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December 16, 2012

「七面鳥撃ち」の夜 -衆院選雑感

 本日は第46回衆院選が行われ、深夜のTV開票速報を見ていると、民主党候補者が次から次へと落選し、選挙前の230議席が4分の1の57議席まで減るという、…まあ、よくも落ちるもんだと呆れざるを得ない、壮大な惨敗であった。

 この尽きることなき落ちっぷりを見ていると、「七面鳥撃ち」なんて言葉をひょいと思い出した。

【マリアナ沖海戦】
Sea_war

 七面鳥撃ち(Turkey Shoot)は、太平洋戦争の終盤、1944年6月に行われたマリアナ沖海戦のときにアメリカ海軍空母パイロットが使った言葉である。
 マリアナ沖海戦は、マリアナ諸島の覇権をめぐって、日米の両空母機動部隊が真っ向勝負を行った海戦である。この戦いは日本側の惨敗に終わり、日本の空母機動部隊は壊滅状態となり、この後日本は制海権を失い、敗戦への道まっしぐらとなった、そういう重要な戦いであった。

 マリアナ沖海戦が日本の一方的な敗戦になったのは、航空機の性能に、大きな要因があった。
 日本の主力戦闘機零戦は、戦争初期には米軍を圧倒する性能を持っていたが、戦争が進むにつれ、米国は兵器の開発を進め、この時には高性能戦闘機F6Fヘルキャットが実戦配備となっていた。ヘルキャットは攻撃力、防御力、操縦性、航続距離、全てにおいて零戦に勝り、さらに最新式兵器であるレーダーも装備されていた。このような怪物戦闘機に、時代に取り残されていた零戦がかなうわけない。
 空母から発進された零戦は、それこそ、不器用に飛ぶ七面鳥を撃つような気安さで、ヘルキャットによって、ばったばったと撃ち落とされていった。
 マリアナの海の上の一方的な虐殺劇であったこれを称して「七面鳥撃ち」と言われていたわけで、…負けた日本人としては腹が立つ話であるが、まあとりあえず、「戦争するときは兵器は常に最良のものを用意する必要があり、そういう兵器を兵士に供給できない国は、その時点で戦争をする資格がない」という教訓を、ここから覚えておこう。

 「七面鳥撃ち」の説明は以上。

 まあ、そのような思い出したくもない不愉快な言葉である「七面鳥撃ち」を、図らずも選挙速報を見ていて、思い出してしまったわけだが、この言葉を思い出さざるを得ない、極端な惨敗であった。
 なにしろ前首相や、官房長官、財務相、文部大臣等の現職閣僚が次から次へと落選するなんだから、その負けっぷりも徹底している。

 ただし、この惨敗も、3年3ヶ月前の民主党が躍進した第45回衆院選ですでに予想はついていた。
 なにより党の重役の前原氏が忠告していた。
 前回の選挙では民主党は「一ヶ月26000円の子供手当」「ガソリン暫定税撤廃」「高速道路無料化」等のマニュフェストとやらを売りにして戦ったわけだが、前原氏は「そんなものを公約にしても財源があるはずがなく、実現出来るわけがない。甘い言葉で今回は選挙に勝ったとしても、公約が実行出来るわけもないんだから、結局民主党は詐欺師集団と糾弾されることになる。そうなれば次の選挙では民主党は壊滅だ」というふうなことを主張していた。
 前原氏の言ってることは極めてまともなことであるが、当時の民主党執行部は「財源のことなど言ってると話が進まない。ともかく選挙に勝つことが肝心だ。財源はそれからでもなんとかなる。今後財源のことを言うことはまかりならん」と強引に突っ走り、…その暴走の果てに、3年3ヶ月後の今日の日を迎えたわけ。

 マニュフェスト詐欺もひどかったが、さらに民主党の鳩・菅政権は、「無能な者に政治をまかせると国はたいへんな被害をこうむる」ということを国民に知らしめたことが唯一の功績みたいな、日本の政治史上まれにみる迷惑な政治であった。

 そのあとを継いだ野田首相は前任者二人の尻拭いに大変な精力を使わざるをえない、気の毒な人であったが、この人はずいぶんとまともな思考の持ち主であり、政治力もなかなかのものを持っていた。
 こういうリアリストが党首に選ばれた点、民主党にも自浄能力はあったということになる。

 そして、その自浄能力が働き、民主党の一番駄目な部分がどんどん切り離されていったので、今の民主党は3年前とは相当に違った組織になり、またドタバタながら与党経験も積んだので、政権担当能力は備えてきたと思われる。
 かつ、惨敗を喫した民主党ながら、小選挙区で勝ち残った人たちは、きちんと仕事をしてきた、能力のある人たちであり、政党の骨格はかろうじて保たれている。まあ、菅とか横路とか辻元とか、あれな人たちが比例で蘇ってしまったのは、現執行部としても遺憾なところかもしれんが、現実的には彼らの居場所はもう党にはないであろう。

 民主党には捲土重来を期待するとして、…ただし、今回の選挙の結果、自民党293議席は取り過ぎだろうし、民主党57議席も減りすぎだろう。
 「政権担当能力のある二大政党が切磋琢磨しあう」というのが、小選挙区制導入の目的であろうけど、今の日本の小選挙区制度は、数の変動が激しすぎる。
 これは将来的に改善の余地はあるでしょうな。


 さて、とりあえず今回の選挙では、脱原発とやらを唱えた政党は、すべて惨敗となった。民意はそんなものにはなかったのである。
 そして、原発稼働派が大多数になったことから、はやく九州内の原発を再稼働させてもらいたいものだ。もうそろそろ電気料値上げも決まりそうなことだし、少しでも値上げ幅を減らすためにも。

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