福島編(7) 白河市→二岐温泉 大丸あすなろ旅館 50.4km
白河市からは新潟へ向けて走るのだが、新潟に至るルートは数多くある。
地図をみればその途上でいちばん目を引く地名は「喜多方」である。
食い歩き(走り?)を兼ねたサイクリングとしては、全国的に有名な「喜多方」を外すわけにはいかない。そして白河から喜多方までの道を検討すると、途中にあの「二岐温泉」があるのを見つけた。
二岐温泉は、つげ義春の一連の温泉漫画のなかの一編に書かれており、そこで描写された滅法な過疎地ぶりや鄙び方が温泉マニアの心の琴線にふれるみたいで、交通の便が非常に悪いところなのに、全国的に知られた温泉となっている。
九州在住者として、こういうマニアックな温泉は訪れる機会などほとんどないだろうから、今行かねば、たぶん一生行くことはない。
というわけで、二岐温泉に泊まることにした。
宿に電話すると、「白河市からなら県道37号線が一番近いけど、今は通行止めになっているから気をつけてください。それと、…自転車だとどの道でもすごくきついですよ」と言われた。
県道37号線が使えないので、そのつぎの近道である県道58号線を使って二岐温泉を目指すことにする。この道も工事中の標識があったが、いちおう交通規制のみで通行は可能なことを確認して走行。この道は最初のうちは平坦であったが、そのうち山のなかに入り込んでいって、道幅は狭く、傾斜も急な本格的な山道となった。
こういう離合も困難な山道なのであるが、車も少ないながら通行していた。
少々遠回りになるが、会津方向には国道118号線という立派な道路があるだろうに、なにを好んでこういう走りにくい道を車で走るんだろうと思っていたが、標高が高くなるにつれ、樹々が鮮やかな紅葉に染まってきたので、たぶん紅葉見物の車たちだったんだろうな。
道沿いには渓谷が走っており、そこでは紅葉は真っ盛りであり、極上の錦絵模様が広がっていた。
峠を越えてしばらく下りると国道118号線へと合流した。
この部位での国道118号線は高度が高めなこともあり、紅葉もいい具合である。
道も広々とした走りやすい道であり、快適に自転車を走らせる。
国道118号線から二岐温泉へ分岐している道は、またも登り坂である。
結局白河市からは、大きな峠を二つ越えて、二岐温泉へと到着することとなった。
二岐温泉は、つげ義春によると、「狭い渓谷に数軒の宿が崖にしがみつくように点在している、鄙びた湯治場」とのことだが、今現在見る二岐温泉はそこまでは鄙びていない。
まあ、つげ義春が訪れたときは、「一泊二食で600円」という時代だったから、もうそれから相当な月日が経ったわけで、そりゃ温泉地も変化するでしょうな。
宿泊した、二岐温泉「大丸あすなろ荘」の夕食。
料理は、写真のものに加えて、鮎の塩焼きと山菜の天麩羅が加わる。フタをしているのは土瓶蒸しと豚の蒸し煮。
山の温泉旅館では、このような地元で獲れたものを出したいという気持ちのよく分かる好感の持てる料理。
なかなかに美味しかった。
しかし、こういう温泉宿で最高のご馳走は温泉。
宿には豊富な源泉をふんだんに使った風呂がいくつもあり、どれも気持ちのいいものであった。
そしてそのなかでも特に気持ちよいのは、渓流沿いの露天風呂。
渓流の流れのすぐ傍で、清流の音を聞きながら、紅葉を眺めながら、湯につかるのは最高級の贅沢である。
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