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November 2012の記事

November 25, 2012

ジビエ第二弾をGazzat@名古屋市で

 岐阜の柳家でジビエをしこたま食ったけど、名古屋にはまだ美味しいジビエを出す店があるという。
 今からがジビエの時期なので、それをはずすわけにはいかず、食通P氏の引率にて、一行はジビエ第二弾をGazzat(ガザット)にて味わうことにした。

 ガザットは、カウンター前にオイル漬けのサーディンやサンマ、それにキッシュ等、おいしそうなツマミが並べられており、そういった洒落たツマミでワインを飲むワインバーなのであるが、寒くなってのジビエのシーズンからは、ジビエが本道とばかり、絶品のジビエ料理を出す店となる。

 今回のジビエは、野鳩、小鴨、赤足ウズラ(Perdrix rouge)であり、すでに羽をむしられ、焼く準備の整えられた鳥をまず見せてくれた。羽をむしられた鳥の姿が苦手でない人は、次のリンクを参照。(→こういうもの

【炭火焼き】
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 鳥はカウンター奥で、マスターが手慣れた様子で、ガンガンと焼いてくれます。

【野鳩】
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 こんがり、ふんわりといい焼き加減。

【野鳩】
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 これを食べやすいように、切り分けてくれます。
 いいあんばいに塩加減も利いており、鳥肉の美味さがよりよく強調されている。

【小鴨】
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 次は小鴨。

【小鴨】
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 この焼き加減も素晴らしい。
 切った面を見ると、それだけで美味さが分かる美しさ。
 鴨肉は、洋食によく使われる素材だけど、ここの鴨肉は非常に味と香りが濃厚であり、たしかに今までそのへんを飛んでいた鴨らしい、独特のクセがあり、力強い、いかにもジビエという料理であった。

【赤足ウズラ】
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 赤足ウズラって、じつは初めて食べるけど、フランスではジビエとして代表的な鳥のようだ。

【赤足ウズラ】
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 赤足ウズラは見た目はけっこう派手な鳥であり、味も個性的なのだろうなと思ったが、意外とマイルド。あまりクセもなく普通に美味しい、良質な肉質を持つジビエであった。
 ジビエといっても、いろいろと種類があることをあらためて認識。

 名古屋、岐阜の名店をさんざんに楽しませくれた、P氏主催の11月の食ツアーであった。
 深く、感謝。

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November 24, 2012

至福のディナー@トゥラジョア(Tout la Joie)名古屋市 

 名古屋の名店「トゥラジョア(Tout la Joie)」で、ディナーを楽しんできた。
 昨年lここを訪れたときは、ランチであり、夜に京都の「桜田」を予約するという、無茶なプランを立てていたため、ワインは控えめにしていたのであるが、今回はディナーなので、心置きなくワインと料理を楽しめる。

 この店は、いちおうフレンチということになっているようだが、料理全体としては、フレンチもイタリアンも和も中華も、ぜんぶいいところを取り入れて、シェフ独自の料理に昇華している、世界でここしかない創作系料理店という位置づけになろう。

【百合根と浅利のスープ】
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 百合根と浅利のスープは、北海道産の特殊な百合根を用いて、きわめて滑らかな食感を保ち、それに浅利ベースの濃厚なスープをからませて、複雑な香りと味を持つ料理となっている。

【トリュフ風味の栗きんとん】
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 トリュフ風味の栗きんとんもまだ独創性豊かなもので、もとはトリュフ添えの薩摩芋の料理からインスパイアされたものなのだが、これをさらに進化させ、栗の上品にして豊かな甘さに、トリュフの豊かな香りをぶつけたもの。
 椀の蓋を開けたとき広がる削りトリュフの香りがまず素晴らしいが、栗きんとんにもトリュフが包まれており、さらにまた違ったトリュフの香りが立ち上る。

【鮑とタラバガニの香草パン粉炒め】
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 鮑とタラバガニという華やかな高級食材を使ったものに、さらに面白い食感を持つパン粉炒めがアクセントをつけ、しかも全体としてまとまりのある見事な料理。

【フカヒレの白味噌風味】
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 中華料理の定番フカヒレと、京都風の白味噌スープ。中華のフカヒレスープとは違うスープが、フカヒレの新たな魅力を教えてくれる。

 須本シェフの料理は、こだわりある素晴らしい食材を、自由自在に調理して、魅力あふれる独創的な料理が次々に出てくる。
 今宵も、喜びに満ちた夜を過ごせた。
 トゥラジョアは、その店名のとおりに、「Tout la Joie (all the joy)」を与えてくる店である。

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中京の紅葉@平成24年秋

 名古屋を訪れたさいに、紅葉の名所もいくつか訪れたので、それらを紹介。

【名古屋城】
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 まずは名古屋城。
 紅葉もよいが、夕日の輝く金のシャチホコも良い。
 シャチホコに惹かれてか、カラスも数多く舞っている。

【天守閣より】
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 天守閣からの眺め。
 ビル群建ち並ぶ都会のなかに、こういう森がある。

【二の丸茶亭】
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 城内の和式庭園も、紅葉の時期に染まっていた。


 翌日は、愛知の紅葉の名所が犬山に集っていることから、犬山に行こうとした。
 ところが当日、名鉄犬山線は踏切事故が起き、名古屋から犬山までは直行できなくなった。
 しかたないので遠回りにはなるが、岐阜に出ての迂回路で犬山に行くことにした。

 列車内で車窓で風景を眺めていると、岐阜駅に近づいて見える金華山は紅葉に染まっていて、なかなか美しい。
 それで予定を変更して、岐阜駅で下車。
 金華山のふもと岐阜公園まで歩いていくことにした。

【伊奈波神社】
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 金華山の手前の伊奈波神社も紅葉の時期だったので、寄ってみた。
 ちょうど七五三の季節であり、晴れ着を纏った子供たちを連れた参拝客でにぎわっている。
 紅葉の写真を撮りながら歩いていると、家族の集合写真を撮ろうとしている人から呼びとめられ、カメラマンを務めされられたりした。

【岐阜城】
Gihujo

 神社をすぎて、ようやく岐阜城を頂上にいだく金華山が見えて来た。
 駅からは思ったよりも遠かった。
 列車から見たときはもう少し近かったような気がしたのだけど。

【岐阜公園】
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 岐阜公園はちょうど紅葉の盛りであった。
 菊人形を飾った東屋、紅葉、それらを映す池。絵になる風景である。

【三重の塔】
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 朱色鮮やかな三重の塔に、これも鮮やかな紅葉が、互いの色を引き立てあっている。

【岐阜城登山道】
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 岐阜城へはロープウエィでも上がれるのだけど、たいした高さでもないので、登山道で登ってみる。
 「馬の背」と「めい想の小径」の二つの道があるが、「馬の背」は急峻なので老人・幼児は無理ですよとの注意書きがある。
 …低いとはいえ300mの高さを登る山。幼児には「めい想の小径」とやらだって無理だろう、と突っ込みを入れたくなるが、それはさておき「馬の背」で登ることにした。

【馬の背登山道】
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 「馬の背」は、このような階段状になっている岩稜を一直線で登って行くルートである。
 「馬の背」と名付けられた登山道は、全国に数多くあり、それらはたいてい両側が切り立った狭い稜線であるけれど、この「馬の背」はそうでもない。

【岐阜城】
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 「馬の背」を登りつめれば、頂上間近に出て、そこで岐阜城にご対面。
 この城も金のシャチホコがある。
 この地方の城は金のシャチホコが定番なのであろうか。

【岐阜城天守閣から】
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 岐阜城天守閣からの眺め。
 名古屋城よりも高さがあるので、濃尾平野を一望のもとに眺めることが出来る。
 四方に伸びる稜線も、いい紅葉の染まり具合だ。

【めい想の小径】
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 下りは「めい想の小径」を下って行く。
 森のなかをひたすら登って行く「馬の背」に比べ、こちらのほうが展望が利いて、眺めがよく、整備もされているので、観光にはこちらを使ったほうがいいであろう。
 3名にしか会わなかった「馬の背」に比べ、こちらには登山者も数多くいた。


 岐阜駅に戻ってからは、まだ時間があったので、当初の予定の犬山へと向かった。
犬山の紅葉の名所として、「寂光院」「桃太郎公園」「犬山城」などがあったが、まずは寂光院を訪れることにした。

【寂光院自然歩道】
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 連休中であり、寂光院は観光客が多かった。
 自然歩道の途中、夕日に当たる紅葉の美しいところがあったが、カメラマンもずらりと並んでいる。
 …そんなに並ぶほどのものでもないとは思ったが。

【階段】
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 寂光院への階段は、紅葉のトンネルとなっていた。

【鐘楼】
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 寂光院鐘楼、鐘楼を窓のようにして、そこからのぞく紅葉が美しい。

【紅葉】
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 その紅葉の近写。
 じつにいい色の赤に染まった、見事な紅葉である。
 今回見て来た紅葉では、この樹が最も良い染まり具合であった。

 
 犬山には、まだ紅葉の名所が残っていたが、そろそろタイムアップ。残りは巡れなかった。
 寂光院の紅葉の美しさからして、他の名所も美しそうである。
 紅葉の時期、また訪れたくなった。

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November 23, 2012

柳家(@岐阜県瑞浪市)でジビエ料理を楽しむ

 岐阜県の山のなかにある柳家は、店の形態はなにに相当するのかよく分からないのだけど、あえていえば高級炉端焼き屋みたいな店であり、季節で獲れる最良の素材を囲炉裏の炭火でじっくりと焼き上げて供してくれる、という料理店である。

 春は山菜、夏は鮎や鰻、秋は茸類といったところがメインになるが、寒くなってからはジビエがメインとなり、ジビエで大地のエネルギーを頂こうと、行ってきた。

【鮎の炭火焼き】
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 最初に囲炉裏に並んでいるのは、ジビエではなく、丸々と太った鮎。
 11月なので当然落ち鮎であり、腹は卵ではちきれそうに膨らんでいる。
 黄金色に焼き上がったところで、まず腹に箸を入れれば、香り高い卵巣が現れ、まずはこれをツマミにワインで始める。

【鮎のウルカ】
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 鮎のウルカを三種類。
 卵と白子の子ウルカは、ほどよい淡泊さと絶妙なる口触りであり、これはワインにもあったりする。
 苦ウルカのほうは、さすがに日本酒を飲まねば始まらず、そして見事なまでに日本酒にあう。

【蝦夷鹿】
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 前菜ののちは、メインのジビエシリーズとなる。
 柳家のジビエは、ジビエという言葉から連想する、獣くささはなく、香り味とも、その素材の良さを一番生かすべき手入れをされた肉を使い、そして焼きあげる。
 この蝦夷鹿は、とくに脂の鮮烈さと爽快さがよろしい。
 添えられたマスタードソースで、味の変化も楽しめます。

【ウリボウ(仔猪)】
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 猪の肉は臭く硬いもの、という先入観は、このウリボウを食えばただちに払われる。
 そして、肉の香りを更に引き立たせるため、脂を炭火に落としながら、香りを塗りつけていくがごとく焼きあげる。 先代から続く、柳家の独自の焼き方。「炎の料理」という感じでもある。

【仔羆】
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 メインの〆は、羆のこども。
 羆が出て来ることから分かるように、柳家のジビエは、岐阜のマタギが獲ってくるものばかり、というわけではなく、全国から抜群の素材を仕入れてのジビエ料理である。
 山国、日本には野獣はたくさんいて、たくさんの数が狩猟されてはいるが、その獲れた獣をきちんと手入れできる猟師の数は少なく、(これは意外と魚なんかもそうだったりする)、柳家ではその数少ない猟師から仕入れたジビエを、ここでまたさらに手を入れ、最高の状態で出されてくる。

 この羆も、羆と言われないかぎり、何の肉やら分からぬ独特の香りと味を持つ肉であるが、それでも噛みしめれば、尋常でない力、大地の力のごときものが伝わって来る。

【しし鍋】
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 葱と野菜たっぷりの、赤味噌仕立てのしし鍋。
 濃厚なるジビエのあとは、このように強めの味付けの鍋も、また良しである。

【とろろ飯】
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 〆は、これも今から旬の自然薯を使った、とろろ飯。
 強力な味を持つジビエシリーズのあとは、こういう胃に優しいとろろ飯がぴったりである。
 相当な量を食ったはずなのに、二杯目のお代りも所望してしまう美味さ。


 世にある食材の美味さ、魅力をじゅうぶんに堪能できた、柳家の夜であった。

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November 14, 2012

ジャンダルムの思い出

 先日、光洋でお会いした大分市の寿司店の店主は、寿司店・和食店で修業した以外に、日本北アルプスの穂高山荘で6年間働いていたという、鮨店主としては異色の経験の持ち主である。
 山小屋暮らしが長いことから、店主は当然奥穂高岳近方の山の多くを知っており、特に気に入っていた山として、前穂高岳と、ジャンダルムを挙げ、大分の店を訪れたときに、その写真を私に見せてくれた。
 その写真を見ると、私にも奥穂や前穂、そしてとりわけジャンダルムの記憶があざやかに浮かび上がってきた。

【ジャンダルム】
Gens_darmes_fig

 奥穂岳の手前にある山「ジャンダルム」は、フランス語の「gens d'armes」であり、それは「護衛兵」くらいの意味であって、奥穂岳を主人として、それを守るくらいの位置にある山ゆえ、そう名付けられたようだ。
 奥穂から見るジャンダルムは、肩肘張った屈強な巨人のごとき姿であり、その怪異なる形態から、まさに唯一無二と言ってよい個性のある山に思える。

 ジャンダルムは標高3163mの高峰であり、形も個性的なことから有名な山であるが、この山、一般路にある山としては、たぶん日本で一番登るのが難しい山である。

 ジャンダルムは西穂岳と奥穂岳の稜線上にあるので、それに登るには、西穂岳からか、奥穂岳からということになるが、どちらも途中に難所が控えていて、ジャンダルムは基部に取り付くまでが大変なのだ。

【奥穂岳から見る、霧のなかのジャンダルム@1998】
Jann1_2

 1998年夏、私は初めて北アルプスを訪れた。
 1998年の8月の第一週は、梅雨前線がずっと居座っていたため悪天候であり、そして地震も穂高を直撃したという、ろくでなもいシーズンであった。
 私の予定としては奥穂→北穂→大キレット→槍岳というルートを行くはずだったが、涸沢経由で奥穂に登り、穂高山荘に泊まったのだけど、大雨により奥穂→北穂の登山道が崩壊してしまったため、このルートでは槍ヶ岳には行けなくなってしまった。しょうがないので、いったん下山して槍沢まで登りなおさねばならないのだが、せっかくなので、翌朝また奥穂岳に登り、西穂方面への偵察へ出かけてみた。
 奥穂からはしばらくは平坦な道が続くのだが、やがていきなり稜線がスパッと切れ落ち、行く手を阻んでしまった。
 そしてそこから見る、ジャンダルム。
 天気が悪く、あたりは霧に満ちていたのだが、それでも霧に浮かぶジャンダルムは、異様なまでに迫力満点な山であり、登攀意欲をそそらせる山であった。

【馬の背】
Umanose2_2

 しかし、ジャンダルムに行くには、切り立った稜線―「馬の背」を下っていかねばならない。
 …行かねばならないと書いたものの、どう考えても、この厳しいナイフリッジ(ロープも鎖もなにもない)が一般登山道と思えず、他に迂回路があるはずと思ったが、そんなものは見つからなかった。
 さてどうしたものかと思っていたら、霧のなからから登山者が一人現れ、「天気悪いですねえ~」などと挨拶したのち、この急峻な馬の背をするする下っていったので、ここがルートであることが分かった。

 ルートが判明した以上、しょうがないので、私も無理やり下って行き、鞍部で写真を撮っている先行者と少々会話を交わしたのち、さらに進んでいった。
 この先には「ロバの耳」という、かなりハードな岩壁トラバースルートがあり、ここを懸命に超えて、ようやくジャンダルム基部に到着。ジャンダルムは直登しても登れそうだが、どうも危なそうなので、より安全なルートを探していると、写真を撮っていた人が追いついてきた。

 その人は岩手から来た人で、奥穂→西穂の縦走をずっと狙っていたが、2年間ずっと雨でtryできなかった。今回は霧まみれで視界は悪いけど、雨は小雨で済みそうなので、なんとか西穂まで行きます、とのことであった。
 これからも厳しい難所が続くので、ジャンダルムはパスします。そう言って、その人はますます濃くなる霧のなかに消えていった。たぶんその日奥穂~西穂を縦走したのは、その人一人だけであったはず。

 私は斜めに走っているジャンダルムの登頂ルートをやっと見つけ、そしてジャンダルムに登頂。霧の中、周囲はなにも見えないジャンダルムであった。

 ジャンダルムを降りてから、岩手の人を追いかけ西穂まで行こうかと、ちらりとは考えたが、こんな五里霧中な状況で日本屈指の難路を行く気は起きず、おとなしく奥穂に戻って、その日は槍沢まで行き、その後は槍ヶ岳→大キレット(雨のなか)→北穂(北穂山荘に泊まったら、地震が直撃し、夜中にずっと小屋が揺れていた。下山路も一部が崩壊した。)→パノラマルートと辿り、その年の北アルプス行は終了した。


  ………………… 二年後 …………………


【間ノ岳から望む天狗岳、コブ尾根の頭】
Ainodake

 翌々年の2000年夏、私は西穂岳から槍ヶ岳経由で燕岳まで縦走をした。
 そのなかの西穂奥穂縦走路は、日本で最もハードな一般路とされていて、山登りする者にとっては一度は行きたい人気ルートである。

 そして前回と違って今回は好天であり、稜線から穂高の山並みがはっきりと見え、爽快な登山を楽しめた。

 ただし、登山道自体はたしかに悪路であり、とくに間ノ岳は瓦礫を積み上げたような山であって、細い本ルートから外れると、足で踏んだだけで山が崩れていくという過激さであり、ルートファインディングの技術が相当に要されるルートであって、けっこう恐い思いをした。

【西穂ルートから見るジャンダルム】
Jann

 間ノ岳、天狗と越えていき、コブ尾根の頭を登りつめれば、ようやくジャンダルムを見ることができる。
 西穂高からの難路を5時間かけて歩いてきて、このルートの屈指の絶景ジャンダルムに感激の御対面というところであるが…
 こっちの方向から見るジャンダルムは、なんか花札の坊主山みたいな形で、なんとも迫力のない姿である。
 ジャンダルムを見るのは、奥穂岳からに限るなあ、と思った次第。

【奥穂側から見るジャンダルムのはずが】
Okuho

 ジャンダルムに登ったあと、ロバの耳、馬の背と通り、やっと安全地帯に到着。
 ここで、ふりかえれば素晴らしきジャンダルムがいる、のはずであったが、午後から雲が出てきて、ジャンダルムを覆ってしまっていた。


 天下の奇峰ジャンダルム、私は両方向から登ったことがあるのに、はっきりくっきりした姿を見たことがない。
 ここ10年くらい長野は訪れていないが、ジャンダルムの記憶を思い起こし、鮮明なるジャンダルムを見るために、また訪れようかな、などと思った。

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November 13, 2012

Nikon D600で鮨を撮ってみる@光洋

Cameara1

 世のなかには美しいものがあり、それらは一瞬にして消え去ってしまうことが多いゆえ、それを画像にして留めたいという欲求は当然ありそれゆえ写真およびカメラというものが発明され、そして発展してきたわけである。

 カメラは、扱うのが難しいデバイスであり、素晴らしい写真を撮るには相当な技術の習得が要されていたわけだが、デジタルカメラの登場により、素人でも結構きれいな写真が撮れる時代がやってきた。

 私も山岳写真やら料理写真やらを撮りたいゆえ、デバイスには興味を持ち続けて来たが、…結局は、よい写真を撮るには、(1)撮影者の技量 (2)カメラの能力 の二つが必要になる。
 (1) については写真撮影の技能とともに、いい写真を撮るための底知れぬ努力(周辺機器の用意、いい場所、いい時間を確保する等)が必要になり、これはたいへんなのである。
 それで私としては、「いい能力を持ったカメラ」についての探索を主に続けてきた
 (2) ……それで(2)については以下。


 カメラの能力、以前はいろいろ大変だったのだが、デジタルカメラの登場によって、その能力を決定づける心臓部はCCDイメージセンサーということになった。これが高性能であるほど、画質は向上する。
 これについては、本職が使うようなものはともかくとして、一般的に用いられるデジカメでは、35mmフルサイズセンサーが最高度のものだ。

 それゆえ、35mmフルサイズセンサー搭載のカメラを手に入れようとずっと思っていたが、NikonではD800がそれである。
 しかし、D800はレンズ込で1kgを越える重量のカメラである。
 さすがにそんなものを登山に持って行く気はせず、軽量級のカメラが出るのを待っていたが、本年になって、ようやく700g級のD600が発売となった。
 これは買わねば、というわけで購入。

 新しいカメラが手に入ると、当然なにかを撮りに行きたくなる。
 それで、「光洋」に鮨を撮りに行った。

 …このブログ、私が新品のカメラを購入するたびに、鮨を撮りに行っているのが過去ログを見ると分かるが、それは鮨が造形的にも色彩的にも被写体として、最上のものということである。というか、私は鮨が好きなのだ。

 というわけで、光洋で撮った鮨をずらずらと並べる。

【マグロ】
1

【コハダ】
2

【赤貝】
3

【ボタンエビ】
4

【ウニ】

5

 どの鮨も美しく、そして美味しい。
 これらの写真については、グルメ系の雑誌の写真レベルには達していないものの、それなりにけっこう美味そうに見える鮨の数々である、と思う。 ただしD600をもってしても、自分の目で見た鮨の美しさはまだ表現できていない。
 設定をいろいろ変えることにより、実物に近づけるはずで、マニュアルモードでもっと極めたいという気もする。
 しかし、だからといって、鮨食いに行くたびに、カウンターでデジイチ構える気もせず、…まあ精進します。

 

 今回の光洋。
 カウンター隣は大分の寿司某店の店主でして、私が以前そこを訪れたとき、店主が長野の穂高山荘で6年間働いた経験があるということで、山の話をたくさんしました。今回もそういう話をしつつ、光洋店主を交え、鮨の話もして、実り多き話ができたと思います。
 冬の大分の山は、雪降る時期、本当に美しいけど、そのときまたその店を訪れます。

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November 11, 2012

行縢山 滝と紅葉

 紅葉の時期というのに、週末は雨ということが続き、先週同様に週末の天気がよくない。
 日曜の午後のみは雨があがり、日が射すとの予報だったので、近場の行縢山へと出かけてみた。

【行縢の滝】
1

 日本百名瀑の一つ、行縢の滝を滝見橋から眺める。
 昨日今日と降った雨のおかげで滝の水量が多く、山肌の紅葉と、滝の白さがいいコントラストをなしている。

【行縢の滝】
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 滝壺に寄って、滝を間近から見てみた。
 迫力ある水流はいいとして、飛沫がやってくるので、被写体としてはやや具合が悪い。

【行縢山雌岳】
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 雄岳に登り、周囲を眺める。
 行縢山雌岳の山腹が紅葉に染まっており、ちょうど見頃を迎えていた。

【行縢川】
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 北岳経由で県民の森に下りて、下山したが、そこでの渓流はもう紅葉は終わっていたようで、落ち葉が積もっていた。
 落ち葉を踏みしだきながら、人少なき、静かな山のなかを歩いていった。


 九州の紅葉は、今週くらいで終わりとなりそうだが、次の週末も雨との予報である。
 今年はどうにも天気の巡り合わせがよろしくない。
 平日はいつも晴れているというのに。

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November 10, 2012

秋の洋食といえば白トリュフ! @ベルエポック

 秋の茸といえば、和食では松茸、洋食では白トリュフということになる。
 白トリュフは、香りが強く、その香りは刺激的かつ官能的であり、秋とともに是非食いたいという食材である。しかし、なにしろ個性的な食材なので、組み立てが難しく、出てもパスタに振りかけるだけ、なんて店が多いなか、ベルエポックの佐々木シェフはやってくれました。
 メインは白トリュフ尽くしのコース。
 どれもバランスが良く、トリュフは主人公にならず、個性的脇役として料理を盛り立てる、そういう素晴らしい料理が続きました。

【白トリュフ】
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 容器から蓋を開けたところ。
 トリュフの濃厚な香りが、ぷんぷんと店中に漂います。

【メイン1】
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 地元の鮑。鮑も香豊かな食材であるが、これにトリュフのリゾットを添えて、二つの香を混ぜて、さらなる高みの香りの世界へと誘ってくれる。

【メイン2】
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 コンソメスープだけでも極めて良質だけど、これに素の味を最大限生かした宮崎牛のしゃぶしゃぶが入り、そこに宮崎の見た目も美しい野菜が色彩を整え、そして、全体を統括するように白トリュフが載り、見事な料理となっている。

【メイン3】
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 ジビエの季節にはまだ早いが、それでも諸塚村の鹿を使って、そこにトリュフを刻んで載せて、ジビエの香りとトリュフの香りとの重奏。

 白トリュフという、個性が強く、かつ美味な食材を用いて、万華鏡のごとく、種々の料理を花開かせてくれた佐々木シェフの技量にただただ感嘆するディナーであった。

 宮崎に佐々木シェフあり、ですわ。

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November 03, 2012

紅葉の大崩山

 紅葉を目当てに秋の大崩山へと登ってみた。

【ワク塚分岐】
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 大崩山の最初のシンボルである、ワク塚分岐から見上げる小積ダキ。ほどよい加減の紅葉である。
 渡渉部にかかっていた金属製の橋は、今年の台風により流されてしまっており、20mほど下流の岩に引っかかっていた。
 この橋も、シジフォスの岩みたいなもので、もう何度流され、そして掛け直されことであろう。

【袖ダキ】
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 次なるシンボルは、袖ダキ展望台から望む下ワク塚。
 稜線では紅葉はもう終わっていて、山の中腹が時期を迎えていた。

【登山道崩壊の知らせ】
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 袖ダキ展望台からは、特徴的な岩の斜面を歩いて、下ワク塚へと向かうわけであるが、そのルートが崩壊しているとの知らせが書いてある。
 どうなっているのか調べに行ってみた。

【袖ダキ登山道】
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 なるほど、この恐竜の背みたいな岩の基部の崖が崩壊している。
 …ただし、登山道そのものが崩壊しているわけではないなあ。

【袖ダキ登山道ルート】
Root

 この岩をどうやって歩くかと言えば、斜面上に一筋のスタンスが走っているので、だいたいは赤線の上を歩く感じとなる。

【袖ダキ登山道ルート】
1sodedaki

 まだ崩れていない時のこのルートの写真をひっぱりだしてみた。
 このようにして登山者はこの岩の上を歩いていたのである。

 だから、このルートの下が崩壊してもルートそのものは健在なので、そのまま歩いてもよさそうではある。
 ただし、このルート、いままでは岩から滑っても、1mほど落ちただけで止まっていたのに、今回滑ったら、20mは崖を滑り落ちることになる。そうなると、命は危ないし、命があっても怪我の一つや二つはしそうだ。
 私は今までこのルート、結構な数を歩いており、滑ったという記憶はない。
 …しかし、だからといって今回滑らないという保証もない。
 もしこのまま行って、滑り落ちて怪我して救助でも頼むようなら、一生の話のネタになってしまう。

 チキンな私は、観察だけにとどめ、迂回ルートに下って行った。

【乳房岩から】
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 袖ダキ~下ワク塚の迂回ルートには、途中に乳房岩という展望台がある。
 名所なので、相当前に一度登ったことはあるが、本ルートから外れているので、その後登ったことはない。
 今回、ひさしぶりに寄って、登ってみた。
 中央に人が居るのが見える岩が、先ほどまでいた袖ダキである。

【坊主岩】
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 下ワク、中ワク、上ワク、リンドウの丘、小積ダキと回り、坊主尾根から下山。
 坊主尾根の稜線から望む山肌は、黄葉が緑に混じり、なかなか美しかった。

【大崩山山荘前】
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 坊主尾根からのルートは、大崩山山荘前の祝子川へと出て、ここで渡渉となる。
 台風、大雨ごとに、岩が流され、河原の形がどんどん変わる祝子川であるが、矢印で示す岩はまったく動いていない。
 この岩には私は思い出がある。

【大崩山山荘前(昔)】
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 これはほぼ30年ほど前の、この岩の写真。
 大学生時代に、学生仲間たちで大崩山に登りに行ったときに撮ったものである。岩の上に立っているのが若き私であるが、…昔から高いところには登りたがる男だったのだ。

 この岩、形が三角錐の特徴的なものであり、河原でも目立つ。そして、この岩が幾度もの土石流にも生き残っていたわけは、たぶんこれがとても大きな岩であって、ここに見えている部分は、ほんの一部分だからなんでしょうね。


【大崩山パノラマコース】

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