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August 18, 2012

映画:プロメテウス

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 21世紀後半、考古学の研究が進み、未開発であった古代の遺跡の調査がなされた。すると、9つの遺跡で奇妙なことが発見された。9つの遺跡は、異なる時代、異なる文明のものなのに、同じようなモチーフが描かれた壁画が残されていたのである。それには人類に文明を教える一人の巨人の姿が画かれており、そしてその巨人は天空の一つの星座を指し示していた。
 現代の天文学によりその形の星座は確かに銀河系に存在していることが判明したが、しかし望遠鏡とてなき古代には、その星座は見ることも、認識さえもできない、遥か彼方にあるものであった。

【星座図】
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 この壁画の星座は巨人たちがどこから来たかを示しているに違いない。壁画は地図であり、そして人類への招待状であると科学者たちは判断した。
 「我々はどこから来たのか、何なのか、どこに行くのか」。この深遠な謎、-人類の創造、そして進化という、大いなる謎を解明するために、探査計画が立てられた。
 17人の専門家を乗せた宇宙船プロメテウス号は、遥か30光年の恒星間飛行を行い、目的の惑星へと到着。そして、ここで数々の不思議な生物、事物、事件に遭遇する、という話。

【宇宙船内部+アンドロイド】
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 2年間に及ぶ飛行を行っているプロメテウス号は、そのあいだ乗組員は冷凍睡眠しており、船の航行と生体の管理はアンドロイドのデヴィッドが行っている。
 このデヴィッド、アンドロイドだから当たり前からも知れないが、まさに生きているコンピューターという感じで、2001年宇宙の旅のHAL9000をそのまま動けるアンドロイドにしたような存在である。
 宇宙船の内装を含め、未来の技術の進歩が映像的にとてもよく分かる、いいシーンだ。

【惑星LV223】
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 やがてプロメテウス号は目的としていた惑星LV-223へと近づく。
 巨大な輪を持つLV-223を前にプロメテウス号は防御ハッチを開き、嵐の大気のなかに突っ込んでいく。
 未知なるものへの遭遇へと心が躍る。

【統括責任者ヴィッカース登場】
Celon

 惑星着陸が近くなり、乗員たちは次々に眠りから覚める。
 その中でチーム統括責任者である、シャーリーズ・セロン演ずるところのメレディス・ヴィッカースは一足先に目を覚まし、身体を慣らすために腕立て伏せをやっている。
 彼女は知的な美人であり、さらに強靭な肉体も併せ持つ、ただならぬ人物のようである。このミステリアスな女性の登場で、惑星探査の謎解きに加え、それに複雑な人間劇も生じそうな、そういうことを思わせる、短いけど印象的なシーンだ。


 ここまでは、長編映画の幕明けとして、たいへんよろしい。
 まず映像が壮大で美麗であり、謎かけも魅力的であり、この映画は傑作では、と期待させる見事な冒頭である。

 …しかし、その期待も次からのシーンでずっこけ、これは駄作かもしれないとの予想が生じ、その予想はついに裏切られぬまま、終末まで突っ走ってしまい、あっけにとられたまま終幕を迎えるという、残念な映画であった。
 ここまで費用をかけて、素晴らしい映像美を造り上げた映画なのに、じつにもったいない。

 話を続ける。
 ヴィッカースのあとに、次々と乗組員は目覚め、そして惑星探査のための会議が開かれる。

【会議1】
3conference

 惑星探査統括責任者のヴィッカースが、計画立案者であるウェイランド社社長の講義の立体ビデオを乗組員に見せ、この計画について説明。
 ウェイランド社が総力をかけて、巨額のプロジェクトであることが示される。まあ、ここのところは良い。
 しかし、問題は次からである。

【会議2】
4conference

 ヴィッカースの説明のさいに、17人の乗組員が映される。
 この惑星探査計画、世界を代表する大企業が、1兆ドルという国家予算規模のの費用をかけて、恒星間飛行の出来る最新式宇宙船を打ち上げ、そしてその目的が、人類初の地球外知的生命体探索、という巨大プロジェクトなわけだから、そのスタッフは、人類選りすぐりのエリートであり、知力、体力、精神力抜群の者たちがそろっているはずである。
 …しかし、会議に並ぶその面々、どうみてもそのたぐいのエリートには見えない。なんというか、田舎のビル解体工事に繰り出されたセミプロ程度のチームにしか見えない。
 世の中、人を外見だけで判断するなとはいわれているが、この映画の場合、彼らは見た目通りの能力の者たちであった。

【探索チーム】
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 惑星LV-223に着陸してから、調査チームは早速岩山のようにカモフラージュされた宇宙人の基地に入り、そこで数々の貴重な発見をするのであるが、このチームが、やってることが馬鹿すぎる。
 何が起きてもおかしくない異星人の基地のなかにいるのに、慎重さは全くなく、専門家とは思えぬ、場当たり的で、墓荒し的な調査しかしない。しかも、このチームはリーダーらしき者はいるものの、全然統率力はなく、チームはバラバラにしか動かない。
 そうして、妙なところで無謀であり、いらぬものばかりに手を出し、そこで自滅的危機を招いてしまう。
 まったく、観ていてイライラする。

 どうやら彼らの子供じみた行動は、異星人に対する思い込みがあったらしい。彼らは無邪気にも異星人をサンタクロースのごとき、人類に恩恵のみ与える庇護者的存在と思い込んでいたらしく、調査が進むうち、異星人はそのような単純な存在でないことが分かり、そのときには彼らの破滅は間近に迫ってしまっていた。

【心からの叫び】
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 というわけで調査チームのサブリーダーは、「私たちは間違った!」と叫ぶのであるが、これは台詞が間違っている。
 この深遠なる「人類起源探索の計画」は、そのものは全く間違っていない。
 あの壁画をみれば、知的生命体ならば必ず行うべきプロジェクトだ。

 しかし、人選が間違っていた。

 つまり、選抜された彼らがもう少しまともな者たちであったら、すなわち彼らよりも慎重で、知的で、専門性豊かな者で探査チームを組んでいたら、このプロジェクトは粛々と進み、実り多きファーストコンタクトとなったであろう。
 つまり、「私たちは間違った」のでなく、「私たちが間違いであった」のである。だから、観客は「お前らが馬鹿だから、こうなったんだよ」と突っ込みを入れたくなる。


 この映画、謎はけっこう残されたままでいったん終わり、その謎解きは続編の「プロメテウス2」に任せられるそうだ。

 ただし、一番肝心の謎である、乗務員たちも(アンドロイドは除く)、そしてウェイランド社社長も分からなかった「巨人とは何であったのか? 巨人は人類に何をしたかったのか?」という謎については、本編の画像でけっこう明らかにされており、…次作はそこを軸に進めるのかなあ?

 その謎について、私なりに解題してみたい。それについては次回にて行う予定。

 
 プロメテウス(ネタバレ編)


プロメテウス 公式サイト

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