福島編(6) 磐城塙→白河関→南湖→白河市 52.3km
磐城塙から白河市までの45kmほどの道は、さしたるアップダウンもなく気楽に走行できるコースである。
白河といえば、一番有名なのは「白河の関」なので、寄ってみた。
白河の関は、「ここから先は東北ですよ。覚悟して行ってください」との意味を持つ、かつての交通の要所だったので、地形的に、そのような地域を隔てる特異な形態を持っている場所かと思っていたが、たんなる平地であった。
歌枕でもある白河の関は、能因法師が秋風を読んだ歌「秋風ぞ吹く白河の関」が特に有名。そして、私が訪れた日も爽やかな秋風が吹いているのであった。
続いて白河市の名物「南湖公園」の翆楽苑に行き、紅葉を鑑賞。
今がちょうど旬であった。
南湖公園は白河藩主松平定信が藩の庶民のために造成した公園である。
歴史では無能な政治家の典型として扱われる定信も、地方ではいいことをしていたのであり、じっさいに白河では今でも定信は名君と評価されている。
翆楽苑では、紅葉の時期にライトアップが行われているので、日が暮れたのちまた訪れてみた。
昼の錦絵のような紅葉群もいいが、夜の闇にスポットライトを浴びて浮かび上がる紅葉は、それとは違う凄絶な美しさを感じる。
白河城は東北三名城のうちの一つに数えられる、白河市のシンボルのような城である。
ここに寄ってみたら、…石垣が崩れてしまっていて、立ち入り禁止となっていた。
もちろん東北大震災による被害なわけだが、本格的に築城されてから400年ほどが経ち、地震の多い東北でもその地震に耐えて来た石垣が、今回の震災でもろくも崩れ落ちてしまったわけで、先の震災がいかに桁外れの規模のものだったかが分かる。
夕食は、ホテル近くを散策し「仁すし」という寿司屋が美味そうな雰囲気があったので、そこにしてみた。
もう秋も深まり松茸のシーズンとなっているので、今年の初土瓶蒸しを頼む。
この店の土瓶蒸しは炭火コンロ付きという珍しいスタイル。たしかにこっちのほうがさめないので、熱々の土瓶蒸しが楽しめる。
メロウとは銀ムツとのこと。
上品な旨みと、ホクホクした食感がまたよろしい。
肴もなかなかのものであったが、鮨の素材がしっかりしていて驚いた。
白河市は内陸部なのに、下手な近海部の寿司店よりよほどレベルが上である。
マグロなどは、生の本マグロが出てきたくらいのものだ。
白河市、たいしたものである。
明日はまたハードな峠越えがあるので、本日はさらりと切り上げる予定だったが、料理が美味いのと、ついつい店主と話が長引いたついでビール1本、酒5合飲んで、最後の客になってしまった。
…東北では地震の体験とその後の苦労の話については、無尽蔵にあり、ずっと聞いているときりがないので、適当なところで切り上げさせてもらったけど、今一番困っているのはやはり風評被害とのこと。
白河市は東京から高速道路で直結しているので、ゴルフに来る客が多かったのに、白河市が福島県にあるという理由だけで忌避されるようになってしまい、ゴルフ場も飲食店も客が激減してしまって大変とのこと。
福島の今の惨状の原因については、悪いのはまずは天災であり、そして次が東京電力であろうが、それでも原発近傍ならいざしらず、健康被害など出るはずもない線量の地域まで対象とした「福島は危険だ」というデマもまた、それらに負けず劣らずに困ったものである。
そんなデマが堂々と流されて福島の経済にダメージを与えている現況は、国をあげての福島イジメにしか私には思えんですわ。
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