高知編(3) 高知市→土佐山 19.6km
高知市の朝。
高層ホテルの窓から眺める、と高知市の形がよく分かる。
太平洋が嚢状に陸地に割り込んで湾をつくり、その湾のまわりに都市をつくっている。
だから目の前を流れているのは川というより湾の細くなったところが正しい表現か。
高知の名所「はりまや橋」は昨夜見たが、明るいときにも来てみた。
日本三大がっかり名所の一つとして有名である、はりまや橋。
三大がっかり名所のうち、「札幌市時計台」と「長崎オランダ坂」は訪れたことはあるが、「はりまや橋」は初めてである。
がっかり云々はともかくとして、名所になることがおかしいような、なんということもなき橋ではある。
ただ高知市の、ど真中にあるものゆえ、目立つといえば目立ちます。
高知市を散策したついで、高知城にも登ってみた。
土佐藩の城、高知城は江戸時代からの建物が残存しており、重要文化財の指定も受けている。
天守閣からは、高知市を一望でき、広々とした風景を楽しめる。
高知で有名な料理店といえば、私は「オーベルジュ土佐山」しか知らないので、今夜はそこに泊まり、夕食をとることにした。
「オーベルジュ土佐山」は高知市郊外に位置していたが、自転車を走らせると、えらい山奥にあった。「土佐山」という地名なんだから、山で当然なんだろうけど、…高知の山はけっこう深い。いったん山に入ると、ずっと山である。
高知は海岸線が長くて、海に面しているところがずっと続くが、そのわりには平地は少なく、実質上は山国なのである。
土佐藩は土佐二十四万石と称されていた。四国の半分ほどの面積を占める、大きな藩のわりには石高が少ないなと漠然と思っていたが、高知に来たらその理由がよく分かった。
オーベルジュ土佐山へは、山奥へ、山奥へと入っていくのであるが、そんな山奥を訪れる人は、オーベルジュ土佐山に泊まる人しかいないので、標識は要所要所にしっかりとあり、迷うことなくたどり着ける。
山を登って行き、ようやく到着。
川ぞいの山荘風の洋館であり、温泉施設もあった。
人里離れ、のんびりとくつろぐ、そういう使い方をする宿のようである。
オーベルジュ、というからには洋食系の料理が出て来るかと予想していたけど、和・洋、混じった創作系の料理であった。
こういう山奥に料理宿を出すだけあって、素材には相当なこだわりがあり、メニューには各素材ごとに生産者の名前が書かれてあった。
創作系ばかりというわけでなく、土瓶蒸しも出て来た。
そういえば今シーズン、土瓶蒸しを食べるのは初めてだな。
料理はいずれも良かったけど、とくにこの鶏のソテーは、見た目がリズミカルで、そして味も変化に富んでいて面白い料理であった。
オーベルジュ土佐山の部屋は、木材を多用したロッジ風であり、音の反響が大変良い。そして部屋には高性能CDプレイヤーが設置されていて、CDの貸出しもしている。
グールドのCDがあったので、そのイタリア協奏曲を鳴らしてみたら、予想通りに大変良い音で響いた。
瑞々しく、生命力豊かで、霊感にあふれた音。
オーベルジュ土佐山で見かけた不思議物件を紹介。
この宿は山奥にあるので、周囲には明かりはほとんどなく、夜には漆黒の闇につつまれる地である。
ただ、その闇の中、川を越えた山の頂近く、裸の木が一本、枝まできちんと見えるくらいに金色に輝いている。
おそらくは、よく反射する素材で造った人工の木を、ライトアップしているものと思われるが、高知の山奥、一面の闇のなか、そのようなものが深夜から夜明けまで、ぽつんと輝いていているのは、なんともシュールな光景であった。
梶井基次郎的世界というか、なんというか。
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