夫を加え、「熊本の鮨」を出すという情熱も高く、この店は熊本の将来の名店として期待できると思う。

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