冬の安春計
本日の徳利は新しいもので、ロイヤルコペンハーゲンの土で焼いた徳利である。唐津焼とは少しばかり変わった風情の優雅さがある。
ぐい呑みは、唐津そのもの力強いもの。
これらの酒器を使うだけでも酒が美味しくなりそうだが、安春計は、鮨も肴もまた酒によくあうのであって、いい酒器、美味い酒、鮨、肴で、冬の安春計を味わい尽くそう。
自家製唐墨は、天日干しは控えめで、しっとりとした食感。旨味、塩加減、たいん良し。大根との相性も良し。
今の時期、唐墨造りは一段落していたのだが、市場に上物のボラの卵巣があったため、独占欲が湧き、購入してまた造ってしまったそうだ。
大きく、色もよく、立派な唐墨である。
唐津名物、河島豆腐はしばらく出ていなかったのだが、近頃豆腐の調子が良くなってきたとのことで復活。
大豆の味濃厚な河島豆腐にはシンプルに塩が食べるのと、これも濃厚な雲丹諸味とともに食べる二種があり、…どちらも美味。
カツオと名は付けど、どちらもそれぞれ個性的。
とくにヤイトカツオは独特の脂の乗りが見事である。
安春計の冬の名物、北海道は余市のアン肝。これをおろしポン酢で。
普段食べるアン肝とは、隔絶したレベルにある、澄んだ、そして豊穣な味のアン肝。
これも安春計の冬の名物。
黄金色のスッポンスープと蕪。
酒とその同量の水だけでスッポンを煮込んだスッポンスープは、豊かで、深く、心と身の両方が温まる絶品である。
店主にいわせれば本日のコースは、「痛風コース」だそうで、たしかにプリン体たっぷりのものばかりである。
そして、プリン体が多いということは、それだけでも美味いという条件になってしまうのが、またなんであるが。
握りのほうは、平目昆布〆、赤身、中トロ、コハダ、烏賊、煮ハマ、カスゴ、縁側、鰤のヅケ、サワラ、雲丹、穴子、といったところ。
冬を迎えて、鰤の脂がのっている。それをヅケにして、さらに旨みを増して鮨となる。
魚編に春と書くサワラ(鰆)は、春だけが旬というわけではなく、冬場に脂がのる魚なので、今の時期の鮨もまた美味し、である。
旬といえば、やはり鮪は今が旬。
赤身の味も濃厚で、そして中トロの脂の乗りもまたほどよい加減。
鮪は築地からのもの。
今回のものは、大間港の「第十一長宝丸」が獲って来た「活き〆黒ダイヤ」なるブランド鮪らしい。
黒ダイヤって、石炭のことだったはずだが、石炭の採れなくなった現代日本では、黒鮪のほうが黒ダイヤになっているようである。
まあ、たしかにダイヤ並みの価値はあるからなあ。
ついでながら、安春計が今年築地から仕入れた鮪の札の一部を紹介。
鮪は日本のどこでも獲れるのであるが、それでも良いもはまずは築地に行くので、そこでの産地の証明の札も一緒に仕入れて、福岡にやってくるのだ。
なんのかんのいっても、やはり大間がいい鮪を生産しているようですね。
握りの〆はいつものごとく穴子で。
ほっこり、やわらかな穴子は、味も食感もすべてよろしいのであった。
安春計は春夏秋冬食わねば、気が落ち着かないが、今年の冬もしっかりと安春計の料理が味わえ、満足した気分で年を越えられそうだ。
「寿司」カテゴリの記事
- 寿司:鮨とみ田@出雲市(2019.04.29)
- 大海寿司&別府の変遷(2019.03.30)
- 三社参りサイクリング&光洋(2019.01.05)
- 鮨み富@銀座(2018.12.28)
- 登山:油山@福岡市 & 忘年会(2018.12.22)
The comments to this entry are closed.
Comments