フランス食紀行(2) ベルナール・ロワゾー Bernard Loiseau 一日目
ワインの聖地であるブルゴーニュの田舎町ソリューのオーベルジュ、ベルナール・ロワゾー。
フランス料理の伝説的シェフである故ベルナール・ロワゾー氏が一代で築き上げた世界で最も有名なオーベルジュであり、ここに泊まり食事をするためだけのために、世界各地から多くの人がこの辺鄙な地に訪れるという、まさに三つ星の定義そのものの存在である。
泊まった部屋はメゾネットタイプで、一階がリビング、二階が寝室となっていた。
伝統的なクラシカルなたたずまいとともに山荘的な雰囲気もあり、古びた街ソリューの宿にふさわしい。
庭はヨーロッパ風の庭園で、樹々がメリハリの利いた形で植えられている。
花を咲かせる樹々が多かったが、今は花の時期ではなく、花が少なめだったのが少し残念。
正面に見える瀟洒な建物がレストランである。
ディナーのコースメニューは、宿のHPから引用したのがこれ→(「bernard_loiseau.」)であるが、DéliceとClassiquesの二種類があり、Classiques(クラシック)のほうにロワゾーの名物メニューが多く含まれている。
我々は連泊なので、それぞれのコースを楽しめるのかなと思っていたが、一日目はメインが魚ばかり、二日目はメインが肉ばかりという、なんだか変なコース設定となっていた。段取りになにか間違いがあったのだろうか。
アミュース ブシュは二皿。フライやシュー、サーモンの小品がいくつも出て来る。それぞれ面白い香りと味付けがされている。
人参のムースをトランペットの形に仕上げたもの。それに羊肉のカロネリ。
優しい味つけである。
これはベルゾーの名物料理のようで、「Carpaccio de crevettes Black Qwehlijus de tête réduit,sauce au velouté de brebis et herbes du potager」という料理。「頭を取ったBlack Qwehlijusという海老のカルパッチョ。それに家庭菜園(ポタジェ)のハーブで香りをつけたビロードのような舌触りを持つ羊肉のソース」だそうだが、メニューの内容と料理がイマイチ一致しないようで、なにやらよく分からん。
それはともかくとして、フランス料理でありがちな濃厚な味付けはなく、かえって素材を際立たせるような、ミネラル分を強めに使ったような、尖鋭さのある料理であった。
魚料理の第一は、磯魚のスープで味を調えた鯛のフィレ。それに花ズッキーニを添えて。
火加減が絶妙であり、身も美しく焼きあがっているので、多彩な色のソースとの色のハーモニーがきれいである。
これもロワゾーの看板料理、「Sandre à la peau croustillanteet fondue d’échalote,sauce au vin rouge」。
「Sandre(サンドル)」という魚を皮目をパリパリに焼いて、エシュロットを添えて、赤ワインのソースで食べる料理。これはどういう魚ですかとたずねたら、「川で獲れるシーバス」とのこと。日本で言うところの「川鱸」のようである。
たしかに川魚特有の香りがあり、それを強く焦すことで独特の魅力のある味にしていた。そして赤ワインソースは、「水の料理」ロワゾーならではの、すっきりした鋭い味で、素材の良さをくっきりと引き立てるもの。
デザートはCarrousel(回転木馬)と名付けられたもので、なんとなく雰囲気は分かる。くるくると回り出しそうな菓子。手間をうんとかけた美術品のような一品。
このアーモンドチュイルも上品な甘み、香り、歯ごたえ、全てよろしい。
今日は魚主体の料理であって、魚の素材そのものでは日本料理のほうが上のような気はしたが、その料理の技術、工夫はやはり驚かされるものがあった。
そして〆のデザートはやはり本場のもの。たいへん高いレベルのものであり、見て、食べて、感心することしきりであった。
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Comments
川鱸が一番うまそうですなんですが、この日のベストはどれでした?
Posted by: AB | October 10, 2012 10:57 PM
…じつはデザートだったりする。
フランスの本場のデザートって、想像以上にとんでもなく美味い。
ロワゾーの魚料理は、それを出汁に使ったソースのほうがかえって主役みたいで、不思議な料理なのであった。
ロワゾーの魚料理では、「蛙のニンニク・パセリソース」が最も有名で、それ食いたかったけど、なぜか出なかったのが残念無念。
Posted by: 湯平 | October 10, 2012 11:43 PM