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December 06, 2012

恐いトンネル

 中央自動車道で、笹子トンネルの天井が崩落し、多数の死傷者が生じたという痛ましい事故が起きた。

 この報を聞いたとき、私は「トンネルって崩落するんだあ」と驚いた。

 トンネルというものは人工構造物であるため、崩落する可能性はあるには決まっているのだが、それでも近代の、馬蹄形あるいは半円形に造られ、コンクリ・鉄筋等で固めたトンネルというものは、建築物中最も安定的な構造物であり、滅多なことで崩れるようなものではないはずだからだ。
 だいたい、これほど地震が多く、かつ莫大なトンネル数を持つ我が国でも、トンネルが自壊したような事故は殆ど起きていない。

 それゆえ、何故?と思ったのだけど、詳しい情報が分かるにつれ、「トンネルそのものが崩れたわけでなく、トンネルに吊るしていた天井板が落ちた」という事故であったことが分かり、納得はできた。

【笹子トンネル内部】
Tunnel

 上が事故現場の写真であり、このように天井板が二つに割れるようにしてV字型に崩落したのである。


 さて、トンネルは自転車乗りにとって天敵のような存在であり、トンネルに入ると暗くて視野が悪く、騒音がひどくて音による車の情報が分かりにくく、路面は荒れていることが多く、清掃も出来ていないことが多くて、走行中には最大限の注意を払う必要があり、サイクリングの爽快さなどまったくない。

 それでも最近できたようなトンネルは、照明がしっかしりしていて明るく、また路側帯も余裕を持って広いので、だいぶと安心感をもって走ることができる。
 けれども、何十年も前に造られたトンネルは、狭いし、暗いし、路面は荒れているわで、それが長大なだトンネルであった場合、走行中ずっと命の危険を感じる、苦難の道となる。

 半年前、私は日本を縦断するようにサイクリングしたので、日本全国のトンネルを数多く通っている。それゆえ、各々のトンネルについてはけっこうな知識を持っているが、そのなかで、最も恐かったトンネルは、福島と山形の県境にある二つの栗子トンネル、東栗子トンネルと西栗子トンネルであった。

【西栗子トンネル】
Kuriko_2

Kuruko2

 この西栗子トンネル、暗い、狭い、うるさい、長い、汚い、と何拍子も揃った、おそろしいトンネルであり、2.4kmのトンネルを越えて脱出したときは、生還の喜びを感じたくらいであった。
 …しかし、そのあと、同様のトンネルである東栗子トンネルが待ち構えていたのには、心底うんざりしたものであったが。

 そして、この栗子トンネル、他のトンネルと比べて圧迫感がより強かった。
 トンネルというのは本来馬蹄形になっているはずなのに、上は平行に横切られ、そして側方も垂直に切られており、トンネル全体が押しつぶされているような、妙な重量感が感じられ、非常にいやな印象を受けた。

 トンネル内で立ち止まって写真を撮る余裕などなかったから、他のweb pageを参照させてもらうが、(→ここ)、このような形のトンネルであった。こういう形のトンネルは、たいへん珍しかったので、よく覚えており、なんでこういう形にしているのだろう、と疑問にも思った。

 そこに笹子トンネル崩落の解説を見て、なるほど栗子トンネルは、天井吊りあげ式のトンネルだったんだな、と知った次第。
 さらに天井吊りあげの構造を調べると、こういう脆弱なシステムでは、今まで落ちたトンネルがなかったのがよほど不思議だよなあとも思った。

 トンネルは崩落することはない、と思い込んでいた私にとって、これからトンネルを走るとき、新たな心配の種が出来てしまったわけである。

 とはいえ、この形式のトンネルはやはり希少なものであり、国土交通省の通達(→ここ)によれば、九州では九州縦貫道の加久藤トンネルと肥後トンネルしかないとのことである。
 ならば、九州で走っているかぎり、自転車とは関係ないわけで、いちおう一安心ではある。


 ついでながら、トンネルについては、吉村昭の二つの小説、「闇を裂く道」、「高熱隧道」がある。私のトンネルの工法の知識はおもにこれによるが、二つとも名作であり、建築・道路等が好きな人には必読の小説である。


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