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October 2012の記事

October 30, 2012

松茸異変@平成24年秋

 だいぶと肌寒くなってきて、秋の深まりを感じる気候となってきた。
 それでは秋の深みを食で味わおうと、「ふじ木」にて、秋のコース料理を食いに行く。

【フグ刺し】
Fugu

 寒くなると、フグの季節である。
 とはいえ、まだフグは走りの時期であり、天然フグは身が太っていないので、本日は養殖もの。
 それでも、このやや厚切りのフグ刺しは、歯ごたえも旨みも十分。
 しばらくすれば、身がさらに美味しくなるのにまして、鍋もおいしくなり、そして白子も出てくるであろう。

【アマダイ】
Amadai

 アマダイも寒くなってからが旬の魚である。
 焼いたアマダイの、ほこほこした食感と、豊かな食味は、いわゆる「くせのない白身魚」の典型的な美味さを感じることができる。

【ハガツオ】
Hagatuo

 身の痛みが早いので、あんまり市場には出てこないハガツオであるが、きちんと手入れをされたハガツオは、上質な脂がのり放題の豊潤な旨みを持つ魚である。

 やはり旬の魚はいい。
 って、旬、旬と書いていたが、だいたいの魚は産卵期前の秋からが旬ではあるな。

【土瓶蒸し】
Dobin_3

 魚シリーズが続いたところで、ここらで秋の真打、主役、松茸の登場。
 松茸はまずは土瓶蒸し。
 松茸の香りを味わうには、これが一番の料理である。

【アマダイと松茸の炊合わせ】
Wan

 松茸は、香りのみならず、それ本体も美味しいので、アマダイと炊合わせての料理も同じく美味。
 アマダイと松茸の美味さの相乗効果で、さらに美味しさが増します。


 …しかし、今年の松茸は少々おかしい。
 どうにも香りが薄い。
 普段は無駄にまで過剰に思える松茸の香りが、うっすらとした上品な香りになっている。

 というのも当然で、今年は松茸が空前の不作で、国産の香りいい松茸がまったく手に入らず、やむをえず外国産を使わざるを得なかったそうだ。(店主も忸怩たるものがあっただろうけど、今回は常連某氏の「松茸をどうしても食いたい」との強い要望があったので)


 それで調べてみると、今年は異常気象のせいで、松茸は全国的に不作であり、凶作と言っていいレベルのこと。
 だから、松茸名産地では、例年1kg1~2万円の松茸が、今年は8~9万円と高騰しているそうだ。その値段でも手に入れるのに争奪戦があり、そして手に入るだけ幸運であって、なんと12月からは枯渇しそうな気配とのこと。

 私はそれほど松茸に思い入れはないので、そういうものかと思うくらいなのだが、京都の和料理店とかでは、「秋は松茸!」と気合を入れている客が多いだろうから、はたしてこの秋をどうしのぐのだろうと、少々心配にもなってしまう、今年の松茸異変であった。

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October 27, 2012

尾鈴山滝めぐり

 10月最後の週末は九州の山は紅葉の盛りのはずであり、さてどこに行こうかと思っていたけど、なんと雨との天気予報。
 雨のもとでは紅葉は楽しめそうにもない。
 それでは、雨が降っていても、いやかえって雨が降っていたほうが楽しめる滝見物にでも行こうかと思った。

【尾鈴山登山口】
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 尾鈴山は宮崎中央部の代表的な山であり、山の形態と、それに多雨の気候から、水量が多くそして落差の大きい滝が数多くあることから、山そのものより瀑布群のほうで有名になっている。
 登山口では紅葉はまだ始まりかけのようであり、あと一週後くらいが見ごろのようであった。

【矢研の滝】
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 まずは「矢研の滝」に行ってみる。
 渓谷に垂直に落ちる滝は、たしかにその鋭い名前にふさわしい。

【トロッコ道】
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 矢研の滝を見たのちは、欅谷のほうに戻り、旧トロッコ道を登って行く。
 明治時代、尾鈴山の林業で、木材の搬送のために造られた道であり、廃線となったあとは自然歩道になっていて、この道がゆったりと白滝まで続いている。

【紅葉の滝】
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 トロッコ道に沿って、様々な滝があるのであるが、滝壺の近くまで行ける滝は少なく、そのうちの一つが「紅葉の滝」。
 たぶん紅葉の時期に、紅葉が映えるのであろうけど、本日はまだ時期が早い。

【さぎりの滝】
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 トロッコ道は岩をくり抜いて造られており、そのトンネルと、「さぎりの滝」を一緒に撮影。

【トンネル】
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 いかにも手作りという感じのトンネルが、趣があってよろしい。

【やすらぎの滝】
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 やや安易なネーミングの「やすらぎの滝」。
 ヤマメなんかがこの滝壺にやすらいでいるのであろうか。

【沢ガニ】
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 渓流沿いの道には、沢ガニを多く見かけた。
 これは唐揚げにすると、いいビールのツマミになるのであるが、捕まえて持って帰るのも面倒なので、放置。

【白滝へ】
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 トロッコ道は、尾鈴山への道と、白滝への道に分かれる。
 このあたりは杉の木も岩も苔むしていて、神秘的な雰囲気に満ちている。

【白滝】
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 欅谷を代表する名瀑「白滝」。
 巨大な柱状節理の岩壁が見事であり、そこに落差75mの滝が流れている。
 黒い岩肌と、白い水と水飛沫が、いいコントラストをなしていて美しい。

【馬ヶ背】
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 白滝を見てから登山口に戻って、その後は日向市の名所「馬ヶ背」へと寄ってみた。
 日向灘に面する断崖絶壁は、ここも柱状節理の岩である。
 白滝も、馬ヶ背も、元は同じ尾鈴山の火山活動で生じた溶岩から出来たものであり、尾鈴山の噴火の規模の大きさが分かる。

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October 21, 2012

紅葉の大船山@平成24年

 今年は九重の紅葉が素晴らしいとのことで、しかも週末が好天の予報だったので、大船山を訪れた。

【雨ヶ池】
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 長者原から坊がつるを経由で大船山に登ることにする。
 途中の窪地、雨ヶ池は、ススキがいい具合に実っていて、風に波のごとくに揺れている。

【大船山 段原から】
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 大船山の稜線に出たところが段原で、ここから見る大船山は見事に紅葉に染まっている。とりわけ、ドウダンの赤色が印象的。

【大船山 稜線から】
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 稜線を歩いていき、大船山に近づけば、紅葉はさらに赤みを増してくる。

【大船山山頂】
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 大船山山頂では、法螺貝の響きが。
 美しき紅葉の前に、自然への感謝をこめての儀式のようであった。

【山頂から 御池】
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 九州に紅葉の名所は数あれど、そのなかでトップクラスの名所は、ここ大船山の御池。
 山頂の噴火口跡の池に、紅葉が様々な色に染め上り、その姿を池に映している神秘的光景。

【御池の紅葉】
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 御池まで降りていけば、この紅葉と、それを映す池のコントラストがはっきりと分かる。
 1786mを登って来た人しか見ることのできない、自然の造形美。
 これ、ライトアップすると極上の美しさになるとは思い、…ならば満月の時なんかは、途方もなく美しい光景が見られるのでとも思った。
 いつか、見てみよっと。

【大船山 下山】
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 紅葉の時期の九重は美しさの極みというところがあるが、ただし問題点は人の多さ。
 九重は、ミヤマキリシマと紅葉の時期は、1日に1万人以上が山に登るという、少々常軌を逸した登山密度を示す山域となるのであるが、本日もそうであった。
 山頂から段原までの登山道は写真に示すように、ずっと人に満ちての渋滞状態。
 おかげで、いつもに比べやたらに時間のかかった山行になったが、それはそれで、またよしである。

【三俣山】
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 大船山に登っていたころから、ずっとヘリコプターの音がしていたので、紅葉取材のヘリかなと思っていたが、坊がつるから見るヘリの姿は、懸命に稜線上で位置を探っており、遭難救護のヘリのようであった。
 やがて、ヘリは何度かのトライからようやくウィンチを下ろし、そして遭難者の回収に成功したようで、夕暮れ間近の空を飛び去っていった。
 三俣山は、それ自体は巨大なヘリポートみたいな山なので、本来は大鍋小鍋あたりで救助すればいいのだろうけど、そうはいかない事情があったのでしょうね。
 あの風が強く、かつ複雑に吹く稜線上で、見事に救助に成功したプロの技術に感心。


 1年半ぶりに訪れた大船山であるが、長者原からのルートがずいぶんと変わっており、九重って、本当に崩落の激しい山と思った。
 それでも魅力多き山なので、人々の努力で九重の道は維持されており、ありがたいことである。

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October 13, 2012

海鮮和食@海里村上(壱岐湯本温泉)

 壱岐の宿泊は、「海里村上」にて。
 近年、「壱岐に海里村上あり」と称されるようになってきた有名旅館である。
 離島壱岐には一ヶ所だけ温泉が湧くところがあり、その貴重な温泉地である湯本温泉に建つ旅館だ。

【露天風呂】
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 湯本温泉の湯は鉄分豊富な湯であって、赤錆びた色の湯は保温力抜群。しばらく浸かっていると、身体中に温かな温泉力が満ち溢れる、そういう湯である。
 ただ、温泉力にのみまかせていると、のぼせあがってしまうのであるが、露天風呂のほうに入り、潮風にあたりながら湯本湾でも眺めていると、温泉力と潮風の涼しさと、それにいい風景を見る満足感で、密度ある時間を自制力維持したまま過ごせるので、…いい温泉です。

【部屋】
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【湯本湾夕暮れ】
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 海里村上は海に面しているので、晴れた日は太陽を追いかけることが出来る。
宿の位置からして、夏場は目の前の湯本湾に日が沈む絶景を楽しめそうだが、今は10月なので、日は西方向の山に沈んでしまう。
 それでも、窓際のソファに居れば、日が沈むにつれての、雲、空の色の変化を、存分に楽しめる、そういうロケーションの宿であった。


 壱岐の宿は、どこでも壱岐で獲れる新鮮な魚介類をてんこ盛りに出して、腹いっぱいに食わせてくれるとの評判が高い。
 「海里村上」も、海鮮系の料理旅館であるからして、その流れにあると思っていたけど、たしかにその通りであった。

【前菜】
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 尤も、前菜は手の込んだもので、唐墨、玉子味噌漬け、鮑肝塩辛…と、やたらに酒の進む肴から出てくる。

【椀物】
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 椀物は天然貝の沢煮。
 いわゆる繊細系の椀ではないが、海の魅力をダイレクトに伝えるそういう椀。

【造り】
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 造りの最初の皿は、鮑、キハダ鮪、水烏賊。いずれも壱岐で獲れたての新鮮なもの。

【造り2】
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 二皿目は、笛吹鯛と石鯛。
 笛吹鯛は以前はあまり見ない魚だったが、近頃九州の魚を名物とする店では、ちらほら見かけるようになったな。

【雲丹】
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 壱岐といえば、なんといっても雲丹。
 といっても10月はほとんど終わりかけのシーズンなのであるが、なんとか間に合ったようで、活き雲丹をいだたく。
 さすがに身は痩せていて、旨みも落ちてきていはいるが、それでも壱岐で、壱岐の雲丹を食うのが、なんともうれしい。

【車海老の酒蒸】
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 車海老は活きではなく、酒蒸で。タイ料理のような味付けで、おもしろい。

【焼き物】
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 焼き物は天然クエの塩焼き。脂がほどよくのっている。

【野菜料理】
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 口直しのような感じで、野菜料理が出てくる。大根と四角豆のゴマ和え。

【鮑】
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 メイン料理の1という感じで、鮑料理が出てくる。鮑の切り身を、しゃぶしゃぶと、炭火焼で味わうもので、とくに炭火焼につけるバターソースが、アンチョビの味付けがよく利いていて、このソースで食べる焼き鮑はたいへん美味であった。

【焼き雲丹】
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 鮑を焼いたあとまだ残っている炭火がもったいないような気がしたので、雲丹を追加で頼んで焼いてみた。
 焼くことにより、さらに雲丹は甘くなり、これはこれで活き雲丹と違った美味しさがある。

【肉料理】
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 メインのその2は、これも壱岐名物「壱岐牛」のサーロインステーキ。
 普通に美味しい牛肉である。

【一口(?)カレー】
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 〆は、一口カレー、一口パスタ、寿司、壱岐牛ミニすき焼き、玉子丼…等々から選べるのであり、希望すれば何品でも選べるそうだ。
 一口カレーというと、大き目のレンゲに盛って出てくるようなものを想像し、これに加えて一口パスタを注文したが、…写真のとおり五口以上はあるサイズであった。

【一口パスタ】
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 一口パスタもご覧のとおりで、五口くらいはあった。
 これでは全メニューをいっぺんに制覇するのは、よほどの大食らいではないと無理であろうな。

【湯本湾 夜景】
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 海里村上の前は漁港なのであり、港の堤防に沿って明かりが夜間ずっと灯されており、静かな海と夜空へ明かりは流れ、風情のある風景となっていた。


 壱岐は歴史も古く、また自然も豊かなことから見どころ多く、そして美味しいものもたくさんある。
 福岡市から1時間ほどの距離なので、もっと観光地として流行っていいところには思える。
 まあ、壱岐というところがそういう方向に力を入れていなかったのであろうが、しかしこれからは、「海里村上」のような気鋭の旅館が壱岐を引っ張り、盛り立ていくのではないだろうか、と滞在して思った。

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壱岐観光 -壱岐は訪れるところ多き島

 玄界灘に浮かぶ島壱岐は、高速客船で博多港より1時間ほどの距離にあり、意外と近い位置にある。
 雲丹と魚が美味しい島で有名であり、一度は訪れたいと思っていたが、離島なので、台風一つ来るだけで島に行く手段も出る手段もなくなってしまうことから行きかねていた。しかし、今年の10月になって天気が安定し、週末の好天とのことで訪れてみた。

【深江田原】
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 壱岐のほぼ中央にある一支国博物館の塔から、深江田原を見下ろしてみる。
 深江田原は長崎県で2番目に広い平野であり、この小さな盆地が2番目ということは、いかに長崎県に平野がないかを物語っているわけだが、とにかくこの平野がかつて壱岐の国の王宮が置かれていたところである。
 壱岐は歴史のある島であり、とくに農業においては日本で最先端の技術が入ってきていた島である。考古学的発掘も行われていて、深江田原には原の辻遺跡が復元されている。

【はらほげ地蔵】
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 壱岐名物「はらほげ地蔵」。
 一見すると、6体の小さな地蔵が並んでいるだけのようだが、じつはこの地蔵、なかなかユニークなのである。

【はらほげ地蔵 近写】
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 今は潮が引いているので分からないが、この地蔵たちは、潮が満ちると半身が海に沈んでしまう。
 それゆえ、地蔵本体は潮に削られ、独特の形になっている。
 日本全国地蔵の数は多けれど、海に沈む地蔵は珍しいであろう。

【はらほげ定食】
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 はらほげ地蔵近くにある食事処「うにめし食堂」では、「はらほげ定食」なるものが出されている。
 面白い名前の定食であり、一度は食ってみたいものだが、内容はウニ飯に海鮮料理とのことで、それでは予定の夕食とキャラがかぶってしまうのでやめておいた。

【左京鼻】
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 はらほげ地蔵からさらに半島を進んでいくと、名所「左京鼻」がある。
 柱状節理の断崖が連なっているところであるが、そのなかに海から柱状節理が垂直に出た岩磯があり、海のなかから救いを求めるがごとくに突き出た手のように見え、とても印象的である。

【猿岩】
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 これも壱岐名物の「猿岩」。
 黒崎半島の突端にある大きな岩塔が、見る角度によって猿の横顔に見えるためにそう名付けられた。

【猿岩側面】
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 猿岩も横方向から見ると、もう猿には見えない。
 この方向から見ると、玄武岩の見事な柱状節理の並びを見ることができる。

【曽良の墓】
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 壱岐ゆかりの人物として、芭蕉の弟子曽良がいて、曽良の終焉の地が壱岐勝本である。
 小さな墓であるが、当時はほとんど無名であり、そして縁故もないような地で、その墓が300年以上も守られてきたところに、壱岐の良さがある気がする。

【壱岐芦辺風力発電所】
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 壱岐は玄界灘からの海風が始終吹いているところなので、風力発電の好地だそうだ。
 2基の巨大な風車がゆっくりと回っている。

【赤瀬鼻】
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 壱岐の北の岬、赤瀬鼻。
 赤い磯が海に伸びており、釣りのいいポイントらしく、釣り人が幾人もいた。
 ここからは対馬が見えるはずだが、少々もやっていたことせいか、対馬は確認できなかった。

 一泊二日の計画で、壱岐をいろいろと巡ってみた。
 そんなに大きくない島なので、だいたいの名所は回れるかと思ったが、あと10ヶ所くらい行きたかったところが残ってしまっている。
 歴史のある島だし、それに複雑な地形をしていることから自然の名勝も多いことから、まったく時間が足りなかった。
 春にでもまた来てみようか。

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October 12, 2012

ノドグロ+天然ウナギ@夢膳

 博多駅南の夢膳をひさしぶりに訪れた。
 福岡で仕入れられるトップクラスの美味い魚が供される店である夢膳では、今の季節はやはりノドグロとウナギが狙いどころである。

【ノドグロ】
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 ノドグロのなかで、最も旨いとされる対馬の赤目ノドグロ。
 ちかごろは風の具合が悪く、いいノドグロが上がらないそうで、せっかくあがった対馬のノドグロもサイズが小さいそうである。
 片身を勧められたが、このあと鰻も食いたいため、4分の1の頭の部分を頼む。

 夢膳のノドグロは、やはり脂の乗りが尋常でなく、箸を入れると脂が滴り落ちるような脂の乗りだ。
 ただ、たしかに店主の言う通りにサイズが小さく、そしてノドグロの頭ってあんまり食うところが少なく、これでは欲求不満になる。
 そういうわけで、残りの半身も再注文することになる。

【ノドグロ2】
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 魚は、たいていは頭周囲のほうが、頬肉とかカマとかがあって筋肉質であり、食いでがあるのであるが、ノドグロの場合そういうことはなく、かえって頭から下のほうが身が厚いぶん、食い応えがある。
 噛みしめれば、質のよい、上品な脂が口のなかいっぱいに広がる。

【天然ウナギ】
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 夢膳の名物の天然ウナギ。
 見ただけで、美味さを主張してくる、そういうウナギである。…というか、このウナギの「おれは美味しんだ!」と放つオーラは、尋常ではないですね。
 さて、天然ウナギと養殖ウナギのどちらが美味いかといえば、これは好みとしかいいようがなく、天然と養殖ではおおいに個性が違っている。
 天然ウナギは、やはり皮と肉の弾力と香りが身上。これをおおいに楽しむためには、白焼きが一番。

【天然ウナギ白焼き】
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 ウナギって、筋肉質な魚ということがこれを食べると分かる。
 噛めば、しっかりと返ってくる歯ごたえ、そして噛むほどに広がるウナギの香り。
 本日のウナギは球磨川の産だそうだが、球磨川の自然の豊かさと力が伝わって来るような、そういう逸品。


 気合を入れて美味いものを食いたいなら、夢膳に来ればそれは叶う、という、それがよく分かるノドグロとウナギのシリーズであった。

【コハダ】
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 焼き物のあとは、鮨となる。
 私は鮨の写真を載せるときはコハダを出すことが多いのであるが、コハダが寿司のなかで、一番その店の個性が分かると思う。
 旨み豊富な赤シャリに、そしてほどよい〆加減のコハダが乗り、この店のコハダも、店独自の個性いっぱいの美味い鮨である。

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October 07, 2012

ツールド佐伯 2012 Aコース

 センチュリーライドに一年ほど出ていないので、ひさしぶりに佐伯で行われるサイクリング大会に出ようと思った。
 この大会、じつはセンチュリー以外にも190kmのコースがあり、気をひかれはしたが、8時間半の時間制限で190kmはかなり厳しい条件に思える。それに去年190kmコースに参加した人が、完走はしたものの大変きつい目にあったという話も聞いたことから、ここは無難にセンチュリー(160km)のAコースにしておいた。

【ホテル内】
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 前日から佐伯市内に宿泊。
 佐伯市ではツールド佐伯がサイクルイベントとして根付いているようで、ホテルの宿泊客もサイクリング参加者が多い。
 スタート会場とホテルは5kmほどの距離なので、明日は自走していくこととした。ホテルのフロントの人に部屋に自転車を入れていいかとたずねたら、いいですよとのことだったので、有難く入れさせていただき、組み立てとタイヤ圧設定をして、明日はただ乗っていけばいいだけの状態にしておいた。

【開会式】
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 大会参加者はけっこうな数である。
 佐伯市市長や、自転車関係の偉い人たちの挨拶や、選手宣誓などを聞く。
 会場には、なんとダースベイダー閣下が御臨席賜られておりました。

【拡大図】
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 ダースベイダー閣下、黒チャリ片手ということは、このコスプレで走るみたいである。
 黒兜かぶって黒マントをひらひらさせて走る姿をぜひ見たかったけど、私と出走コースが違っており、見ることは出来なかった。あとでオールスポーツコミュニティのページに写真が載るであろうから、それで見てみよっと。

【第1エイド】
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 9月以後、なぜか週末にばかり雨ばかり降ったせいで、トレーニングできていないので、とりあえず時間内完走を第一の目的としてマイペースで走ろうと思っていたが、ついつい20台くらいの列車のなかに入ってしまい、第1エイドまで35~40kmの速度で巡航することになった。

【空の公園への坂】
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 最初の峠を過ぎて、それから海岸線に沿って走る。
 第1エイドをしばらく一人で走っていたのち、後ろから追い抜いてきた10名くらいの列車に便乗し、高速巡航。
 海岸線沿いは向かい風が強烈であった。しかし列車はその強風をものともせず、30kmくらいの速度で走っており、よくやるよと思いながらついて行った。
 なお、サイクリング大会の列車はレースと違い、先頭者はずっと同じ人のまま牽くというパターンが多いが、今回もそのパターンであり、…先頭の人の脚力には素直に感心する。

 空の公園への登り坂になって、列車がばらけだし、各々のペースで登って行く。

【空の公園より】
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 空の公園からの海の眺めはたいへんよろしい。
 広々とした海と、複雑な海岸線、それに小さな島々。

 空の公園からは急なカーブの続く下り道となる。とくに危なそうなところでは、大会スタッフが「徐行」の標識を持って注意を呼び掛ける。
 私は元々下りが苦手なので、指示に従いブレーキかけながら下っていったが、その私の横を追い抜きペダルを懸命に回しながら猛スピードで下って行く人がいた。ダウンヒルって、根性だせばとんでもない速度が出るので、ダウンヒラーはその速度と転倒への恐怖の克服という、精神的なタフさが求められる。猛スピードで下り、険しいカーブに突っ込んでいくその人を見て、「これがダウンヒラーというやつか。まさに恐怖を克服した男、格好いい。それにあのカーブをあの速度で曲がれるとは、ほとんど物理的限界を突破してるじゃないか。すごい!」とか思っていたら、やっぱり物理的に無理があったらしく、その自転車はタイヤから嫌な音を発したのち、カーブからはみ出てしまい、そのまま草で覆われた崖に激突してしまった。
 私があわてて自転車をそこに止めて「大丈夫ですか~?」と尋ねたら、その勇敢なダウンヒラーはむっくりと起き上がって自転車も起こし、「わははは。タイヤが滑っちゃいました」と元気そうに答えたので、私は先に出発した。
 あのペースなら再スタート後に、私はすぐ追い抜かれるだろうなと思っていたが、その後は姿を見せず。リタイヤしたか、その後自重したか、そのうちどちらか。

【第3エイド】
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 坂を下りきって海岸線を走るうち、また10台ほどの列車が横を追い抜いたので、それに便乗し、またも高速巡航。風が強いので、列車に乗っているとほんとうに楽である。
 第3エイドは、自転車掛けが置いてあり、けっこう大規模なエイドステーションであった。Bコースの昼食会場になっているので、こういうふうになっていたのであろうな。
 Aコースは、次のエイドが昼食会場である。

【第4エイド(昼食のトコロテン)】
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 第4エイドで昼食。
 お握り2ヶに唐揚げ、ごまだしトコロテン、それに柏饅頭であった。
 ツールド佐伯の名物は「ごまだしうどん」だったはずで、なぜかそれがトコロテンに化けている。けげんに思うサイクリストも多いようで、そのような質問がスタッフに出ていたが、「今日は暑いので、ウドンでなくトコロテンにした」とのことであった。
 まあ、たしかにトコロテンのほうがこの気候では食いやすいが、…栄養補給にはならんなあ。

【海岸線の道】
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 しっかりと休憩をとったのち出発。しばらくは海岸線に沿った道となる。
 このようにたいへん見晴らしのよい道である。
 第4エイドからは、サイクリストたちは相当にばらけてしまい、このあとは私は列車に遭遇することが出来ず、残りの80kmのほとんどは一人旅となり、脚に負担のかからぬ程度のマイペースで走ることになった。

   
【彦岳坂の峠】
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 Aコースは4つ峠があり、これはその3つ目。津久見市と佐伯市の境である。
 ここを下りきったところに第5エイドがある。そこが足切りポイントになっており、制限時間内にたどり着かないと次に進めない。そして次の次の第6エイドは本大会で最も有名な名物「筍寿司」があり、足切りにあうとそれが食べられないという、かなり深刻な事態になるので、もしも足切りギリギリのタイムとかで走っていたら、ここからは相当に気合いを入れて走らないといけないところでもある。
 もっとも、今のペースでは足切りになるはずもなかろうから、相変わらずのマイペースで進んでいく。

【第6エイド 本匠の大水車前】
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 そんなわけで足切りにあうこともなく、無事に第6ポイントに到着。
 大水車と河童の置物がお迎えである。

【筍寿司+雪ん子寿司】
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 ここで名物の「筍寿司」、それに「雪ん子寿司(大根と椎茸の寿司)」を食する。
 ツールド佐伯参加者のうちでも、SコースとAコース参加者で、かつ足切りにあわなかった者だけが食べられるという、それなりに価値ある寿司である。
 そう思って食えば、さらに美味しさも増すというもの。
 …まあ、これ自体はやよいの道の駅にいくらでも売ってはいるのだが。

【宇目坂】
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 番匠川沿いはずっとゆるゆるした登り坂であり、あんまり坂を登った気がしないうちに、なんとはなしに4つ目の峠にたどり着く。
 あとは大きめの峠はなく、下ってからはちょっとしたアップダウンの道が続くのみ。

【第7エイド】
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 第7エイドからは国道10号線に向かって走ることになる。
 ツールド佐伯のコースは全体的に車が少なく、自転車で走りやすいルートであったが、さすがに幹線道路である10号線は車が多いから、なんとなくいやな気になる。

【第8エイド】
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 10号線に入ってからは車を気にしながらの走行。
 150km走ったところで、最後のエイドステーションがあった。ゴール会場まであと15kmの距離なので、素通りしたほうが楽だとは思ったが、べつにレースでもないんだから、せっかくつくってくれたエイドを使わないのも勿体ないので、とりあえず止めて水だけ飲んだ。

 でもやはりそういう殊勝(?)な考えの者は例外らしく、他のサイクリストたちはエイド前をびゃんびゃんと快速で通り過ぎていく。
 サイクリストが誰もおらず、所在なげにしているスタッフ2名のエイドの写真。少々シュールな光景である。

【ゴール】
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 残り15kmのそれなりのアップダウンをこなしつつ、大会会場に戻り、ゴール。
 当初の予定では、お気楽サイクリングのつもりだったので、4時半くらいにゴールと予想していたが、4時前に到着。前半の列車便乗による貯金がきいたみたいである。
 走行距離は165.4km、走行時間は6時間17分、平均速度26.3kmという、1年ぶりのセンチュリーにしてはまあまあのタイムであった。

 ところでゴールしたとき、「お疲れさま~」という掛け声があり、その掛け声は本来ここにいるはずはなく、まだ走っている人たちのものだったので、きょとんとしてしまったが、…宮崎チームAコース組は半分ほどが足切りにあってしまい、先に戻っていたのであった。なんでも10分ほどの遅れで足切りにあってしまったそうで、それは惜しかった。
 10分くらいなら時間配分考えればなんとかなりそうなものではあるが、また、それに備えてタイムチェックシートを作成していたAさんも嘆いてはいたが、まあ、来年への課題ができたということで、それも良しとするべきか。

 
 ツールド佐伯、町全体の応援が心地よく、また複雑なコースではあったが要所要所に誘導員も配置されており、走って気持ちのよい大会であった。
 来年はSコースに出ようかな~、という気にもなってきたが、まあそれは来年また考えることにしよう。

【打上げ】
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 打上げは、佐伯うまいもん通りの「松の花」にて。
 総勢12名での宴会である。海の幸あり、大分名物あり、焼酎あり、酒あり、ワインありで、大量にカロリーを消費したあとらしく、大量に飲み、食い、騒ぐのであった。

 …それにしても、覚えているだけで、刺身の造り盛り合わせ、穴子天麩羅、鶏天、蟹クリームコロッケ、茄子グラタン、鰆西京焼き、活き鯵、〆鯖と食い、酒も相当飲んだのだが、一人あたま5000円程度であったのは、おどろくべきコストパフォーマンスの良さであった。


【ツールド佐伯 2012 Aコース】

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