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September 20, 2012

フランス食紀行(6) ルドワイヤン(Ledoyen)

 私の記憶が確かなら、昔の日本でのフランス料理のイメージは「滅多に食べられぬ豪華な料理」というものであったのだが、それから時代が流れて食の洋食化が進み、フランス料理というのは、数ある料理のうちの一種という範疇に入っている。
 それでも、その昔の「豪華たるイメージ」そのものであったのが、ルドワイヤンであった。

【ルドワイヤン】
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 正面から見るPavillon Ledoyen。
 貴族の大邸宅とでもいうべき、壮麗なレストランである。
 このレストラン、歴史も古く、ナポレオンがやがての妻ジョセフィーヌにここで出会ったとのエピソードもある。

【Le chat de Ledoyen】
Chat

 ルドワイヤンの玄関近くには、人懐っこい三毛猫が一匹いて、ドアマンと一緒に客を迎えていた。
 ドアマンの様子からは、レストラン居つきの猫みたい。
 「Le chat de Ledoyen(ルドワイヤン猫)」と呼ばせてもらおう。

【レストラン内景】
03

 レストランのなかは、豪華にして荘重な内装。
 この雰囲気のなかでは、当然にして立派なフランス料理が出て来るのは間違いないであろう。

【アミューゼブッシュ】
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 アミューゼブッシュはこの店の名物「Gelee au gingemble(ジンジャーのゼリー)」。
 ジンジャーの淡い香り、それに、ぷるぷるふるふるした食感が面白い。

【アミューズ】
4


6

 アミューズは、これらの美しくも、食欲を進めるような小品が続き、つぎからのスペシャリテ連続の前座を務める。

【La carte de Ledoyen】
Ledoyens_menu_2

 ルドワイヤンのメニュー表を示すけれど、我々が頼んだコースは、メニュー表で赤で囲ったルドワイヤンを代表するスペシャリテ3品をメインとしたもの。
 どれも、この店ならではの個性豊かなものである。

【スペシャリテ1】
7

 「Grosses langoustines Bretonnes Emulsion d’agrumes (ブルターニュ産大手長海老、柑橘類のエマルジョン添え)」
 海老の香りいっぱいの大手長海老に、これも柑橘系の香りの豊かなエマルジョンソースをあわせ、フランス料理の王道とでもいうべき、濃厚な味と香りの料理。

【スペシャリテ2】
01

 「Blanc de turbot de ligne juste braise pommes rattes truffe (白い平目のブレゼ、ジャガイモとトリュフ)」
 これは見ただけでは何の料理かは分からないけど、ブレゼした白い平目の身を長方形に切って、それに黒トリュフを海苔のように載せて、ピアノの鍵盤みたいなユニークな形にしている。それにポテトを泡々のカプチーノ仕立てにしたものを敷き詰めたもの。
 平目もポテトもトリュフも、それにバターもたいへん良いものを使っており、それらの味と香りの多重層を楽しめる、いわゆる足し算の料理。

 …ところでパリのレストランの魚料理って、Turbotばかり出ているような気がする。フランスには魚はTurbotしかいないのかな、などと思ったが、W氏によれば西洋人は海産資源の保護という概念がないので、大西洋のいい魚はほとんど獲り尽くされてしまい、まともな魚はTurbotくらいしか残っていないとの言。…本当かいな。

【スペシャリテ3】
9

 「Ris de veau en brochettes de bois de citronnelle rissolee, jus h'herbes (子牛の胸腺の串焼き、レモングラスの香り、それにハーブのジュース)」
 リードヴォーって、有名な料理のわりには私は初めて食ったのだけれども、まさに初めて体験する味と食感と香り。
 味にしろ食感にしろ、そしていい加減の火の入れ方にしろ、きわめて個性ある「濃厚系」の料理なんだけど、全体の印象としては、キレのよい爽やかな料理。おそらくは、最初の印象が見た目脂たっぷりなのに、じつはまったくそうでないというギャップがあったのも加味しているからなんだろうけど、繊細にして、緻密な料理であった。

【デゼーレ】
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 フロマージュののちは、フレンチ特有の二回戦、デザート劇場の始まり。
 このクイニーアマンはルドワイヤンの名物。
 甘さと旨さを濃厚にしたジャンボクロワッサンとでもいうべき料理だが、これだけで昼飯一回分になりそうなカロリー量。
 フランス人なら、難なく完食するのだろうけど、普通の日本人にはぜったいに無理であります。

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 マカロンやフルーツや焼き菓子。
 これを乗せている台も美味しそうであったが、スプーンで叩いてみると固い音が返ってきたので、どうもこれは食い物ではない模様。
 でも砂糖を焼き固めたもののような気もしないでもなかったが、すでに腹いっぱいになっていたので、強引に壊すようなことはしませんでした。


 ルドワイヤンは、料理にしろ、店そのものにしろ、私たちが憧れていたフランス料理の店にもっとも近いもののような気がする。
 料理そのものでは、アルページュのほうが、素材の良さや、調理の技術、それに時代の最先端を行く意気込み等で、食通には受ける店とも思えるが、それでも異国人がはるばるとフランスを訪れたとき、フランスというものを知るためには、ルドワイヤンは最も適した料理店のように思えた。

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