福島編(5) いわき市→小名浜→磐城塙町 76.8km
いつもは外から出発の自転車は、ホテル内クロークからの出動。
ホテル内の自転車というのも、なにか違和感あり。
福島は原発事故ばかりがクローズアップされているが、地震は震度6を超えていて建物の倒壊も多く、また沿岸部の津波被害も甚大であった。
その津波の被災地小名浜の、津波から8ヶ月たっての現状を見てみようと、寄ることにした。
小名浜の防波堤は広い範囲で粉々となっていた。
津波の破壊力の凄まじさをまざまざと見せつけられる光景であった。
小名浜は、家の多くは流されたまま、基礎だけ残した更地となっている。
かろうじて津波に耐えて残った家も、近づけば壊れ尽くされていて、人の住めるものではなくなっている。
小名浜の建築物のものであったらしい瓦礫は高く積み上げられていた。
瓦礫というもの、実物みると分かるけど、これは生ゴミの山みたいなものですね。
堤防は崩れたまま、家々は捨てられ、道も途中で通行止めとなっていて、そして瓦礫(生ゴミ)は高く積みあげられている。
復旧どころか、見捨てられた町、というのが正直な感想である。
震災から8ヶ月経っても、現状はこんなものだ。
はたして、日本には、復旧、復興を行う力は残っているのだろうか。この地を見て不安を感じた。
大平洋沿岸までいったので高度は0mからの再スタートとなる。
白河市の方面に向けて、これから750mの峠を越える必要がある。この国道269号線がいつまで経っても坂、坂、坂の大変な道であった。
そしてそのうち自転車が思うように登らなくなったので、マシントラブルかと思いギア、チェーンあたりの駆動系を調べてみたが特に問題なし。それでも登攀能力の落ちているとしか思えない自転車で苦労して坂を登って行った。
(…この後新潟まで行ってやっと気付いたのだけど、後ろのタイヤが擦り減っていたのがその原因であった。普段スリックタイヤに乗っているんで、そういう初歩的なトラブルにも気付かなかったのである。)
坂、坂、また坂と登っていき、この橋あたりでようやく楽になった。
289号線の坂で相当に疲れてしまった。峠を越えた後はそのまま白河市まで行きたかったのだが、体力的に無理であると判断。白河市までの途中にある磐城塙町というところで一泊することにした。
磐城塙町がどういうところなのかを全く知らなかったが、そこそこ人の住んでいる山間の田舎町であった。
泊まったのは民宿みたいなところで、しかし料理には気合が入っていた。
この宿は鰻が名物だそうで、これでしっかりと本日大量に消費したエネルギーを補い、そしてビールを飲み、よく走りよく食べよく飲みました、ということで、うん満足。
それはそうとして、食事中に地震があった。
飯坂温泉に泊まったときも震度4くらいの地震があったし、東北の地盤は、まだまだ安定していないようだ。
翌朝に塙町を散策。風呂山公園という、展望所のある公園があったのでそこに登ってみた。
見下ろす塙町は山に囲まれ、横には小さな川が、縦にはローカル線が走る、鄙びた、いい感じの町であった。
塙町のなかを流れる久慈川。鮎で有名な川だそうだが、今はシーズンオフである。
それより、ここで翡翠が飛んでいるのを見た。
鮮やかな青色に輝いていて、まさに「渓流の宝石」のごとき美しさである。
いいものが見られてラッキーであった。
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