柳家(@岐阜県瑞浪市)でジビエ料理を楽しむ
岐阜県の山のなかにある柳家は、店の形態はなにに相当するのかよく分からないのだけど、あえていえば高級炉端焼き屋みたいな店であり、季節で獲れる最良の素材を囲炉裏の炭火でじっくりと焼き上げて供してくれる、という料理店である。
春は山菜、夏は鮎や鰻、秋は茸類といったところがメインになるが、寒くなってからはジビエがメインとなり、ジビエで大地のエネルギーを頂こうと、行ってきた。
最初に囲炉裏に並んでいるのは、ジビエではなく、丸々と太った鮎。
11月なので当然落ち鮎であり、腹は卵ではちきれそうに膨らんでいる。
黄金色に焼き上がったところで、まず腹に箸を入れれば、香り高い卵巣が現れ、まずはこれをツマミにワインで始める。
鮎のウルカを三種類。
卵と白子の子ウルカは、ほどよい淡泊さと絶妙なる口触りであり、これはワインにもあったりする。
苦ウルカのほうは、さすがに日本酒を飲まねば始まらず、そして見事なまでに日本酒にあう。
前菜ののちは、メインのジビエシリーズとなる。
柳家のジビエは、ジビエという言葉から連想する、獣くささはなく、香り味とも、その素材の良さを一番生かすべき手入れをされた肉を使い、そして焼きあげる。
この蝦夷鹿は、とくに脂の鮮烈さと爽快さがよろしい。
添えられたマスタードソースで、味の変化も楽しめます。
猪の肉は臭く硬いもの、という先入観は、このウリボウを食えばただちに払われる。
そして、肉の香りを更に引き立たせるため、脂を炭火に落としながら、香りを塗りつけていくがごとく焼きあげる。 先代から続く、柳家の独自の焼き方。「炎の料理」という感じでもある。
メインの〆は、羆のこども。
羆が出て来ることから分かるように、柳家のジビエは、岐阜のマタギが獲ってくるものばかり、というわけではなく、全国から抜群の素材を仕入れてのジビエ料理である。
山国、日本には野獣はたくさんいて、たくさんの数が狩猟されてはいるが、その獲れた獣をきちんと手入れできる猟師の数は少なく、(これは意外と魚なんかもそうだったりする)、柳家ではその数少ない猟師から仕入れたジビエを、ここでまたさらに手を入れ、最高の状態で出されてくる。
この羆も、羆と言われないかぎり、何の肉やら分からぬ独特の香りと味を持つ肉であるが、それでも噛みしめれば、尋常でない力、大地の力のごときものが伝わって来る。
葱と野菜たっぷりの、赤味噌仕立てのしし鍋。
濃厚なるジビエのあとは、このように強めの味付けの鍋も、また良しである。
〆は、これも今から旬の自然薯を使った、とろろ飯。
強力な味を持つジビエシリーズのあとは、こういう胃に優しいとろろ飯がぴったりである。
相当な量を食ったはずなのに、二杯目のお代りも所望してしまう美味さ。
世にある食材の美味さ、魅力をじゅうぶんに堪能できた、柳家の夜であった。
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