徳島編(5) 鳴門市 大塚国際美術館
四国に渡っての私の最大のお目当ては、さぬきうどんツアーでも、古今青柳でも、壺中庵でもなく、鳴門市が世界に誇る「大塚国際美術館」である。
この美術館は全世界の国宝級の美術品のレプリカを膨大な数展示している。
レプリカといっても侮るなかれ。
最高度の複製技術を用いて、原画を陶板に焼き付けたレプリカは、本物よりも本物らしい生々しさと迫真性を持っている。
それが巨大な美術館内に、古代から現代までの作品1000余点が並べられているわけで、作品そのものと、そしてその数に圧倒されてしまう。
この美術館は、香川の鳴門市という、全国レベルでは少々不便なところにはあるけど、美術好きな人なら一度は絶対に訪れねばならぬ、三つ星クラスの施設である。
エスカレーターを上がって最初の部屋が、システィーナ礼拝堂のレプリカである。
ミケランジェロ作の「創世記」「最後の審判」のみならず、礼拝堂までもレプリカをつくり上げるという、その企てのスケールの大きさにまずは驚いてしまう。
世界に30数点しかない希少なフェルメールの絵も、一室にずらりと並べられている。
ターバンの青さも、真珠の銀色も、見事な色で再現されている。
最後の晩餐は、修復前と修復後の2点が対峙するように展示されている。
見比べるといろいろな違いが見えてきて、興味深い。
個人的にはこの絵は修復することによって、精神性の深みの部分が失われていしまっているような気がした。
この美術館には古代から現代までの絵画の、その時代での最も素晴らしいものが選ばれているわけだが、時代を追ってそれらの名画を見ていると、絵画という芸術の頂点が、バロックのときに来ているのがよく分かった。
中世がホップ、ルネサンスがステップ、そしてバロックで一挙にジャンプするという感じである。
近代、現代の絵画の歴史の流れは、絵画という芸術がバロックという偉大な時代を過ぎ、拡散して、各々で袋小路に入っていく過程に思えてしまった。
大塚国際美術館、一日で全て見る予定であり、後半は早足で歩き、なんとか全部の階と部屋をまわれた。
開館から閉館まで、6時間以上ずっと立ちっぱなし歩きっぱなし、それに休憩なしで、そうとうに疲れた。
大塚美術館でヒートアップした頭を、酒と食事で落ち着かせることにしよう。
本日の宿は、鯛丸。
大塚国際美術館の近くにある宿で、美術館、それに鳴門海峡を訪れるには便利な宿である。
鳴門は鳴門海峡が目の前にあるところゆえ、どこの宿も魚がメインのようだ。
この宿の造りは、いわゆる標準的な造り。
壺中庵、古今青柳と比べるとけっこう違うが、これはこれなりに、ほっとするような料理でもある。
鍋はハタハタやらタラバやら、なんでも入れた五目鍋。
料理は全体的に混沌としていて、造り、鯛シュウマイ、フグの唐揚げ、牛ステーキ、五目鍋、それに鯛茶漬けといった、なんでもあり、という感じのものであった。
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