福島編(8) 二岐温泉→会津若松→喜多方 62.3km
二岐温泉から会津若松まではずっと下り道であり、楽なルートである。
このあたりは温泉の多いところであるが、国道沿いにあった芦ノ牧温泉は、渓流のせまいところに宿・ホテルが密集した、なんとも味のある温泉地で気にいった。紅葉もそろそろ始まりである。
会津若松には名所が多いが、その第一は鶴ヶ城なので寄ってみた。
戊辰戦争のときに激戦の舞台となったところである。
戊辰戦争とは、会津藩にとって理不尽きわまりないものであり、新政府軍に対する怨恨が未だに残っている。
その恨みを西南戦争に従軍することによって少しは晴らした鬼勘兵衛こと佐川勘兵衛の顕彰碑が城の近くにあって、今に伝わる会津の人の気持ちが良く分かる。
会津は他に白虎隊の飯盛山、武家屋敷、さざえ堂、等の名所があるが、小雨の降るなか寄る気もせず、そしてこれらは以前訪れたことがあるので、passして喜多方へそのまま行くこととした。
喜多方は、ラーメンとともに、蔵でも有名である。
町を歩けば、いたるところに古くからの蔵があって、町に独特の雰囲気を与えている。
その蔵の一つの前に猫が一匹いた。
白黒の蔵の前に、白黒の猫。まるで蔵の守り神みたいで、いい味をだしている。
蔵猫と呼ばせてもらおう。
喜多方の夕食は、当然喜多方ラーメンということになるが、ラーメンは〆にしたいので、とりあえず酒を飲むべく宿近くの居酒屋「晩酌屋喜っせ」に入る。
そこでここの名物らしき、「イカの墨ごろ焼き」をアテに酒を飲む。
これはイカの身全部(身、嘴、ミミ、目、ゲソ)を、すりつぶした内臓を混ぜたイカ墨をからませて焼いたもの。生の海を感じる、野生の料理という感じですね。
さて居酒屋で軽く飲んで、次は喜多方ラーメンを食おうと思ったが、街中を歩くうちに意外なことを発見。
喜多方ラーメンって地元の人にとっては「食事」なのであって、九州人のように飲んだ後にラーメンで〆るという発想はなく、ゆえにラーメン店は午後7時過ぎると軒並み閉店しているのであった。
そして、喜多方の人は三食でもラーメンを食べるので、朝からラーメンを食うため、それらの店は朝7時には開店する必要がある。(それもあって夜早く閉めるわけだ)
しょうがないので、明日は朝からラーメン食うことにしよう。…しかし、朝からラーメンはきついなあ。
ラーメンを食い損ねたので、腹に余裕がある。
それで郷土料理店の「田舎家」に行き、さらに酒を飲むことにした。
会津の郷土料理は、地鶏に、地鶏を使った玉子焼き、それに馬だそうだ。馬は熊本でいくらでも食ったので、地鶏料理にした。
そういうわけで翌朝は、坂内食堂というラーメン店で朝ラーメン。
朝というのに、客はかなり入っていた。
ラーメンは、函館ラーメンから魚介系を除いた感じの塩ラーメン。澄んだ味で、全体として優しい味わいのあっさり系ラーメンであり、これなら朝からでも可能だな。
熊本ラーメンみたいなコテコテ系ラーメンなら、朝食にはとても無理だが。
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