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October 2011の記事

October 31, 2011

福島編(2) 飯坂温泉

【朝食】
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 かわせみの朝食は夕食に劣らず絶品である。
 鰆西京焼き、生ハム、イクラ、車海老・ホタテ貝・麩・季節野菜の朴葉焼き、味噌汁(浅蜊が大きい)、パリパリの焼海苔、等々。
 良い朝食のおかずは、そのまま良いツマミとなる。そして今日はサイクリングの予定もないので、これを肴に朝からビールをあけよう。
 …ああ、幸せ。
 優雅な休日じゃ。

【かわせみ正面】
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 かわせみ玄関への道はこんな感じ。
 緑あふるる樹木と、優美な曲線をえがいた砂利を敷き詰めた道。
 かわせみを訪れた人は、この段階ですでにかわせみワールドに引き込まれる。

【医王寺】
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 朝食のあとは飯坂温泉を散策。
 福島市の奥座敷的存在である飯坂温泉は、温泉以外なにもないようなところであるが、それでも医王寺がいちおうの名所。(医王寺という名の寺は全国のあちこちにあるけれど宗派があちこちで違っていてなにやらよく分からん寺である)
 飯坂温泉の医王寺は奥州藤原時代のこの地の豪族の菩提寺である。
 この一族が源義経に随行して各地を転戦し亡くなったことで有名であり、松尾芭蕉も奥の細道紀行のさい訪れて句を詠んでいる。

【庭】
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 宿に戻って、本日は部屋を変えて、「雛罌粟」という部屋。昨日の「小萩」とは違って、紅葉は気配もなし。これはしくじったか。

【露天風呂】
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 それでも露天風呂から見る風景は、緑の樹々のほうが、風呂から流れ落ちる源泉のお湯の、水多き風景とマッチしていたようではあった。

【夕食1】
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 かわせみ連泊の二日目の夕食。当然ながら昨日とは全くメニューはかぶっていない。
 この酒肴の盛り合わせは、素朴そうに見えて、それぞれがじつに手の込んだ料理となっており、感服しながら酒がどんどん進む。

【夕食2】
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 本日のメインは「ノドグロとタラバ蟹の極上白子グラタン」という派手なもの。
 タラバ蟹、ノドグロという日本を代表する濃厚食材を主役として、これも日本を代表する食材、フグの白子をベースにしたホワイトソースで、聖護院カブ、舞茸、餅も入れてグラタン鍋にするという、混沌の極みにあるような料理。
 こういう「いいものなんでも突っ込む系料理」は、えてして単に贅沢の極致を目指す珍料理となりがちであり、…まあその気もないではないが、でも「ご馳走を食いたい」と願いここを訪れる人には、必ず満足感を与えられる、凄まじい料理。
 これをしっかりと食い、かわせみワールドの世界を堪能してしまった。

 連泊してよりよく分かったけど、この宿では、「客に美味いものを食わせたい」という料理人の気持ちが、ひしひしと迫真性をもって伝わってくる。
 この迫力を味わうためだけでも、かわせみに泊まる価値は十二分にあります。

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October 30, 2011

福島編(1) 米沢→飯坂温泉(御宿かわせみ) 43.5km

【ランドナー】
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 泊まったホテルにはもう一人自転車旅行者がいて、ホテルの正面に自転車を立て掛けていた。
 この自転車が正統派ランドナーであった。
 荷物を積んでの長距離旅行用の自転車は、それ専用のものというのがじつは市販していなく、個人好みのパーツを組み立ててのオーダメイドとなる。
 この自転車のオーナーは自転車生活の長い人であり、その流れで行きついた自転車なので、やはり格好いいですね。
 私も本当はランドナーで自転車旅行したかったのだが、ドタバタしてオーダー自転車までは行きつかず、結局出来あいのツーリングバイク、Giant Great journeyで旅することになった。このバイクで何が困る、ということはないのだが、stylishでないのが難なんだよなあ。まあ、Giantの自転車は全般的にそうなのだが。

 さて、米沢からはどこへ向かうべきか。
 角館に入ったついでに、ずっと東北の真ん中を南下したので、東北の食の宝庫庄内地方をすっ飛ばしてしまっている。それでここから日本海側に戻るのが賢明とは思う。
 しかし地図を見ると、米沢市は福島市に近い。福島市、というか飯坂温泉には料理の美味い名宿「御宿かわせみ」がある。予約の難しい人気旅館ではあるが、今の時期は放射能騒ぎのせいで、福島のどの旅館も閑古鳥が鳴いているとかの話を聞くので、試しにかわせみにTEL。空室あり、一人でも可とのことで飯坂温泉に向かうことにした。

【栗子峠へ】
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 山形福島県境には栗子峠という難所があり、けっこうハードそうな峠である。
 峠には国道13号線の旧道を使っていけるはずで、その道の入り口を探していたが、見つからずに西栗子トンネルまで来てしまった。

【西栗子トンネル】
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 山形福島両県をまたぐ西栗子トンネルは、全長2675mという長大なトンネルである。
 半世紀近い前に造られたトンネルだけあって、じつに不便というか、自転車に優しくないトンネルであった。
 古い規格のトンネルゆえ道そのものが狭く、大型車など車線いっぱいである。そして路側帯はなきに等しい狭さで、白線にはスリットが刻まれ、そこに車輪を乗せるのも危険だ。
 歩行者用の部分に逃げようにも、狭い側溝の蓋を50cm以上も盛り上げたつくりになっており、歩くのさえ困難で使いようがない。
 車の通行量が少ないのが唯一の救いであったが、こんなとんでもないつくりのトンネルを2km半走るのは恐怖以外の何物でもなかった。

【西栗子トンネル出口】
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 命からがらという感じで西栗子トンネルを脱出。
 トンネル内はとても写真など撮る余裕はなかったが、この写真で示すように、路側帯はほとんどなく、そして歩道(?)も高く狭く、とても使いものにならない。現在の規格では考えられないトンネルだ。
 こんなトンネルは絶対嫌だ! もう二度と通らん、と固く決意した。

 …しかし、国道13号線は、西栗子トンネルに続いて、まったく同じようなつくりと長さの「東栗子トンネル」があるのであった。

 似たような感じで命からがら東栗子トンネルを抜けたあとは、すっかりトンネル恐怖症になってしまったであることよ。
 ちなみに旅行を終え数百のトンネルを通った経験から、こんなに恐かったトンネルはここだけであった。この2つのトンネルは全国的にも極端な存在である。

 栗子トンネルを越えては国道13号線もまっとうな道となり、下り基調で福島は飯坂温泉に到着。

【飯坂温泉中心地】
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 西行法師も訪れたという歴史のある飯坂温泉は、かつては賑わっていたのだが、今では摺上川沿いの大型ホテルも廃業が相次ぎ、閑散とした静かな温泉街となっている。
 ただでさえ下り坂傾向にある飯坂温泉に、原発事故が重なったため、どこも大変だそうだ。

【飯坂温泉 のぼり】
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 まあ、それでも地道に頑張らねばなんともならないわけで、気合いを入れるこういうのぼりも街中にあったりした。

【御宿かわせみ】
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 御宿かわせみに到着。
 飯坂温泉、というより東北を代表する名宿である。
 私は8年前にここに泊まり、部屋、庭、接客、料理等々、なるほど高級宿とはこういうものなのかと感銘を受けたことがある。
 そのレベルの高さから人気の高い宿であったのだが、東日本大震災で施設が損傷して休業を余儀なくされ、修復ののちやっと再営業したのに、原発事故の影響で客足が戻らず、けっこう苦労しているそうだ。
 福島および東北各県では毎日空間線量の値が定期的にニュースで流されており、いずこも健康被害など出るはずもない値なのは容易に分かることなんだけどなあ。この「なんだかよくわからんが、とにかく放射能恐いムード」が治まるには、いつまでかかるのだろう。

【かわせみ 庭】
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 かわせみは、部屋も庭も完成度が高い。
 庭はまだ紅葉の時期には早かったのだが、中央の樹が一本いい塩梅に紅葉しており、周囲の緑のなかでいいアクセントになっており、趣ある風景となっていた。

【かわせみ 夕食】
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 さて、楽しみの夕食。
 この宿は「非日常」を演出する宿で、特に料理にその特徴が出ている。
 素材は鮮度のよい高級食材を全国から集め、それを惜しげもなく、これでもかこれでもかと、次々に供される。そしてその象徴が月がわりの特選メニュー。
 「格別の素材を、正当、伝統的な手法で調理し、しかし新たな発見のある料理」てふうなコンセプトの料理だと思うけど、たぶんここでしか食べられない料理。
 10月の特選メニューは、「フォアグラスープに、フカヒレ,フレッシュジロール茸,海老芋,蓮根」というもの。こういう個性の強い食材ばかりだと、どこかでバランスが破綻しそうなものであるが、これがギリギリのところでうまくまとまっているという、独創的な料理。

【夜食のおにぎり】
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 食事の量が多く、それにつれ酒も多く飲むので、とても御飯までは行きつかず、残りは夜食用のおにぎりとなる。
 これもいい塩加減で美味しいんですよね。
 真夜中、腹はたいして減っているわけでもないが、むしゃむしゃと食す。

【夜の庭】
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 写真の出来はよくないが、紅葉はやはりライトアップでも見てみたい。
 かわせみは当然その期待に沿うように明かりが設置されており、日が暮れての庭は幻想的に美しい。


 ところで天気予報では、明日は終日雨の予報。
 ならば飯坂温泉に停滞して、かわせみに連泊することにするか。客も少ないようだし。
 仲居さんに部屋の空きを聞くとあるとのことで連泊決定。
 まさか同じ料理を出すわけにはいかんので、料理長には負担かかるだろうなーとは思ったが、料理長から連泊用の仕入れのプランができましたとの、仲居さん経由の伝言あり。
 明日も楽しみである。

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October 29, 2011

山形編(2) 山形市→上山市→南陽市→米沢市 62.8km

【芋煮】
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 ホテルキャッスル山形にて朝食。
 シティホテルらしく朝食のバイキングは美味しそうな料理がたくさん並べられていたが、そのなかに「山形名物コーナー」があり、芋煮汁があった。これ食べていなかったので、朝食にチョイス。
 その芋煮の写真を撮っていると調理場の料理長から声をかけられ、いろいろと雑談。九州宮崎から旅行中ですと言うと、料理長も宮崎出身の人で、東京のレストランに勤めたのち、奥さんの地元の山形に戻って働いているとのこと。
 今度山形に来られたときはディナーなども、と言われ名刺までもらってしまった。

【山形城】
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 全国津々浦々に存在するキャッスルと名前のつくホテルは、経営母体がどうなっているのかは知らないけど、たいてい城のそばにあるものだと理解している。
 しかし山形のホテルキャッスルはあまり城に近い位置にあるとは言えず、ならばと山形城まで散歩に出かけた。
 ま、普通の城跡です。

【山形上山市の高層マンション】
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 本日は米沢牛を目的に、米沢市へ国道13号線を使って南下。
 この国道は高規格化が進んでいてほぼ自動車専用道路みたいなつくりになっており、自転車で走っていてなにか違和感があった。(もしかして自動車専用道?と何度も標識を確認したが、そのような標識はついに見つからず)
 その国道13号線を走行中、全国的に有名な「山形の高層マンション」を発見。
なにもないような郊外の田園地帯に、ぽつんと立つ超高層マンションの姿がよく写真で紹介されており、たしかにシュールな姿である。
 ただし現地に行けば、このマンションの向かい側は住宅街であり、そちらから見ればまったく普通の風景だ。ようするに写真の撮り方の問題なのである。

 上山市にはほかに名所として「斎藤茂吉記念館」があったはずだが、見つけることができずそのまま通り過ぎてしまった。

【熊野大社大銀杏】
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 米沢市にこのまま真っ直ぐ行ってしまっては時間が余るので、途中で南陽市にある熊野大社に寄ってみた。
 ここは源義家が植えさせたという伝説の残る大銀杏が有名なのである。
 たしかにそういう古い歴史を感じさせる巨大な銀杏であったが、残念ながら黄葉の時期にはまだ早かった。この膨大な量の葉が金色に染まった姿はさぞかし見ものであろう。


 熊野神社を散策したのちに、さらに13号線を下り米沢市に着。
 米沢牛が有名なところであるが、そのとおりに街のいたるところに、米沢牛を出すステーキハウス、焼き肉店がある。それは当たり前として、居酒屋、定食店、カレー店とかも、「米沢牛あります」との看板が出ており、街全体で米沢牛一色なのは、さすがと感心した。

【登起波の米沢牛】
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 というわけで、米沢牛を食おう。
 妙な店だと「なんちゃって米沢牛」が出るおそれがあるので、「登起波」という店にした。この店は米沢牛の販売店を併設しており、本物が出るのは間違いなかろう。
 私は牛肉の食いかたは、しゃぶしゃぶ>焼き肉>ステーキ>すき焼きという偏見を持っている。というかしゃぶしゃぶじゃないと日本酒の肴にならんし。
 それでしゃぶしゃぶを頼もうとしたのだが、…この店では、しゃぶしゃぶは2人前からとなっている。
 えーい、ここは男らしく、2人前注文じゃい。 

 しゃぶしゃぶはあっさりしているので、2人前くらいは大丈夫とは思ったものの、米沢牛、さすが日本三大和牛だけあって、サシの入りが多く、2人前食うと腹にもたれ、牛はもう結構、あと半年食わなくていいやって気分になった。
 いや、米沢牛そのものは大変美味かったのであるが。

【上杉神社】
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 米沢は米沢牛とともに上杉家の領地でも有名だ。
 上杉鷹山、直江兼続といったスターも輩出している。
 せっかくなのでここにも寄ってみた。そこかしこに、それら有名人の銅像などもあり、歴史マニアにはお勧めのところである。


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October 28, 2011

山形編(1) 湯沢横掘→新庄→天童→山形市 112.5km

【県境へ】
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 東北は奥羽山脈という巨大な山脈が中央を縦に貫いており、それぞれの山で県境ラインがひかれているので、県から県への移動はどこもけっこう大変である。
 秋田→山形も当然山越えがあるわけで、今見えている山に向けて登っていかねばならない。

【山道】
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 高度を上げると山道に入るが、紅葉もそろそろ始まりだしたころである。

【県境】
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 坂を登りつめ、県境へ。
 トンネルを抜ければ山形県である。
 ただしここは峠の一つにすぎず、これからも新庄市にかけて、いくつもの峠を越えていかねばならない。

【鳥海山】
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 峠を越えて新庄市にいたる平野に入り、見晴らしがよくなると、名峰鳥海山が見える。
 秋田富士の名前のとおり秀麗な山容の山であるが、山頂部は冠雪しており、すでに雪山の季節に入ろうとしている。

【天童市】
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 新庄市からは比較的フラットな道が続き、快適に自転車を走らせることができる。そして、将棋と温泉の町、天童へと。
 温泉につかりながら一泊したいところであるが、ここには一回泊まったことがあるので、さらに足を伸ばし、山形市を本日の宿泊地とした。

 そして山形市に到着。
 山形といえば山形牛くらいしか名物を知らないので、牛でも食おうかと料理店をネットで検索。すると、山の中の山形市で江戸前鮨を出す店を発見。牛よりは鮨のほうが食いたいよな~と、ついついそちらを予約してしまった。
 牛については、次は米沢市に泊まって米沢牛を食うことにした。

【いしやま寿司】
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 というわけで、夕食は「いしやま寿司」にて。
 なぜ内陸部の山形市で江戸前寿司?と誰もが思うわけであるが、店主は寿司は江戸前が美味いとの信念から、15年前より江戸前鮨をこの地で握ってきたとのこと。
 やはり、というか当然最初の数年は客は来なかったが、それでも頑張っているうちに、なんとか客がつくようになったそうだ。
 ネタケースを見ても素材はなかなかいいものを仕入れている。そして江戸前の基本、コハダ、〆モノ、穴子は技術もしっかりした上質のものであった。
 内陸部でも美味い江戸前寿司を食いたい人は必ずいるわけであり、この店はその希望を十分にかなえてくれる店であろう。
 私が店主に東北では「寿司一」と「すし匠」を訪れました、と言うと、そういう店と比べられては困りますと笑って言っていたが、そのうち肩を並べられる店になることは期待できると思う。



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October 27, 2011

秋田編(9)大曲→横手→湯沢横掘 68.8km

 大曲からは南に向けて走行。
 このルート上の横手市金沢は「後三年の役」の起きたところで、古戦場跡や公園、資料館などに寄ってみた。
 なにしろ1000年近い前の争いなので、痕跡のようなものはほとんど残ってはいないのだが、それでも鎌倉幕府の出来たモトのような歴史的重大な事件のあったとこゆえ、歴史好きには是非訪れたいポイントだ。

【資料館近く】
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【平安の風わたる公園】
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 古戦場跡につくられた公園だそうだが、その歴史とは少々離れたネーミングの公園である。
 この三連の太鼓橋など見ごたえがある。

【後三年駅】
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 この地の最寄りの駅の名前が「後三年駅」。
 もちろん「後三年の役」にちなんだものなのだろうが、センスがいいのか悪いのかよく分からんネーミングである。

 ここを越えてしばらくすると横手市市街地になる。
 横手市は「横手焼きそば」で有名なので、一度食ってみようと店を横目で探しながら走行したが、見つからずに横手市を通り過ぎてしまった。
 残念。
 ちゃんと市内の奥まで入るべきであったか。

【小町堂】
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 本日のサイクリングは山形県の手前、湯沢市横掘まで。
 県境は坂を登っていかないといけないので、それで坂の手前の横掘を宿にしたわけで、横掘については位置以外なんの事前情報も持ってなかった。そして着いてみると、ここは小野小町の誕生の地で有名だそうだ。
 日本歴史上最高の美女小野小町は、その歌以外なにも詳しいことが分かっていない人だったはずだが、こんなところに生誕の地があったのかあ。
 そういえば「あきたこまち」とか「新幹線こまち号」とか、秋田県は小野小町を使った名称のものが多いけど、そういうわけだったんだな。
 (私はてっきり秋田は美人が多いから、そういう名称を使っているんだと思っていた)
 というわけで、湯沢市横掘には、小野小町を祀った御堂があるのである。

【民宿 小町荘】
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 宿泊した民宿は「小町荘」という優雅な名前。
 しかし、…普通の民宿だわな。

【夕食(オードブル)】
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 横掘は、小町堂以外はなにもないと言ってよいようなところで、商店街なんてものはない。町なかを散策し、かろうじて見つけたレストラン「バルーガ」で夕食。
 けっこうがっつりした料理が出てきて、ビールを美味しく飲めた。


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October 26, 2011

秋田編(8) 角館→田沢湖→大曲 77.8km

 朝、寒くて目が覚めた。本日は今年一番の冷え込みとニュースで言っている。
 …そしてこのあとも寒い日は続くことになる。

【田沢湖へ】
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 角館を出て国道46号線に入り、田沢湖を目指す。大きな虹が出ていた。

【温度計】
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 寒い寒いと思いながら自転車を走らせていたところ、道路の温度標識が6℃を示している。
 どうりで寒いはずだよ、と思ったけど、今思えば6℃なんて可愛いものであった。

【田沢湖手前】
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 田沢湖は火口湖でないので、さほど高い山を登らずに到達できるが、それでも湖の手前にそれなりの坂があり、ここを登りつめれば湖を見ることができる。

【田沢湖】
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 日本一水深の深い湖、田沢湖に到着。
 澄んだ藍色の湖面の色で有名であるが、本日は曇天のため、その美しさがよく分からないのが残念。

【田沢湖周囲】
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 田沢湖周囲を半周。
 湖周囲はフラットで走りやすく、眺めも良い。紅葉の盛りのときは、さぞかし気持ちの良い道となるであろう。

 角館から田沢湖に向かったからには、その方向のまま行けば、岩手雫石であり、そのまま抜けるのが自然なコースだ。
 しかし岩手に出てしまうと、沿岸の道路状況がいまだ回復しておらず、自転車の走行が困難極まると思われるので、ここは国道105号線を秋田大曲方向へ引き返すことにする。

【大曲B級グルメ】
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 そういうわけで角館を通り過ぎて、大曲市に到着。
 大曲市は、全国的に「花火の町」で有名で、毎月花火大会をやっており、かつ昼間でも花火大会をするという所だそうだ。運よく花火大会が開かれておればラッキーであったが、もちろんそういうことはなかった。
 この地の食の名物は、ホテルに置いていたメニュー表によると「カレー旨麺」とか、「横手焼きそば」とかだそうだ。あと花火にちなんだ「打ち上げラーメン」なんてものがあるそうで、ハンバーグとタバスコが入った強烈なラーメンとのこと。
 いずれもあんまり食指が動くようなものでもなく、結局は近くにあった「びんずる」という居酒屋に行った。

【造り】
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 居酒屋では、定番的につくりと焼き魚などを食った。
 内陸部にしては良い素材を使った、けっこういいレベルの店であった。  


 

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October 25, 2011

秋田編(7) 角館

【ホテルの窓からの風景】
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 本日は終日雨の予報であったが、外を眺めても雨が降っている。
 それゆえ角館に滞在。せっかくの観光地でもあることだから、じっくりと見てみることにする。…といっても、小さな町なので徒歩3時間ほどでだいたい回ってしまったのであったが。

【角館駅】
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 角館は小さな町で、駅もこじんまりとしている。しかし時刻表を見れば分かるとおり、ここは新幹線が走っているのだ。観光地としてはこれは大きなメリットであるな。

【角館武家屋敷】
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 角館は古い家々が保存されており、さらに樹木も大きく生い茂っており、古の良き時代の雰囲気が濃厚に漂っている。
 そして、武家屋敷の雨に濡れた風景もなかなか風情のあるものであった。

【しょっつる鍋】
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 秋田の名物といえば、「きりたんぽ」に「しょっつる鍋」。
 「きりたんぽ」は大館で食べたので、「しょっつる鍋」を食べようと思った。町なかをぶらぶらするうち、郷土料理店を見つけたのでそこで「しょっつる鍋」を注文。
 しょっつる鍋って、「魚醤を使う鍋」ということくらいしか前知識がなかったので、エスニック風な鍋と勝手に予想していたが、塩味と魚の香りが前に出る潮汁で煮た鍋、という感じであった。
 これが、具のハタハタが煮詰められていくにつれ、元の魚醤との相乗効果でハタハタの出汁がより強くなり、だんだんとハタハタ鍋みたいな感じとなっていく。なにやらよく分からん不思議な味わいの鍋であった。

【寿司】
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 しょっつる鍋を食ったのち、まだ腹に余裕があったので、寿司を食いに行く。
 こういう山のなかの寿司店はなにか変ったネタを使っているかも、との探究心もあったので。(まさかキリタンポとかは使わないにせよ)
 しかし、イカ、エビ、白身、赤身、…とまっとうなネタを用いる普通の寿司店であった。
 店のなかの客は地元の人が多いようであったので、ここは観光客はあまり来ないのですか?とたずねると、残念ながら角館は近くに田沢湖という景色も良く温泉も出るところがあって、この界隈に泊まる人は角館でなく田沢湖に行ってしまうので、夜の観光客は少ないのですよとのことであった。
 たしかに角館は観光地のわりに宿泊施設は少ないのであるが、そういうわけだったのか。

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October 24, 2011

秋田編(6) 秋田市→角館 56.8km

 秋田市から国道13号線を使って、有名な観光地角館へと走行。
 山方面に向かっているのだが、さほどのアップダウンもない楽なルートであった。

【角館通り】
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【角館看板】
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 角館といえば、武家屋敷で有名。ここの通りは桜の時期、紅葉の時期はさぞかし見事なものとなるのだろうが、残念ながら紅葉には盛りが外れていた。

【角館落合球場】
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 角館を自転車で散策するに、ずいぶんと立派な野球場がある。
 名を「角館落合球場」という。落合監督、秋田出身ということは知っていたが、球場に名前がつくまで地元では評価されているんだ。ま、落合氏に関しては、選手時代も、監督時代もその業績はたしかに超一流なのではあるが。

【じん市1】
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【じん市2】
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【じん市3】
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 角館での夕食は、秋田市の「すし匠」店主から秋田県での一押しです、と言われた「じん市」にて。
 この店、ネットで場所やメニューなど調べたら、元は角館の有名店「一行樹」なのであった。だいぶ前に角館から東京銀座に出たものと思っていたけど、いつのまにか角館に戻って来ていたのである。
 あとで聞けば銀座で何があったというわけでもなく、銀座で様々な刺戟を受けてさらに料理のレベルをアップさせて郷里に戻ってきたそう。
 料理は和洋組み合わせた創作系のものでいずれも完成度高い。
 造りの盛り合わせは、フグの焼きしも、ヒラマサ、タコを鱧風に切ったもの。秋田の信頼する料理から旬の良いものを直接仕入れ、それにさらに何段階も手を加え、いずれも旨み充分で、歯触り口触りも楽しい。
 魚の香草包み焼きは、セイゴ、ヒラメ、サバ。それぞれの味が一口かめば、ぱっと広がる。
 テリーヌは、牛タンのクレソンジュレ添え。見た目にたいそう美しく、また食べれば見ため同様に美味しい。

 観光シーズンでないせいか、6時からの時点では客は私一人。女将さんが全力で接客してくれているのが、なんか心苦しくなる。ちなみに女将は店主の奥さんなのであるが、ちゃんと肩書があって「笑顔人」と名刺に書かれている。
 そのとおり笑顔あふれる接客であった。美味しいものを食べれば、客も笑顔いっぱいになるので、笑顔の満ちた店である。

 角館は東京から新幹線が通っていることもあり、けっこう近い。
 だから日帰りも可能なので、遠方から来る客がやはり多いとのこと。本日も私一人だけ、というわけではなく、新幹線の時間に合わせてあとで来るグループありとのことであった。
 この店は、桜,紅葉の時期など、予約が困難極まることになっているであろうな。


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October 23, 2011

秋田編(5) 秋田市滞在

【秋田 ねぶり流し館】
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 秋田といえば、「竿燈祭り」。
 ただし今の時期にやってるはずはないので、民芸伝承館に行って、それらしきものを見に行く。
 やはりこれが闇のなか、明かり満載で歩く姿を見たくなる。
 七夕のシーズンに秋田に訪れる、という宿題ができてしまった。

【稲庭うどん】
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 秋田名物は、「きりたんぽ」「しょっつる鍋」「稲庭うどん」。
 というわけで昼食は稲庭うどんを食うことにする。
 昨夜仕入れた情報では、本場秋田の一番のお勧めの稲庭うどんは、「七代目佐藤養助」ということで、それにしました。
 メニューに、冷やしのせいろと温いかけうどんの二つが食べられるセットがあったのでそれを注文。
 せいろは「柔らかめの更科蕎麦」という感じで、けっこういける。かけうどんはいかにも東北的な素朴なものである。

【酒庵たなか】
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 夕食は、秋田の居酒屋では一押しと、すし匠店主から勧められた「酒庵たなか」にて。
 訪れてみると、居酒屋というより、酒の豊富な和食店というようなかんじの店であった。
 おまかせコースを頼む。

 ・ガサエビの唐揚げ
 ・モズクと山芋の和え物
 ・地魚のつくり(ソイナ、スズキ、ガサエビ、タコ)
 ・鮎の唐揚げ
 ・鰹の生節
 ・白魚と椎茸の煮もの
 ・鱸と鱈の白子の炙り
 ・ウルカ、カニミソ
 ・比内鶏の貝殻焼き
 ・蕎麦

 地の素材を主に用いた地方色の豊かなもの。(鮎は自分で釣ってきたりするそうだ。それに蕎麦も自分で打つとのこと)
 そして酒のそろいも豊かで、いかにも酒に合いそうな料理の数々に、しっかりとあう美味い酒が次々に出され、 これは酒飲みには極上の店だ。
 「酒庵たなか」、これは見事な名店であります。

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October 22, 2011

秋田編(4)男鹿→男鹿半島→秋田市 87.5km

【男鹿半島 ナマハゲ】
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 男鹿といえば、男鹿半島。あのナマハゲで有名なところである。
 それで休憩所にはこのような大きな像もあったりする。
 ナマハゲって、「悪い子はいねーがー」とか言って民家に暴れこんでくる、悪教師系の妖怪と思っていたが、ここの解説文を読んでみたら、ナマハゲって「漢の武帝の家来」が起源なんですねえ。知らなかった。

【ゴジラ岩1】
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【ゴジラ岩2】
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 本日は男鹿半島を一周して、それからは国道を南下して、秋田市へ向かうルートを取る。
 男鹿半島は、アップダウンがきつく、予想以上にハードなルートであった。
 海岸線は複雑で変化に富んでおり、そして奇岩、巨岩がいくらでもあり楽しめる。写真は、そういう岩を代表する、ゴジラ岩。たしかにゴジラの形である。時期によっては夕日が背景となり、夕日が口に中に入る絶景を観ることができるとのこと。

【男鹿半島】
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 アップダウンの激しい男鹿半島の道での最高点がここあたり。
 日本海を遠くまで望むことができる。

【秋田港】
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 男鹿半島を一周したのちは、国道7号線に入り、それからはフラットルートだ。
 秋田港が見えると秋田市はもう近い。

【すし匠】
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 秋田で寿司といえば、やはりまずは「すし匠」ということになる。
 この店の師匠筋になる「四谷すし匠」は、寿司の新時代を切り開いた店であり、極上の肴、鮨を交互に供す、酒飲みにはたまらないスタイル。
 店主は東京の本店で修行を重ね、このような美味しいものを東京でだけ食べられるのは勿体ない話だと、地元に帰り、そこで地産のものにはさほどこだわらず、全国から良い素材を集め、本店に劣らぬ高水準の料理を出している。そのスタイルは秋田でも当然支持され、もう秋田に開業して長くなるという。

 料理の美味さの楽しさに加え、秋田の美味しい店と料理などについて、隣の常連客と店主を交えて歓談し、貴重な情報を得られ、有意義かつ楽しい一夜でありました。


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October 21, 2011

秋田編(3) 大館→男鹿 99.5km

【秋田犬会館】
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 大館市というところがどんなところか全く知らなかったので情報を集めたが、日本を代表する犬「秋田犬」の産地みたいなところで、その博物館みたいな「秋田犬会館」が市内にあるとのことで、行ってきた。
 館の正面には、渋谷の忠犬ハチ公の銅像。あのハチ公は秋田出身の秋田犬なのであった。
 会館では秋田犬の歴史について勉強。秋田犬は、もともとはマタギの猟犬であり、飼犬というより、本来は狩猟犬だったことを知りました。

【八郎潟】
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 秋田自体が広々したところで走りやすかったが、八郎潟に至れば、されに広々とした風景が広がっている。
 この周辺の道路は干拓地なのでフラットな道が延々と続いており、ペダルを容易に回せ、どんどん速度は出るが、調子に乗って高速巡行しているとけっこう疲れた。 

【日本海】
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 そのまま進んでいくと、海に突き当たった。
 今回の旅で、初めて見る日本海である
 ここからは男鹿駅が近く、すぐに男鹿駅まで到着。
 男鹿って、ナマハゲなんかが有名であり、賑わっている観光地かと思っていたら、全然違ってずいぶんと寂れたところであった。
 あとで調べると、男鹿の観光地って、ここと山を隔てて半島の反対側にある男鹿温泉の方なのであった。

【季節料理 さつき】
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 男鹿駅周辺で飲むところを探したが、まったく店がみつからないまま、なんとか「季節料理さつき」という店を見つけた。
 それが案外とうまそうな雰囲気があったのでここに入った。

 常連が大半の地元専用みたいな店であったが、とりあえず、紅ズワイガニと鯵の造りを注文。ところが、店主のおばちゃんが恐るべき人で、頼んだもの以外にも「今日は魚やイカを箱一杯仕入れたから」とか、「近所の農家がいい野菜を持ってきたから」とかで、次々に突出しとして料理が出てくる。
 結局食ったのは、
 (1) 甘エビ6匹
 (2) スルメイカ醤油煮一匹
 (3) 鯵一匹刺身
 (4) 紅ズワイ一匹
 (5) 里芋煮っ転がし
 (6) 地産卵のオムレツ
 (7) シマホッケ半身
 これに生ビール2杯に熱燗4合。突出し(?)で〆に蕎麦も料金追加なしで出てくるそうだが、そこまでは食えず。
 そして「飲み足りないでしょう、ホテルに戻って飲んでください」と言われ、地酒300ml瓶一本ももらった。
 これで、会計は4000円!

 おばちゃんは、「男鹿で店を開いて43年。でも全然儲けになりません。困ったものです」と言う。
 思わず、「当たり前じゃい!」と返したが、うーむ、男鹿、恐るべし。

 男鹿を訪れる機会があれば、また訪れたい店だ。


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October 20, 2011

秋田編(2)十和田→大館 72.3km

【十和田湖周囲1】
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【十和田湖周囲2(乙女像)】
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 朝の十和田湖を散策。
 紅葉のシーズンなのであり、十和田湖に浮かぶ小島の紅葉もいい具合。
 そして、十和田湖名物といえば、高村光太郎作の乙女像。
 広々とした湖面を背景に、鬱蒼たる自然林のなかにあり、いいロケーションである。

【発荷峠】
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 さて、本日は鹿角方面に向かうが、また峠越えがある。
 十和田湖は火口湖なわけで、すなわち火山の底にあるので、ここにいったん来たなら、またそこを抜けだすために、高さを越えて脱出する必要があるのである。
 その脱出点である発荷峠まで十和田湖からひたすら登っていく。
 半ばほど登ったところで、写真撮影中の男性が、ひーこらひーこらと登っている私を見て、「がんばれ~、がんばれ~、先はもっときついぞー」と妙なエールをかける。普通は、「がんばれ~、ゴールはもうすぐだぞー」てなもんだろうだと思ったが、そのおじさんの言うとおり、この坂は中盤を過ぎるとさらに傾斜を増していくので、たしかに「先はもっときつかった」。
 そんなわけでたどり着いた発荷峠。やれやれでしたわ。

【秋田の平地】
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 発行峠を降りてからは、フラットな道が続き、高速巡航(といっても30km/時くらい)を楽しめる。ツーリングバイクのような自転車で、どんどん距離を稼げるのは快感である。

【大湯ストーンサークル】
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 この界隈では、「大湯ストーンサークル」というのが名物だそうで、寄ってみた。
縄文時代の巨石文化のなかでも最大規模なものだそうで、…でも、このたぐいの巨石遺跡って九州にもけっこう(とりわけ妙な山奥に)あったりするので、新鮮度はなかったなあ。

 この方向に走っていると、次の宿は八幡平あたりが適当と思って、宿を探すがあいにく満室のところばかりで、進路方向を90度変えて、大館市に泊まることにした。

【きりたんぽ】
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 大館市のホテルに泊まり、夕食は秋田名物のきりたんぽを食うことにする。
 大館市では「元祖むらさき」という店が有名店だそうでそこで食ってみた。
 ここは店側できちんと鍋をつくり、出来上がったものを持ってくるシステム。だから後半、汁でふやふやのきりたんぽを食うのがやや悲しかったなり。
 ちなみに地元の人に聞いたら、誰もが「きりたんぽは家庭料理で、自分でつくって焼いてそして鍋にするので、外では食べません。だいたい外では高い」と言う。そこまで地元に根付いた料理みたいで、一度はその家庭料理を食ってみたいものだ。

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October 19, 2011

秋田編(1)八甲田→奥入瀬→十和田湖 71.6km

【八甲田ホテル朝食】
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 八甲田ホテルにて朝食。こういうクラシカルなホテルの朝食は、やはりクラシカルな朝食であり、優雅な朝を過ごせますねえ。
 そういった優雅な朝を過ごし、ホテル周囲を散策。酸ヶ湯温泉に向けての散策路は、このあたりでもっとも楽しいところで、いずことも湯気を上げているわけだが、特に「地獄沼」は酸ヶ湯の屈指の名所である。

【地獄沼】
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 90℃近い熱湯が底から湧き出ている、天然の露天風呂(?)だ。
ただし湯が湧き出ているのはいいとして、硫黄ガスも湧き出ているため、生物学的危険度は高く、入浴は禁止されている。
 温度と硫黄ガスのバランスが良ければ、世界最高級の天然露天風呂になるだとうにと、かえすがえすも惜しい沼だ。

【八甲田ホテル】
Hakkoudahotel

 八甲田ホテルを出発。
 そこそこの紅葉にまとわれ、紅葉の旬の時期に近いホテルである。

【笠松峠】
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 国道102号線を走り、県境に。
 青森秋田の県境は標高1040mの笠松峠である。
 昨日900mの高さを稼いだので、今日は100mほどを登ったのみでここに到達。ここを過ぎれば、あとは紅葉の名所の奥入瀬までずっと下り道だ。
 天候は快晴で風は弱く、絶好の自転車日和である。快適に自転車を飛ばしていく。

【ブナ林】
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 笠松峠から奥入瀬までは、ずっとブナ林のなかを走っていく。
 鬱蒼たるブナ林は、日本の林の原風景ともいえる重厚感を持っており、これに囲まれてのサイクリングは、なにかブナ林に感謝したくなるような気持になった。

【奥入瀬渓流】
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 紅葉の名所、奥入瀬渓流。
 東北ではここの紅葉が最も美しいことを期待しており、今の時期ならドンピシャだろうとおもったが、残念ながら奥入瀬では、紅葉の時期はまだまだであった。
 見ての通り紅葉は始まりかけというところ。来週くらいが旬のようである。
 それでも澄んだ清流と、光にきらめく緑の樹々、やはり美しい。

【十和田湖】
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 奥入瀬を道なりに進んでいくと十和田湖である。あまり大きい湖ではなく、みこれは一周したくなる。
 それで十和田湖一周をプランにしたのだが、…十和田湖は厳しかった。

【御鼻部山展望台へ】
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 普通は湖の一周ルートなんて湖畔をめぐるフラットルートと思うのだけど、十和田湖の場合は、どんどん高度を上げてくる。いくらなんでもここまでは行かないだろう、これ以上いったら湖を越えて、他の地に行ってしまうだろうとか思いながら、ひたすら登っていったのだが、結局800mくらいの高さを登る羽目になって、十和田湖一周ルートの最高点御鼻部山展望台に到着。

【御鼻部山展望台から】
Ohanabe_2

 展望台から見る十和田湖。
 ちょっと霞んでいるけど、まあいい眺めですわ。
 苦労して登った甲斐があるというもの。

【夕食】
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 登りで相当に体力を使って、下りは楽かなと思いきや、それなりにアップダウンのある湖畔の道を走り、ようやく十和田湖湖畔のホテルに到着。
 昨日などは900mの高さを登るプランを立てての自転車行だから体力配分が分かっていたが、本日は同様の高さを越えるプランなのに、まったく予想してなかったものだから、非常に疲れた。
 ホテルでの夕食は地元の蕎麦粉や豚肉を使ったBグルメっぽい面白いものであり、ガツガツ食うには適したものだったので、しっかり食って飲んだのちは、速攻で寝て明日に備えた。



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October 18, 2011

青森編(5) 青森市→八甲田山 28.8km


 青森から秋田に行くにはいろいろなルートがあるが、いまが時期となってきた紅葉を楽しむには八甲田山から十和田湖にいたるルートが、紅葉の名所である奥入瀬渓谷を通ることがあって最適と思われる。
 そのため、本日は青森市から900mほどの高度を登ったところにある、八甲田山酸ヶ湯温泉の近くの八甲田ホテルを目指す。

【モヤヒルズ】
Skii

 青森市からランドマークとなっている、市内からもくっきりと見えるモヤヒルズまでは順調に来たが、ここらあたりからずいぶんと寒くなってきた。
 かなり強い寒波が来ていたので、それが高度を増すことによって更に寒さが増してくる。

【八甲田山 遠景】
Hakkouda

 八甲田山がはっきりと見えるころになると、風も強くなってきて、寒いというより痛くなってきた。八甲田山をよく見ると、山頂近くは冠雪している。寒いはずだ。ほとんど初雪なのでは?

【津軽ソバ】
Tugarusoba

 あまりの寒さに、途中でみかけたドライブインに寄って、津軽ソバで一休憩。
 ふだんはソバはザルしか頼まないのだが、今回ばかりはほかほかと湯気を立てるカケソバで温まることにする。そしてドライブイン内は、ストーブで暖房されており、カケソバとストーブで、すっかり気が弛緩し、また寒い戸外に出る気力が出なくなってしまったが、しかしまだまだ一頑張り、二頑張りしないと、八甲田ホテルにはたどりつかない。

【八甲田山 紅葉】
Hakkoudakouyo

 それでも寒いなかがんばって漕いでいけば、このような美しい風景も見られる。
 標高をあげていけば、まるで燃え盛らんばかりに、八甲田山は紅葉の盛りなのであった。

【八甲田山近景】
Sugayu_hakkouda

 そして身を切られるような寒さのなか、なんとか酢ヶ湯温泉まで到着。
 八甲田山はしっかりと雪をかぶっているのであった。
 写真に写っている建物は、有名な千人風呂のある温泉宿である。

【八甲田ホテル】
Hakkouda_hotel

 八甲田ホテルは有名な山荘形式のクラシカルなホテル。すべて木造で、どっしりした重厚感を感じる。

【大浴場】
Hakkouda_huro

 寒いなかがんばって八甲田ホテルに来たあとの喜びは、なんといっても温泉。
 酸性の温泉はピリピリした感じがあって独特だ。まあ、近くの千人風呂の酸よりはきつくなく、肌にはやさしいのであるが、もっとピリピリ感がほしい人には、千人風呂への無料送迎バスが出ている。

【ディナー】
Hakkouda_dinner

 ホテルなのでディナーは洋食。
 写真はメインの青森牛のポワレ。
 料理についてはホテルとして標準的なものであるが、レストランの雰囲気が、巨大なログハウスといった感じで、たいそう風情があり、いいものである。

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October 17, 2011

青森編(4) 野辺地→夏泊半島→青森市 93.8km


【夏泊半島 ほたてライン】
Hotate_line

 野辺地から海岸線に沿って走行。
 途中にむつ湾に向かって出っ張った夏泊半島というものがあり、これを周回していった。この半島の道はほたてラインと名づけられており、その名のとおりホタテ貝の形をしている。その凹凸のぶんだけ複雑な形となっており、自転車を漕ぐぶんには疲れを要した。

【青森寿司一 のれん】
Susiitigate

 青森に来たからには、東北でもっとも有名な寿司店「寿司一」ははずせない。
 そして訪れてみたら、…この店の名前もなにもかいていない、白いのれんがいい味を出しております。

【寿司一 鮨】
Susiiti_kohada

 鮨は赤身に、ヅケ、中トロ。シンコは2枚づけ。煮ハマに平目の昆布〆などなど。
 店主は銀座の久兵衛で修行し、地元でも久兵衛で技術を得た江戸前の美味い寿司を食べてもらいたいと思い、地元に戻って開いた店である。
 津軽海峡や日本海のよい魚が、しっかりした技術で見事な鮨となっている。
 店は夫婦でやっており、客も加わっての和気あいあいとした雰囲気で、酒と鮨が楽しめる、とてもいい店であった。

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October 16, 2011

青森編(3)むつ市→六ケ所村→野辺地 100.5km


 むつ市からは津軽海峡沿いに自転車を走らせる。

【海岸線】
Kaigann

 天気もよく、海もおだやかである。
 下北半島も半ばまで下り、さて下北半島の有名どころ六ヶ所村に向かうために、方向を東へ変える必要がある。
 地図で見ると、県道179号線が最短距離で太平洋側に抜けられそうなので、これを使ってみた。そうするとこの道がろくでもない道であり、登るにつれて、どんどん道が狭くなり、さらに荒れてくる。
 そのうち「熊出没多発地帯」なんて看板が立っていた。

【熊出没多発地帯だそうだ】
Kumani

 北海道にいたときは、連日ニュースで「ヒグマ市内に出没」ってのをやっていた。
 青森の熊はツキノワグマだからヒグマよりも脅威は少なくなるが、それでも熊は熊である。熊が多発する地点を自転車で突っ切る根性はない。
 けっこうな高さを登ったが、やむなく来た道を戻ることにする。
 …それにしても、おそろしそうな熊の絵だなあ。

【六ヶ所村】
Rokkasyo

 むつ湾から太平洋岸まで出ると、六ヶ所村である。
 人家少なき土地であるが、核燃料再処理場があるだけあって、道路は立派なものであった。(地元の人によれば、なにかあったとき全速で逃げられるように、道路は高規格になっているとのこと)
 再処理場のPRセンターがあり、寄ってみたが、原寸大のもんじゅの模型などがあり、再処理の複雑な工程がよく理解できた。…ただし、もんじゅはずっと稼動されていないわけで、なんか勿体ない。
 六ヶ所村は再処理場のみならず、エネルギー産生の巨大な集合体であり、写真のように風力発電の風車もずらりと並んでいた。

【野辺地:名所防雪林】
Nohejieki

 本日の走行は、下北半島の付け根の野辺地というところまで。
 野辺地というところ、訪れたことは初めてだし、名前を聞いたことも初めての土地であったが、寂れた地であり、食事を取るところを探すのに苦労した。
 昔は地理的条件から船の交易で栄えていたそうだが、だんだんと過疎化してしまったとのこと。
 敢えて名所をいえば、日本で最初につくられた野辺地駅の「防雪林」だそうで、いちおう見にはいったが、雪が降っていないとなにがなにやらわからない林ではある。

【夕食はカレーライス】
Curry

 ホテルの周りにはなにも店がなく、けっこうな距離を歩いて、居酒屋を発見。
 串数本をアテに飲んだあと、カレーライスなどを食いながら、野辺地の情報を収集した。

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October 15, 2011

青森編(2) 大間→恐山→むつ市 76.3km


 本日は雨である。雨の日は基本的には自転車をこがないようにしているが、大間に2日いても、なにしろ狭いところゆえやることがないので、本降りにならないことを祈って、雨のなかを出発。

【沢の黒海岸】
Sawqanokuro

 漕ぎ手は雨具を着て、自転車にも雨具を装着して、太平洋沿いの海岸線を走っていく。本日は、恐山経由でむつ市まで行く予定であるが、雨が本降りになるようなら途中の町でストップして泊まろうと思っていた。しかし雨はやみそうな雰囲気になったため、予定通りに海岸線から離れ、恐山に向かうことにした。

【恐山への登り道】
To_osorezan

 恐山は、山という名前のついている通りに山なので、そこに向かう道は登り道である。
 ツーリングバイクって頑丈な造りをしているため車重が重く、それに荷物を積んでいるので、ロードバイクとかは比べ物にならない重さである。
 登りはだから苦手となるが、それでもがんばって漕いで行く。

【恐山】
Mt_osore

 雨のなか、なんとか登りきって恐山到着。
 小雨と霧がきいて、神秘的な雰囲気がより増していた。

【イタコ】
Itako

 恐山といえば、イタコ。
 イタコも神秘的な存在ゆえ、なんとなく私は、もっと山奥に居るのかなと思っていたが、寺の一画に常在しているようであった。
 (あとで知ったが、恐山のイタコは津軽の人たちなのであって、ここで住んでいるというわけではないとのこと)

 恐山を散策したのち、自転車でむつ市に向かう。
 恐山からむつ市に行く道は、やたらに坂の勾配がきつく、激坂であった。ツーリングバイクで登るのは困難ゆえ、押して歩いて登ったが、これは非力な自動車とかじゃあフルアクセルじゃないと登れない、そういうレベルの坂であった。雪のときとかどうしてるんだろう?

【源氏車】
Gennjiguruma_shop

 むつ市に着いて、夕食に町に出る。
 むつ市といえば、なんといってもホタテ貝のイメージがあるので、海鮮系の店を探す。
 そうすると、「季節料理・鮨・うなぎ」と看板の出た店が目についた。このようなドライブインみたいな、なんでもありの看板を出している店が美味いわけはないのだが、店の雰囲気がいかにも美味そうなので、戸を開けて中に入った。

 結果的には当たりの店であり、刺身、焼き物、煮物のレベルはいずれも高いものであった。特に目当てのホタテは、歯ごたえ、弾力、味の良さ、見事なものであった。
 ホタテは造りと焼きものを食べたので、他の種類の料理も所望したら、青森の郷土料理「ホタテ貝の味噌焼き」が出てきた。

【ホタテ貝味噌焼き】
Gennjiguruma_kai

 ホタテの身とヒモに、海藻、ネギ、味噌、豆腐を加え、玉子でとじたもの。
 もともとは滋養強壮のための料理だったとのことだが、酒の肴として抜群のものである。
 これをしっかりと食べて、ホタテ尽くしに満足した夜であった。

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October 14, 2011

青森編(1) 函館→(津軽海峡)→大間 


【フェリー】
Ferry

 北海道から青森までいろいろと行く方法があるが、最短距離である「函館~大間」のフェリーを使って、津軽海峡を渡った。

【大間崎】
Omazaki

 晴天のもと、フェリーはほとんど揺れることもなく津軽海峡を進み行き、大間へと着。
 大間といえばなんといっても全国に名の響いている「マグロの町」である。
 それで町なかを散策すれば、「マグロ博物館」のようなものがあるかと思い、自転車でうろついたがそのようなものはまったく見当たらず。どころか、大間の町というはっきりしたものもなく、なにかを見落としたような気がして、大間全体を2周する羽目になったが、やはりなにもなかった。

 大間で一番賑わっていたのは、本州最北端である大間崎。観光客がちらほらいたのと、マグロの切り身や、地魚などを売る店がいくつも並んでいた。

【昆布】
Konnbu_ooma

 マグロよりも大間で印象が強かったのは、昆布であった。
 そういう時期らしく、家々の軒先や、あるいは石を敷いた庭に、たくさんの昆布が並べられて干されており、昆布の香りがどこからもしていた。

【浜寿司】
Hamazusi_gate

 大間といえば、マグロを食わねばなにをしに居るのかよく分からないゆえ、夕食は「浜寿司」にマグロを食いに行く。
 店の前には猫がいて、港町独特のいい味を出している。

【ネタケース】
Hamazusi2

 マグロが名物とはいえ、マグロばかりが出てくるわけではもちろんなく、また大間でマグロしか獲れないわけでもないので、お任せの寿司では、クロダイ、ホタテ、サーモン、アワビ、トリガイ、イクラ、ウニ、カニ等、地元の新鮮なネタを用いた鮨が出てくる。
 どれもなかなかのレベルのものである。

【マグロ】
Maguro_hamazusi

 しかし、やはり大間に来れば誰でも、マグロを食いたくなるわけで、マグロの仕入れの量はたいしたものであった。
 マグロの多くは東京に行ってしまうのであるが、それでも地元にもちゃんとした量は残っており、仲介の分値段が安くなり、中央よりも安くマグロを食べることができる。ただそれでも2割ほどしか安くはならず、それなりに値の張るものであり、地元の人はあんまり食べないそうだ。それゆえ、浜寿司でマグロを食う人は、観光客が主とのことである。
 でもまあ、生の本マグロがこの値段で食べられるなら、コストパフォーマンスはよいと思う、そういう値段であった。


 鮨を食ったのちは、近くにある、いかにもうらぶれた雰囲気のスナックで水割りを飲んだ。外観通り、中もたしかにうらぶれており、でもママに言わせれば「大漁のときはそれなりに賑わう」そうだ。
 ところでここで初めて知ったのだが、大間はマグロが主産業というわけでもなく、今までは原発建設が大きな産業だったとのこと。1600人からの人間が働いていて、それで周辺の宿、飲食店、スーパー等にも利益が波及していたのだが、あの原発事故の影響で建設はストップしてしまい、工事の人たちは引き揚げてしまい、大間は閑古鳥が鳴いているそうだ。
 大震災は、ここでも人々の生活に多大なる影響を与えたわけである。

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October 13, 2011

北海道編(6) 函館滞在

【函館朝市】
Asaiti

函館といえば朝市。駅周囲にある朝市を散策。平日とはいえ、観光客および修学旅行生が多かった。

【立待岬】
Misaki

 立待岬は函館突端の津軽海峡に突き出た岬。
 高度が高い岬で眺めがよろしい。
 岬は磯へと降りる道もあり、ここから見る岬の姿も荒々しくてよいものであった。

【函館五稜郭】
Goryokaku

 函館は7年くらい前に訪れたことがあるが、そのときはまだ五稜郭タワーは新設中であり、今回初めて新五稜郭タワーに登って、五稜郭を見下ろしてみた。
 やはり五稜郭はこの俯瞰する姿でみないと、ほんとの良さは分からないな。
 築100年以上たつ城郭であるが、平成になってはじめて、そのナマの五角の姿を人々はみることができるようななったわけだ。

【幸寿司】
Kozusi

 夕食は湯の川温泉にある「幸寿司」で。
 長年この地で寿司店を営んでいた父のあとを継いで、フランス料理の修業をしていた二代目が鮨を握っている、という微妙な来歴を持つ寿司店である。
 鮨は塩や柑橘系、煮きりをネタによって使いわけ、ネタにも独自の工夫がある、いわゆる細工系の鮨。シャリの味も、握りかたも、鮨全体としてのバランスがよく、これはじつに全うな寿司店であった。
 函館に来たら、鮨好きの人には、お勧めの店である。

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October 12, 2011

北海道編(5) 長万部→大沼→函館 107.5km


 長万部温泉から、国道5号線にて沿岸線を南下。
 ここらはカニが名物みたいで、カニを出す大きな店が道沿いに多くある。
 カニロードであるか。

【カニ店】
Kani_road

 函館方面には、駒ヶ岳がいいランドマークとなっていて、これを目指していくのであるが、いくら走ってもなかなか近づかない。
 60kmくらい走ってようやく、姿が近く見えてきた。

【駒ヶ岳】
Komagateke

 駒ヶ岳を迂回するようなかたちで走り、大沼の横を通り、やがてそこからの下り道を下りきると、広い平野が広がる。その果てに函館山が見え、そこまでフラットな道を進んで息、函館に到着。

【函館夜景】
Hakodate_night_view

 宿近くの寿司屋で夕食をすませ、その後函館名物の夜景を見に行く。
 函館の夜景は日本三大夜景の一つだが、海にはさまれた狭いバンドに光が密集するさまは、まさに夜景の見本といいたくなるものであり、日本一の夜景だと思う。
 今夜は満月なので、夜景の帰りは満月に冴え冴えと照らされた道を歩きながら下山。美しい夜景が徐々に高度を下げていくのを見るのも、また楽しいものであった。(やたらに長い下り道であり、最後のほうは閉口したが)

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October 11, 2011

北海道編(4) 室蘭→洞爺湖→長万部 96.2km


 室蘭からまずは海岸線に沿って南下。洞爺湖駅の近くから向きを山側に変え、洞爺湖を目指す。その前に道の駅によって、名物らしい「ホタテコロッケ」を食して栄養補給した。洞爺湖は火口湖なので峠を越えねばならない。ゆるやかな勾配の坂を超えていき、そして洞爺湖に到着。

【洞爺湖】
Toyako

 支笏湖もそうだったかが、北海道の湖は広いなあ。
 観光船も運航されている。
 ここから海岸線方向に戻る道に、巨大なトンネル道路があり、今回はそちらを利用。

【トンネル入り口】
Topyako_tunnnel

 広い歩道のついた、トンネル内を照らすライトも明るい、走りやすいトンネルであった。

【展望台からの噴火湾の眺め】
Funkawan_view

 海岸線に出れば、噴火湾を眺めることのできる眺めのいい道路を走っていく。
 眺めのよいのはよいとして、アップダウンもけっこうあり、最後の坂を越えたあとは長万部方面にくだり、そこからは広々とした平野が広がっていた。

【長万部への道】
To_osymannbe

 こういうまっすぐな道が延々と続く。

【長万部温泉夕食】
Osyamannbe_dinner

 長万部温泉で旅館に泊まり、夕食。
 海の幸をふんだんに用いたもの。今は毛蟹が旬なので、毛蟹がメインとのことであった。旅館料理というのは、いっぺんにどさっと出てくるのが特徴だが、ここもそうであり、見ただけで腹いっぱいになるなあ。

【長万部温泉】
Osyammbe_huro

 長万部温泉は、弱アルカリ性の、ぬるぬるにしてほかほかの極上の湯。
 源泉掛け流しの湯につかりながら、その極上の泉質の湯を楽める。
 しかも泊まった日の朝は冷え込んでおり、冷え込んだなか、湯気がもうもうと立ち上る朝風呂に入るのはたいそう風情のあるものであった。

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October 10, 2011

北海道編(3) 室蘭滞在

 本日は雨の予報であったので、停滞して室蘭市を散策することにする。
 東室蘭駅から室蘭駅までローカル線に乗って降りる。
 室蘭は太平洋側に突出した半島の形になっていて、海岸沿いが名所となっているので、そこを歩いてみた。

【地球岬】
Cikyu_misaki

 ここから海を眺めると、地球がそのまま見えるようだという地球岬。
 たしかにさえぎるものなき広々とした海原の姿を見ると、地球の丸さが分かる。
 これでもう少し天気がよければさらに絶景であったのだが。

 この後は雨の降るなか傘をさして海岸沿いを歩き、そして街へと降りていき、東室蘭駅に到着。よく歩きました。

 東室蘭駅では、近くのシネコンで映画「猿の惑星 ジェネシス」を観賞。
 荒れ果てた海岸に自由の女神の像が埋もれている、あの衝撃のラストシーンを持つ初作のインパクトがあまりに強い作品だが、今回のリメイク版は相当に筋を変えている。理系的には突っ込みどころはけっこうあるけど、「善意の人が、知らずして人類滅亡という大罪を為す」という、なんともやりきれない話。続編は作られるのだろうが、続編では主人公のその罪への絶望も描かれることになるのだろうな。

【スープカレー】
Currey

 夕食は北海道名物、スープカレーを専門店の「TAMBOO」で。
 本格的なスープカレーというものは初めて食べたけど、スパイスと出汁のバランスがたしかに「飲むスープあるいは食べるスープ」そのもので、それだけで完結しているような料理であった。だから、かえって付け合せに頼んだナンは邪魔となり、ビールのつまみにしかならなかった。野菜のシャキシャキ感もこのスープによくあっていた。

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October 09, 2011

北海道編(2)苫小牧→支笏湖→室蘭 122.6km


 苫小牧の近くの有名どころの地は室蘭なので、室蘭に行くことにする。
 しかし海岸線に沿って、そのまま直接行ってしまっては、近すぎるので、いったん山側に行き、支笏湖の周囲を走って、室蘭に行くことにした。

【支笏湖】
Sikotiuko_n

 支笏湖沿いから洞爺湖方面に行く道路は広々として眺めもよく、車の通行量も少ない素晴らしいサイクルロード。休日ということもあり、多くのロードバイクが走っていた。

【峠】
Sikotuko_pass

 眺めのよい峠越えのルートもあり、気持ちのいい道である。

 支笏湖を離れ、室蘭に向かうが、そうなるといったん伊達市に出る。ここから30kmほど北側に引き返す必要があった。すでにけっこうな距離を走ったので、もう伊達市で勘弁ということにしようとも思ったが、それだと室蘭を素通りすることになり、あともうひと頑張りして室蘭へ。

【室蘭】
Murorann

 室蘭市は工業都市であり、おびただしい数の工場群と、大きな橋が印象的であった。

【焼き鳥】
Murorann_kusi

 室蘭は焼き鳥が名物とのことである。
 豚を使った焼き鳥が特徴的だとのことであったが、まあ普通の豚であったな。

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October 08, 2011

北海道編(1)新千歳→苫小牧 36.2km

 日本全国を自転車でぶらぶらと漫遊する予定なのだが、10月に出発ゆえ、九州を出発点にすると12月くらいになったら北の方面は寒さと雪のため、自転車で旅できなくなる可能性が高い。
 そのため、面倒ではあったが出発点を北海道にすることとし、まずは輪行で新千歳空港まで飛行機で行った。ここを始点として、ゆっくりと南下しよう。

【新千歳空港にて】
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 輪行袋から自転車を取り出して、組み立てようとするが、…なぜかハンドルの部分のワイヤーが妙なねじれ方をしていて、どうやっても元に戻せない。しょうがないのでワイヤー外して、組み立てなおしたが、なぜこうなったのかいまだに不明である。
 自転車のトラブルはこれくらいにして、今後は乗り切りたいものだが、さてどうなることやら。

 空港に着いたのは午後だったので、本日はそんなに行動できない。
 とりあえずは近場である苫小牧へと向かう。初めて自転車で走る北海道、感想といえば、北海道の道は広くて、そしてまっすぐだなあ。
 2時間ほどで苫小牧につき、そこで宿泊することにする。

【地魚ますだ】
Masuda

 宿のまわりを歩いて、「地魚ますだ」という居酒屋店で夕食をとった。
 名前のとおり、地元の魚を新鮮に安く供する料理店。
 注文したのは、松傘鯛のつくり、ホンシシャモ焼き、宗八カレイ一夜干し、など。

【本シシャモ】
Sisyamo

 北海道東岸は本シシャモのよく獲れるところだそうで、九州とかでは高級品扱いの本シシャモは、ここでは一匹200円という驚きの値段である。

 苫小牧の情報などを、隣の客から聞くが、「苫小牧はなにもないところなんですよねえ」とのことであった。美味いものについては、「白老牛」がお勧めとのこと。

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October 07, 2011

しばらくは不定期更新になります


 って、べつに普段も定期更新しているわけではないのだが、10月からはさらに不定期更新になるというお知らせ。

 気候が涼しくなり、自転車が楽しい季節となったので、ぶらりと自転車で日本全国を旅してみます。最小限の荷物を積み込み、進む道、泊まるところ、食べるところ、すべて予定なしの行き当たりばったりの旅を半年くらいするつもり。

 荷物になるため、パソコンは持っていかないので、当ブログについては、パソコン環境の整ったホテルに泊まったときなどに、風景や、旅情、食事などについてUPするかもしれません。
 ま、それについては、あくまでも気分次第ということで。


 時の過ぎるのは早く、旅の準備をしているうちに、10月の1週間は終わってしまった。それでもドタバタしながらなんとか準備は終わり、さて、明日から出発である。

 「明日から旅人」なんて、気障、かつみっともないことを言う気はないけれど、旅に出れば、なにかの思い出はつくれるはず。
 人生でなにが一番大事かといえば、「思い出」だと思う。前からそう思っていたが、40歳後半になって、私にはそれが確信となった。
 旅に出て、よいことだけでなく、ろくでもない目に会うことも十分に予想でき、またそうなるのだろうけど …それでも明日ようやく出発である。

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October 04, 2011

若松風景 -軍艦防波堤-

 北九州若松区は洞海湾と響灘に囲まれた半島状の形態をしており、その海に向かいどこもかしこも埋め立てがされていて、人工的な海岸線を持っている。
 その埋め立て地のうち最大規模のものが響き灘埋め立て地である。

【響灘埋め立て地へ】
Bridge

 響灘埋め立ち地へは、この響灘大橋を越えていく。
 その先の海岸線にはずらりと風車が立てられ、海風に吹かれ周り続けている。

【軍艦防波堤】
Boat

 大橋を越えて、最初の交差点を右に曲がり、海岸を突き当たると、若松名所「軍艦防波堤」がある。
 ここにある船の残骸は、軍艦である。
 先の大戦で、連合艦隊中生き残った船は、敗戦後使い道がなくなってしまった。そのうちの駆逐艦3隻が北九州の防波のために、自沈させられたのである。
 それは「柳」「冬月」「涼月」の3隻であり、とくに「冬月」「涼月」は戦艦大和の沖縄特攻のときに護衛についた艦であり、あの米軍航空隊の絨毯攻撃のなか、奇跡的に生き残った艦である。

 「冬月」「涼月」は埋没して、姿を見ることはできないが、「柳」はまだ錆だらけの船体が残っていて、コンクリに固められた姿を見ることができる。

 70年以上も前、消滅してしまった連合艦隊のなか、いまだ響灘の波を受け止めて現役で働いている艦が、この若松にあるのである。

【若松北海岸道路】
Road

 若松北東部は人工的な埋め立て地なので、道路も計画的に作られており、真っ直ぐで広い道が通っている。
 見晴もよく、自転車で走っていて、たいへん気持ちのよい道なので、北九州サイクルツアーにもこの道を使えばよかったのに、と思う。
 まあ、その場合は戸畑に抜けるのに、自転車専用道である若戸大橋を通らねばならないのがネックになるだろうけど。

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October 02, 2011

北九州サイクルツアー2011 

 北九州市は私の生まれ育ったところであり、10月初旬は北九州にちょうど滞在する用事があるので、サイクルイベントに参加することにした。
 北九州市は、近年は景気のいい話はあまり聞かないけど、それでも100万人近い人が住む立派な政令指定都市なのであり、こういう都市で、1000台を超える自転車が街中を疾走するイベントは、かなりの無理があって、他に例をみないようなユニークな自転車大会だったと思う。

【スタート会場】
1start

 スタートは街のまん中の勝山公園。
 過去3回連続して雨という、雨にたたられることで定評のある本大会であるが、本日は曇天。微妙な天気であったが、最後まで雨に降られることなしに走ることができた。気温も涼しく、自転車にとってはほぼベストな気候であった。

【門司港レトロ】
2retro

 スタートからずっと街中の幹線道路を走って、最初のエイドポイントの門司港レトロに到着。幹線道路なので、信号がたくさんあり、だいたいは赤信号に引っかかることになってしまい、Stop and Goを繰り返すになって、この時点でかなり体力を削られた。

【北九州空港にて】
3airport

 門司港レトロを出ても、やはり信号の多い道が続く。
 北九州空港への一本道に入ると、ようやく信号の少ない、快調に走ることのできる道となる。
 この道は、サイクリングにもってこいの道であった。
 EPに着いて、休憩のためにバイクを立て掛けると、隣の人が「私は駄目でしたわ」と声をかけてくる。見れば、後輪のスポークが折れている。Derosa Kingにカーボンホイールという気合の入った仕様なのに、さぞかし無念なことであったろう。

【合馬休憩所】
4aima

 走行距離半分ほどで、昼食休憩所の合馬に到着。
 ここは足切ポイントになっている。
 160kmコースは、午前8時出発で午後6時までに帰ってくればよいので、どう考えても楽勝と思い、複数あるチェックポイントの時間を最後まで確認せず私は走行した。しかし大会が終わったのち、コース図と写真の時刻を確認したところ、合馬は12時にまで着かないと足切である。私が到着した時間は、11時50分であり、ひぇ~、…ギリギリだったのかあ。
 この大会、前半は信号だらけで、速度出ないのだから、この足切時間はかなり厳しい設定と思う。

【合馬の峠】
5aima_pass

 北九州サイクリング大会は、フラット主体のコースであり、坂らしい坂は、この合馬の260m越えの峠のみ。
 ここがめっぽうきつかった。
 前半の信号だらけのコースで体力が削られているのに加え、昼食休憩で体重が増えているのがきいたみたい。

 ここを越えてからは、河内ダムに沿って走るフラットな道となり、本来は快適なはずだが、カーブごとに減速帯があるので、自転車がガタガタと揺れ、たいそう漕ぎ心地が悪かった。

 ここを過ぎて、また八幡の街中に入る。
 バスや車がたくさん走る幹線道路を、30km近い速度で自転車が隊列組んで走っているのは、…やはりなにか無理がある。

 八幡を過ぎては、遠賀川沿いのフラットな道となり、南へ進むときはやたらにスピードが出て気持ち良かったのだが、折り返しからは凄い向い風となり、若松北海岸に出るまでは、ずっと風との格闘であった。
 若松北海岸の道路に入ってからは、道の向きが変わったので、なんとか風の攻撃は和らぎ、そして最後の八幡エイドスポイントへと着いた。

【八幡EP】
6yahata

 北九州サイクルツアーは、広い範囲を走るので、EPごとにそこの御当地名物らしき補給食が供される。揚げ立てカレーパン、焼きカレードーナツ、回転饅頭、マグロそぼろお握り、等々。こんなに食い物の充実しているサイクリング大会も初めて経験した。
 そして、ゴールまであと6kmの最後のEPでの補給食はなんと「八幡ギョウサとサニーパン」。150km走り、かなりへたっている人には相当にヘビーなメニューに思える。
 …それでも、食っている人がけっこういたから大したものだ。

【ゴール会場】
7goal

 コースの仕様と、最近の練習不足からまったくスピードが乗らないまま、それでもなんとか制限時間内にゴール。156.4kmの実走行時間は6時間52分。平均時速は22.2kmという、なんともしまらない数字であった。
 ゴール会場には、ソフトクリームと焼きうどんが用意されており、ほんとにまあ食い物に満ちた大会であった。


【夕食】
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 打ち上げの夕食は、宮崎から遠征のAさんご夫妻と合流して、小倉の居酒屋「焼鳥酒膳鸞」にて。
 160kmを走って、水分の抜けきった身体に、生ビールがどんどんと吸い込まれていく。その生ビールをさらに進める、いいツマミの数々であった。
 よく走り、よく飲み、よく食べる。
 これが自転車の醍醐味であるなあ。


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 サイクルツアー北九州2011 センチュリーライドコース


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