和食:夏の美山荘 一泊目
「摘草料理」で有名な料理旅館美山荘だけあって、自然豊かな周囲の地から得られた食材をふんだんに用いた、個性あふれる料理を楽しめた。
田螺の突出しのあとは、鮮やかな色の料理の並ぶ篭入りの八寸。
ミョウガ、イタドリ、卵黄味噌漬け、根曲がり茸、稚鮎、川海老、蕨海苔巻き、橡蒟蒻揚げ、等々。
魚や海老は、宿の前を流れる渓流、寺谷川で獲れたもの。山菜はもちろん、宿の周りの山からのもの。
造りは鯉である。
洗い風にはしているが、臭みを取るというわけではなく、身をさらに引き締める感じで。この鯉には、鯉特有の泥臭さはまったくなく、鯉独自の淡い味と香りのみが感じられる。なんでも何ヶ月も清流で泳がせて、完全に泥を抜くそうである。
山菜はシオデ。それに蓮根。
シオデといえば「山のアスパラガス」とも称される、クセの少ない山菜である。
幻の山菜とも呼ばれることもあるが、探せば山のなかに普通に生えてはおります。私も大学生のときは大学の裏山に群生があったので、早春によく取ってきて食っていた。
このシオデは時期が外れているので、生のままというわけではなく、保存処理をされていたようで、独自の味付けがされており、それはそれでよかった。
揚げ物は、寺谷川で獲れた川魚。味女泥鰌、ゴリ、ハヤ。
泥鰌って田圃に住んでいるものと思っていたけど、「味女泥鰌」はきれいな水に住む泥鰌で、高級魚のたぐいだそうだ。
W氏は翌日川でシュノーケリングで遊んでいて、この味女泥鰌の泳ぐ姿の撮影に成功し、喜んでいた。
この塩釜焼、中を取り忘れたけど鮎である。
少々塩の味が強すぎるけど、酒はよく進む。
今日は土用の丑の日であったわけだが、そういうわけでもないのだろうけど、椀物は鰻。
鰻は白焼きで、淡泊な味わい。それに川海苔豆腐。
出汁はけっこう強めで、いわゆる「京都の出汁」とは異なるものであり、これが美山荘の個性なのであろう。
御凌ぎは「琵琶鱒の鮨」。
あっさりの味の川魚が続いてきたけど、琵琶湖の鱒はけっこう濃厚な味。
鱒の強めの味が、鮨にはよくあっている。
夏の美山荘のメイン料理、鮎。
宿の渓流沿いの生簀に飼っている鮎を料理の都度持ってきて焼きます。
当然、串刺しされても、ピクピクと動いています。
鮎といっしょに、鯉も泳いでいる。
鮎は目の前で、備長炭でじっくりと焼き上げます。
鮎の脂が落ちてそれが焼け、いい香りが部屋中に満ちて来る。
7月は末であるけど、京都の山奥の鮎はまだ小ぶりである。
この鮎も鯉方式でしっかりと砂を吐かせてから料理になるので、鮎の野生くささみたいなものはなく、鮎のエッセンスのみをまとったような、とても上品な味となっている。
小ぶりなのと、焼き加減がよいため、頭から骨まで全部食べられます。
賀茂茄子、三度豆、それに京都牛。
茄子と牛の組み合わせというのが、なかなか面白い。
〆は「鮎炊込みご飯」と思いきや、連泊ゆえ「鮎雑炊」。
これは香りといい、味といい、そしてご飯そのものといい、絶品といってよいもの。
皆でお代りしまくりの、たいへん美味しい料理でありました。
美山荘一泊目は、「楓」の部屋。
部屋には広い月見台が、渓流に張り出されおり、ここから眺める清い水の流れ、そして樹々の緑、とても落ち着く空間である。
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