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September 19, 2012

パリ美術館巡り

 パリというのは美術館の宝庫のようなところであり、大はルーブル美術館から小は個人経営のものまで、魅力ある美術館が山ほどある。
 ただ時間的に多くは行けないので、とくに行きたい3つの美術館に絞って訪れてみた。

(1)モロー美術館
2moro

 この美術館は観光地からはずれた住宅街のなかにあり、分かりにくいところにある。…ギュスターブ・モローの邸宅をそのまま美術館にしたのだから当然なのではあるが。
 それゆえ、この美術館はモローの絵の愛好家しか訪れない場所であり、そして扉のところには、フランス語、英語とともに、日本語で「扉を押して下さい」と書かれてあった。モロー、日本人に人気のある画家のようである。
 …もっとも、客少なき美術館のなかのアジア人は、私以外はChinoisばかりだったのは、日本の不景気さおよび中国の景気の良さを意味しているんだろうな。

【美術館内】
5moreau

 モロー美術館は珍しく写真撮影可であった。それでカメラで館内を撮っている人が多かったが、…フラッシュ焚くのは止めたほうがいいと思ったなり。
 この部屋にぎっしりと飾られた絵は、その多くが画集で見た覚えのある有名なものばかりであり、モローの絵は、あまり散逸せず、この美術館に集まっているようであった。

【サロメ】
Salome

 モローの名画の数々に満足しつつ、ここで一番の目当ての絵「サロメ」を見る。
 中学生の頃にこの画を画集で見て、なんと美しい絵だと思い、それからずっと実物を見たいと思っていたけど、実物でみる美しさは、当然のことながら画集で見たものよりも、はるかに迫真的なものであった。
 「踊りの報酬として預言者の首を望む」、というサスペンスな場面を描いたものにも関わらず、この絵は、とても静かで、美しかった。
 この絵では、種々に発光する光源があり、それぞれが独自の光を放ちながら、ゆるやかに融合し、調和している。そしてその色は絵全体のなかで混ざることにより、まるで音楽の和音のように響き、登場人物3人はおのおのが、その玄妙なる音楽に静かに聞きふけっている、そういうふうに見える、あるいは聞こえてくる、不思議な感覚を与えてくる絵であった。
 この絵を見るためだけでも、パリに来る価値はあった、せつにそう思う。


(2)オランジェリー美術館

7

 次はメジャーどころのオランジェリー美術館。
 この美術館の目玉はモネの睡蓮の絵。
 この絵を収める一室の天井には大きな曇りガラスがはめられており、そこからの間接的な日光を浴びて、睡蓮の絵は、「光の魔術師」と呼ばれたモネが表現したかったはずの、独自の美しさを表現している。
 この一室だけでも素晴らしいが、その他の部屋の印象派の絵もまた見事。

【睡蓮(Wikipediaより)】
Suiren


(3)オルセー美術館
1orsay

 ルーブル美術館に次ぐ、フランスの象徴的美術館。
 パリに訪れた人は、誰しも訪れたきところである。
 ただ、ここに入る時はチェックが厳しく、また周りには自動小銃抱えた兵士が護衛に何人もいて、ヨーロッパのテロの厳しさも実感させてくれた。

【蛇に噛まれた女(Wikipediaより)】
Snake

 オルセー美術館では、絶頂美術館という本が、いいガイド本であり、美術における官能の表現についてオルセー美術館の数々の作品を挙げて説明していた。そこで、オルセー美術館で入って最初に正面にある彫刻「蛇に噛まれた女(作:クレサンジュ)」が、官能の表現として、最高級のものであり、そして三次元の造形が最も官能の表現に向いている、というふうなことが書いてあった。
 なるほど、そういう事前知識があると、この作品が名美術品の宝庫のオルセー美術館のなかでも、とりわけ傑出した作品ということがよく分かった。

 この美術館の収蔵する美術品の数は圧倒的であり、そしてそのなかには一品だけでも日本に来れば、3ヶ月間満員御礼(福岡の美術館でよくそういう現象が起きる)になるという絵が、山ほどある。
 オルセー美術館は人多き美術館であるが、それでも日本に比べればずっと少なく、落ち着いた雰囲気で、たくさんの名画をじっくりと見ることができた。

 (ただし、たくさんの名画をじっくり見たせいで、印象派の画家では、セザンヌがずば抜けた存在ということも、個人的にはよく分かった。印象派の画家って、いい意味でも悪い意味でも、アマチュアの絵という印象がどうしてもあるのだが、セザンヌだけは、デッサン、描画、色彩、構図、精神性、全てに途方もなく高い力量を持った存在と思い知った。これもオルセー美術館に行っての大事な収穫である。)


 芸術の都パリとはよく言われるが、まったくそのとおりで、訪れたかったけど、時間のなかった美術館が、まだまだ山ほどある。

 パリ、また訪れなくては。

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