フランス食紀行(1) ル プレ カトラン Le Pré Catelan
フランス食紀行の第一日目はル プレ カトラン。
パリ郊外のブローニュの森のなかにある、白亜の洋館のなかのレストラン。元々王侯の別荘だった館であって、内装は豪華そのもの、いかにもフランス!という感じである。
メニューを見るとアラカルトも多いけど、組み立てかたが良く分からないので、コース料理(Le Menu du Pré)を頼んだ。
まずはアミューズ。雲丹のプリンに、グリーンピースソースを客の前でふわふわのエマルジョン仕立てにして盛り立ててくれます。香りがよく、しかも味も濃厚。
次はさっそくこの店の看板料理みたいな、トマト料理。
メニュー(→ここのLa carte)によれば、「Préparée en salade,Huile d’Olive parfumee a la vanille et zestes de citron vert,Tomate 《Mozzarelle》 an gelée」という長ったらしい名前の料理。
これがたいへん美しい。皿に薄く敷かれた淡い金色のトマトのジュレに、赤がトマト、緑がバジル、白がモッツァレラチーズの小さなゼリーの球を載せ、まるで点描派の絵のような、色の煌めきと瞬きを感じさせる、スプーンを入れるのが勿体なくなるような料理。…もちろんすぐにスプーンですくって食べるわけだが。
香り、口触り、咽越し、すべて良し。
トマト料理はもう一皿。
スパイスを利かして、卵、果物を添えたトマトは、トマト自体の味がとても濃厚である。
日本では食えない種類のトマト。
トマト料理に続いては、またこの店の名物料理であるキャビアと蟹の料理。
店の名前入りのキャビアの缶がそのまま出て来るので、キャビア一缶食うんかいなと思いきや、キャビアの下には蟹がぎっしりと詰め込まれていて、これを一緒にスプーンで食う。キャビアと蟹が重層的に味が積み重なり、じつに濃厚な味わいである。
更にその隣に蟹料理の皿があり、こちらは濃い蟹のスープをクリーミィに泡立てたもの。これをウイキョウバター(au parfum de fenouil)で満たされたスプーンですくって食べる。こちらも香り、味とも濃厚。
…濃厚、濃厚、としつこく書いているけど、じっさい濃厚であり、味、香り、そして量が濃厚で、ヘヴィーである。
さすがフランス料理! なんだけど、メインに行くまえにすでに疲れてきた。
「Le Turbot Aux Algues Beurre aux zestes de citron vert」
メインの魚料理はカレイと海老を海海苔のようなもので巻いたもの。それにバターソース。
この手の料理はややスースが重たく感じられるが、それでもそれぞれの素材の美味さもよく分かる。
つけあわせに、ジャガイモのムース。このジャガイモの味がまた濃厚。日本のジャガイモではここまで濃い味は出ないだろう。しかし、つけあわせにしては結構な量があり、ヘヴィーだ。
肉料理はたしか豚の頬肉と野菜と豆の煮込み。
このへん、あんまり味覚えていない。ただ、これもけっこうヘヴィーな料理だったような。
さすが本場だけあって、フロマージュの量は多く、香りも濃厚。遠くからでも、ぷんぷんと匂って来る。
数片を選んで食べてみると、香りと同様、味も濃厚。
…なんだか同じことばかり書いているな。
「La pomme soufflée croustillante, crème glacée caramel, cidre et sucre pétillant(林檎の焼きスフレ、キャラメルのアイスクリーム、パチパチ跳ねる砂糖菓子)」
デザート1は名物料理、林檎のスフレ。
この完全な球形がまず面白い。
これは水飴を瞬間冷凍かなんかで丸く整えているのであって、スプーンで叩くと、粉々に割れる。その水飴の皮の部分を食べると、口のなかでパチパチと爆ぜてユニークな食感である。
料理名にある動詞「pétiller(ペティエ)」がよく分かる。
中の林檎のシャーベットも上品な甘さで大変美味。
さすが本場のデザートはレベルが違う。…しかし、量多い。
「Le Citron Comme une Tarte Meringue Croustillante, Sorbet Basilic」
レモン風味のバジルのシャーベットに、焼きメレンゲがいくつも刺さっている。
これも美味しいが量多い。これだけで、小食な人の食事一食分のカロリーはありそう。
デザートはさらに出て来る。
なんだか、わんこ蕎麦状態になってきた。
ケーキにマカロン、エクレアと、いかにも本場そのものの大変美味そうなデザートであるが、さすがに見るだけでお腹いっぱい。
結局デザートは途中でギブアップして、〆のエスプレッソへ。
うーむ、口惜しい。
本場のフランス料理って、まずコースだけで日本の普通のフレンチの1.5倍以上の量はあり、しかも味が濃厚なので、気分的には2倍くらいの量に感じられる。さらにデザートの量が半端なく多いので、完食して日本男児の意地をみせるには、充分すぎるくらいの胃袋の準備が要されることが分かった。
これは戦略を立て直す必要がある。
おかげでこの後私は毎日朝昼抜きの一日一食主義を通すことになったが、まあそれはあとの話。
「ル プレ カトラン」、美味いかどうかといえば、「とんでもなく美味い」部類のレストランであることは間違いないが、今回ばかりは胃袋の準備不足と、それに時差ボケから、このレストランの実力を真に味わう余裕がなかった。
これはまたいつの日かリベンジに来なくては。
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