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June 08, 2012

映画:ダーク・シャドウ

Dark_shadows_2


 ティム・バートンは、つくる映画が傑作と駄作の二つしかないという厄介な人物である。
 なにしろ中間のものがないので、その映画が駄作のときは、徹底的に駄作なのであり、観ているあいだずっと腹が立ち、観終わったのちは、この監督の才能は見限った、もう二度と観るものか!と憤然としてしまうのだが、それでも新作が出ると、ついつい観てしまうのは、やはり定期的に傑作をつくるからなのであって、…さて、今回の新作「ダークシャドウ」はそのどちらであるか?


 結論。駄作であった。


 映画評としては、その一行で終わらせていいのであるが、それだとこのブログの目的「備忘録」にならないので、続ける。

 ダークシャドウのあらすじ。

 主人公はアメリカの地方の裕福な名士の息子であり、何不自由なき生活を送っていた。彼はプレイボーイで、いろいろな女に手を出していたが、召使いの若い娘に手を出したところ、その娘は心底主人公に惚れてしまった。それで娘は「私を恋人にして」と求愛するのだが、それを手ひどくはねつける。
 怒りのあまり娘は魔女と化し、主人公に呪いをかける。主人公は両親、恋人を失い、かつ永遠に生きるヴァンパイアに化けさせられる。血を吸わねば生きられぬ彼は、住人から怪物退治され、鉄の棺に閉じ込められ、200年間地中に埋められたままとなる。
 200年後、偶然に建設工事で棺が掘り出され、主人公はこの世に復活する。彼は200年ぶりに我が館を訪れるのであるが、一族の末裔はまだ当地で暮らしてはいたものの、すっかり零落しており、滅びる寸前となっていた。
 しかも一族は、女主人を除いては、まともな者はおらず、みな異常な秘密を抱えている。
 主人公は一族の長として、一族の復興を宣言し、活動を開始した。

 しかしその街は、主人公がいない間に、魔女の牛耳る街となっていた。
 魔女は主人公一族への憎しみを忘れることなく、200年間この地にとどまっていたのである。

 一族の復興に尽くす主人公と、200年間憎しみを心に燃やしてきた魔女との、200年の時を経ての因縁の対決が始まった。

 …というふうな話で、あらすじだけ書けば、面白そうな映画だな。

 俳優もなかなかよろしい。

【魔女:エヴァ・グリーン】
Witch

 愛と憎しみは表裏一体というけれど、決して報われぬ愛のために、200年間の歳月を憎しみで身と心を焦すことに費やしてしまう、哀れだが、逞しい魔女を熱演。
 存在感たっぷりで、どう考えても主人公を食っております。

【家庭教師:ベラ・ヒースコート】
Beautiful_girl

 この役者、初めて観たが、超美少女。演技云々より、眺めているだけで、映画代のモトが取れるクラスである。
 物語冒頭部からの、列車に乗るシーン、ヒッチハイクするシーン、すべてが絵になっている。
 ただし役が、「幼い時から悪霊にとり憑かれたため周囲から隔絶させられ、運命の指し示すまま館に逃れて来たが、そこでもっと散々な目にあってしまう」という悲惨なもので、…まあ美少女は薄幸と決まっているから、これはこれでいいか。(よくない)

【ヴァンパイア:ジョニー・デップ】
Fool

 怪物にされてひどい目にあうが、それも結局は「身から出た錆」としか思えず、まったく観衆の共感を得られぬ主人公を演じている。
 この人の演技はいつも同じようなものにしか思えぬこともないが、やっぱり上手いです。

 キャストは一流で、筋もそんなに悪くはないのだけど、映画全体ではさっぱり面白くない。
 まったく感情移入できぬ嫌な主人公、観衆の予想を常に斜め横に外す筋、生意気なガキども、誰もが不幸になるバッドエンド、後味悪いエピソードの数々、趣味の悪い映画音楽、妙な役ばかりやらされているヘレナ・ボム=カーター、無駄なまでの映像の様式美、容易に人が死んでいく命の軽視、観客の神経を逆なでするかのごとく滑りまくるギャグ、…どれもが、バートンの映画以外のなにものでない強烈な個性に満ちているのだが、なにかが外れている、どこかが外れている。なにか、どこかがうまくマッチすれば、全てのピースがうまくはまり、傑作になってしかるべきなのだが、出来たものはやはり駄作である。

 バートンの映画は難しい。
 次に期待するか。
 …「スウィニートッド」「アリス」「ダークシャドウ」と三連敗中なのではあるが。


  …………………………………

 ダークシャドウ 公式サイト


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Comments

同感です。

Posted by: ArtyAnneRose | June 20, 2012 11:15 AM

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