広島編(2)鞆の浦→尾道 31.8km
鞆の浦での朝食は、洋風のこってりしたもの。いかにもホテルの朝食といった感じである。
本日の目的地は尾道なので距離は短く、それで午前午後とゆったりと鞆の浦を散策してみた。
漁師町でもある靹の浦は一夜干しが名物で、浜辺に、カマス、カレイ、サヨリ等がたくさん干されている。なかでも、サヨリがキラキラと光り、たいへんきれいである。
食べても美味しいのだろうけど、見るだけでも名物になりうるものだ。
鞆の浦は、近くにユニークな地質を持つ仙酔島という島があり、鞆の浦から「平成いろは丸」という船ですぐに渡ることができる。船の名前はもちろん、坂本龍馬が所有していた船に由来。この地で沈没してしまった、という少々縁起の悪い船なのだが、まあ気にしないでおこう。
鞆の浦からは海沿いの道を行き、途中の小高い峠を越えるさいにトンネルがある。
このトンネル「崖の上のポニョ」に出て来るトンネルのモデルのものらしい。
映画でのこのトンネルの役割は、一種の異次元空間への入り口であったわけだが、この古いトンネルは言われてみれば、たしかにそういう雰囲気がある。
もっとも自転車乗りにとっては、トンネルそのものがモンスター的存在であり、長く暗いトンネルでは、ここ無事生きて出られるか?などと(特に交通量の多いとこでは)、よく思うわけで、…トンネル恐いなあ。
鞆の浦からは2時間ほど走って尾道到着。
尾道は中国地方屈指の観光名所であり、私も何度も泊まったことがあることから、今回はpassしてもいいのだろうけど、訪れたい店があったので、尾道泊とした。その店は、串揚店「一口」。尾道の新鮮な海産物を抜群の技術で揚げる店として、名が響いている。
この店は予約不可なので、確実に料理を食べたいなら、開店前に並ぶ必要がある。
5時半開店なので、5時から寒いなか並びました。
なお、とても人気があるというわけでもないらしく、待っていたのは私だけであった。
さて30分待って一番の客として入り、そこで食べた一口の串揚げは、
・・・いやはや、美味しかったです。メニューがずらりと壁に載っているのだけど、どれも大変美味しかったので、ほぼ全部制覇しました。20本以上は食いました。
タコ、トリガイ、イワシ、キス、カキ、アナゴ一本、ニシ、イカ、エビ、牛、トンカツ、クジラ(素揚げと串揚げ)、コバシラ、レンコン、シシトウ、アサリ、などなど。
特に海鮮系は微妙な味付け具合と、絶妙な揚げかたで、逸品としかいいようのない揚げ料理となっていた。いわゆる「串揚げ」とは一線以上画した別の範疇の料理。
尾道はラーメンと海産物が有名なので、尾道を訪れたときは、ラーメン店か料亭に寄っていたが、これからは尾道に来たときは「一口」に限ると思った次第。
一口の店主は大阪の寿司屋で勤めたのち、尾道で50年くらい前に自分の店を開店。
寿司屋で始めると設備投資が大変なので串揚げ屋にしたとのこと。修行した寿司店は、握りばかりというわけでもなく、揚げ物もするので、その時覚えた技術と、それからの独自の工夫でこの店のスタイルを築き上げたそうである。
一口のスペシャリテの一つである、浅蜊の唐揚げ。
これは危険なほどビールが大量に飲めてしまう、酒盗ならぬビール盗的料理。ひたすらぐいぐいとビールが飲めた。
もっとも、隣の席の常連客は、「自分は呑み助なんだけど、この店では料理が美味すぎ、酒を飲むとせっかくの料理を食う量が減ってしまうから」と言って、その言葉通りウーロン茶一杯で大量に串揚げを食べていた。
見習いたい態度に思えるけど、修行不足の私にはとても無理だな。
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