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July 14, 2011

花やかな月

Moon

 蒸し暑い夜をうろちょろと歩いていて、ふと目を上げると、湿気の多い大気のなか、雲を通して光を投げかける月が、天空のなか妙に美しい。
 ほぼ満月に近い月。雲と湿気を通して、月は静かに大地に光を放つ。
 月の光は、優しく、穏やかで、なにか人に訴えるものがある。

 月の光の、この恩恵ともいえる優しさは、…これを表現した素晴らしい詩を私たちは持っている。

 ここで、萩原朔太郎の詩「家畜」を紹介しよう。

 ……………………………………

 「家畜」  作・萩原朔太郎

 花やかな月が空にのぼった
 げに大地のあかるいことは。
 小さな白い羊たちよ
 いえの屋根の下にお這入り
 しづかに涙ぐましく動物の足調子をふんで。

 ……………………………………

 家畜の羊たちは、昼間のうちは、牧草地に出て、懸命に野草を食べていたのである。そしてその食事が終わったころ、日は暮れ、花やかな月が空に登った。
 そこで降り注ぐ優しい月の光は、大地に注ぎ、そして羊たちにも注ぐ。
 日々の日課の生活に倦んでいた羊たちは、その月の光の美しさ、優しさに心を満たされ、軽々しいステップを踏んで、元の畜舎に戻っていく。
 日々生きていけば、このような美しい月に会え、そして生きていく力も湧いてくるのである。詩人が書いたように、月の光を浴びた羊たちは「しづかで涙ぐましい」ステップを踏み、歩んでいく。

 詩人は敢えて羊を題材にしたが、羊に限らず、「花やかな月」を見たものは、そこから、たしかな力をもらうことができる。

 今夜、私はいいものを見せてもらった。


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