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July 28, 2012

美山荘周囲の山道を散策してみる:峰定寺~三本杉~こもれびの森~大悲山古道~山村都市交流の森 

 美山荘のあるあたりは山奥であり、本来なら人が通うようなところではないはずだけど、平安末期に修験者たちの修行の寺として峰定寺という寺が開かれ、細々とながら人の訪れる地となっていた。
 そして美山荘は元々はその峰定寺の宿坊であり、寺が寂れたのちは、旅館となって今に至っている。ゆえに美山荘は、峰定寺の参道にある。
 美山荘に泊まって峰定寺を参らぬわけにはいかないので、行ってみた。

【参道】
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 美山荘からすぐのところに、寺への入り口がある。
 峰定寺建立は平安末期、かの平清盛の造営による、歴史的にたいへん由緒ある寺である。

【峰定寺山門】
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 峰定寺山門。古き山門の構えも良いが、これを守るがごとき槙の大木も大変趣きがある。
 本堂へは山門より400段ほどの石の階段を登っていくことになる。
 この右手奥に社務所があるので、そこで参拝料を払ってから登りましょう。
 なお、この山門からの登りはお参りなので、写真撮影は禁止となる。

【本堂(京都府HPより)】
Busyouji

 山形の山寺なみの峻嶮な石段を登って行くうち、本堂に着く。
 京都の清水寺と同じタイプの、崖に無理やり建物を組む懸造りであり、元々の標高があることから、ここから眺める風景は高度感抜群。
 風通しもよく、野鳥や虫の声を聞きながら、絶景を眺めながらのんびりと過ごしたい気分になるが、この本堂は宗教的理由により滞在は10分までという縛りがあるので、適当なところで下山。

【地図】
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 地図によればこの一帯は大悲山山麓ということになるらしい。
 美山荘前の林道から、峰定寺の御神木「三本杉」へ行けるようなので、次はそこまで行ってみることにした。

【三本杉へ】
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 林道からは、この分岐を登っていけば三本杉へと至る。

【三本杉1】
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 登ることしばらくして、三本杉が見えて来る。
 …でもこれって、二本杉じゃね?
 そしてここに「クマに注意」との看板がある。
 京都府もここまで来れば熊がいるんだなあ。
 そういえば、美山荘でもたまに熊のジビエが出るとか言っていた。

【三本杉2】
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 この角度から見れば、ちゃんと三本杉に見える。
 直径6mに及ぶ杉の大木が、根本から三本に分かれて立つ、神秘的存在感を持つ大杉であった。

【登山道】
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 三本杉を見て引き返す予定であったが、三本杉の奥にもまだ山道がある。
 獣道とか杣道とかではなく、きちんとした踏跡のある登山道のようなので、登っていくことにした。

【尾根】
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 植林の森にだんだんと自然の樹が混じってくるころ、尾根筋に出る。
 明るく開けたところで、ここから山道は整備され、マウンテンバイクも走行可能なような遊歩道となる。

【不思議物件】
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 ここで不思議物件発見。
 ドラム缶の空いている面に、網で覆ったようなものである。
 たぶんイノシシやキツネをとらえる罠だろうな、と思っていたが、あとで宿の人に聞くと、そういう野性動物を捕えるワナは、このへんでは檻構造になっており、これはワナではないであろうとのこと。
 たしかに、よく考えればこういう怪しげなものには、イノシシとかは最初から近づかないだろうな。
 では、これはいったい何なのだろうか?
 空気穴をわざわざ側面に空けてあることから、生き物となにか関係はあるとは思うのだが、…もしかしたらこの中になにか飼っているとか。

【道標】
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 この遊歩道は、要所要所に標識が立てられており、道迷いがまずないという、たいへん親切なものであった。
 ただし、どこにも地図が立てられていないので、じつはこの標識がまったく役に立たない。
 「こもれびの森」も「野鳥の森」も「センターエリア」も、携帯で調べられる地図には載ってなく、どこがどこやら分からない。「八丁平」と「峰床山」はGoogle地図には載っているが、はるか遠くの地であり、あくまでも方向を示す記号にしか過ぎない。

【東屋】
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 とりあえず高いほうへ歩いていき、頂上まで来ると、ここが「こもれびの森」らしく、そこに展望所があった。
 ここで周囲を見渡し、地形を確認。
 頂上まで来ればあとは戻るだけなのだが、理想的には大悲山まで行って、そこから下れば美山荘である。
 しかし今の地点は大悲山とは谷で区切られて、尾根筋ではつながっていない。それでそのルートで帰るのは無理なので、今いる山を越えることにした。

【ちしょろ尾根】
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 Google地図では、このあたりの名のある地区は「山村都市交流の森」しかないのであるが、地形から考えるに、「センターエリア」というのがその「交流の森」らしいので、標識に従ってセンターエリアに向かうことにした。

【大悲山古道】
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 尾根沿いに下って行くと、林道にと合流。
 そこに今通った道は「大悲山古道」であるという標識があった。
 平清盛、西行、俊寛妻子が通ったという歴史のある道なのであった。

【交流の森】
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 林道を道なりに歩いていくと、交流の森へと着いた。
 このあたりの杉を用いたと思わる木造の建築物が、いくつも建っている山間の行楽地である。
 夏休みゆえ、バーベキューを楽しむ人、川遊びを楽しむ人がたくさん集っていた。

【上桂川】
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 交流の森に出たのちは、上桂川に沿って舗装道を歩いていく。
 上桂川は鮎釣りをする人でにぎわっていた。

【美山荘へ】
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 歩くうちに、「美山荘へ2km」の標識が。
 このあたり、昨日自転車で走っているうちは気づかなかったけど、だらだらした登りであった。
 自転車ではたいしたことないけど、こういう緩やかな登りは、歩いているとけっこうきつい。

【桂雅堂にて】
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 美山荘まで1kmくらいのところで、空は明るいのに、突然の豪雨。
 山歩きするとき雨具を持参しないことは有り得ないのだが、今回は山歩きする予定がまったくないまま歩いてしまったため雨具の用意がない。
 途中にあった、「桂雅堂」という料理旅館の軒先にて雨宿り。
 豪雨は、いわゆるゲリラ豪雨であり、10分くらいで小降りになったので、それからまた歩くことにした。

【美山荘前】
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 気温はたいへん暑く、アスファルトはとても熱せられており、雨は路面から蒸発し、道には靄みたいなものがかかっている。
 そして背後から日がうっすらと雲を通して射しているので、私の目の前には小さな虹がずっとかかっている、という妙な体験をしつつ、美山荘へと到着。

 濡れ鼠姿で戻ってきた私が通るのを見て、仲居さんはただちにタオルと浴衣を持ってきてくれた。
 サービスの行き届いた宿なのではあるが、…昨日自転車で汗まみれ姿で来たのといい、今日の山越え濡れ鼠姿といい、たぶん私は変な客と思われているだろうな。

【風呂】
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 暑いなか山を越えようが、大雨で濡れようが、風呂に入ればすべてはすっきり。
 そして昨日は日が暮れての風呂であったが、本日は日が残っている。
 それゆえ、外の美しき渓流を眺めながらの、気持ちよい入浴を楽しめた。

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Comments

不思議物件は,熊用のドラム式罠って奴ですね.雑誌で同じようなモノを見たことがあります.

Posted by: まさよし | August 02, 2012 12:23 PM

蓋が降りてるってことは,中に熊がいたんじゃないですか?

Posted by: まさよし | August 02, 2012 12:27 PM

「熊+ドラム式罠」で検索すると、写真と似たようなものがずらずら引っかかりました。
なるほど、熊用のワナでFAですね。熊って案外スリムなんだ。

このワナにはまさか熊は入ってはいなかったでしょうけど、狩猟の本番の時期(おそらく秋)になって、またここを訪れると、蓋の開いた姿を見ることができるかもしれません。

Posted by: 湯平 | August 02, 2012 05:21 PM

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