緒方@京料理
GW後半は京都へ和食の食べ歩きに出かけた。
そのなかで最も印象が強かったのが「緒方」であった。
和食というのはずいぶんと手間がかかる料理であり、和食の定番である、造り、焼き物、煮もの、椀物、揚げ物…と、こういったものがいずれも高水準のレベルで供されるには、仕入れ、仕込み、調理と大変な手間がかかり、それゆえ真っ当な和食を出す店は限られており、それは京都に偏在している。
だから美味しい和食を食おうと思ったら、地方在住のものは、わざわざ京都にやってくるわけである。
そして京都の和食は、だいたい予定調和的な美味しさがあり、なんというか、新幹線にでも乗ったように始発駅から終着駅まで安心して、その流れにのったままコースを楽しむことになるのが普通だ。
しかし、緒方の料理は、時に京料理の枠を超えて、普通の流れからはみ出すところが結構あり、その激しさには、ちょっとしたカルチャーショックを覚えた。
これは普通に京料理なのであるが、素材の良さと、技術の良さがしっかりと分かる。
京料理は椀ものに尽きるところがあるといえばあるが、その椀の蓋をあけると、なかには玉葱だけ。
あれっという感じだけど、まずその玉葱が今開いたばかりの花のようであり、見た目に美しい。
そして薄めの出汁と甘い玉葱との調和も抜群。
素材の良さの切れ味がじつに鋭い。
さきの玉葱椀や造りのように、シンプルな料理が得意なのかとも思ったが、この小鍋は豊かな味付けの佐賀牛に、たっぷりと多量の花山椒をかけて、馥郁たる花山椒の香りと佐賀牛が混然一体となっている、いわゆる足し算の料理。
コース全体を通して変化に富んでいて、京料理の新たな魅力が十二分に伝わってきた。
地元にあれば、春夏秋冬、料理を楽しみたい店である。
京都の人がうらやましい。
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Comments
こんばんは!
私のこの道の師匠、八泉と美山荘をこよなく愛する人間ですが・・・
その彼が、今、京都で一番は「緒方」だと言っています。
ただ緒方には大きな欠点があって、それは「八寸」が無いことだと。
訪れるたびに言っているのだが全然聞いてもらえないと笑っていました。
私の今年の秋の京都、俵屋に振られて柊家になりました。
来年は是非「緒方」に行ってみたいですね。
Posted by: あびたろう | May 18, 2012 11:49 PM
たしかに緒方は八寸がないのは欠点ですね。
八寸は京料理の華であり精髄でもありますし。
ただ、緒方の料理は一品、一品が、研ぎ澄まされた精鋭ぞろいの料理なので、八寸のように賑やかなものは、店主の感性から外れるものなのかもしれません。
京都、まだまだ訪れたい料理店が多いのですが、そんなに京都を訪れられないのが難であります。
今年の秋の京都、紅葉の素晴らしい年になるのを願っております。
Posted by: 湯平 | May 19, 2012 12:06 PM