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June 25, 2011

映画:X-MEN ファースト・ジェネレイション

1st_generation

 ある種族の一部に進化が生じ、新種族が誕生する。そうなるとその種族は、新種族と旧種族間で生存競争が起き、それに勝ったほうがその種族を維持する。これが生物界のルールであり、現在の人類も、幾種もあった人類種のうち、生存競争に打ち勝ったホモ・サピエンス一種のみが人類として生き残っている。

 映画X-MENの舞台では、20世紀になってそのホモ・サピエンスの一部に超常の能力を持つ者が現れ出した。新人類は、当然旧人類から攻撃を受けることになる。その新人類のうち、旧人類との調和共存を目指すグループのリーダーがチャールズ(プロフェッサー・X)。旧人類と敵対するグループのリーダーがエリック(マグニートー)。彼らの争いを描いていたのが、X-MENの1~3だったわけだが、今回上映の1st generationは、彼らの若き時代、つまりチャールズがプロフェッサーXになり、エリックがマグニートーになっていく契機を描いたものである。

 二人とも将来は怪物になるだけあって、幼き日々は常人離れした生活を行っているのだが、特にチャールズの生活が哀しい。

 資産家の子供に生まれたチャールズは城のような家に住んでいる。
 彼はテレパスであり、幼きときから人の思考を読むことができる。
 少年チャールズは、母親からは化け物扱いされており、母から遠ざけられた生活をしている。その孤独のなか、彼は家に泥棒に忍び込んできた、幼い新人類ミスティークを見つけ、初めて世の中には自分と同類の者がいるのを知り、安堵する。

 チャールズは新人類としても学者としても成長していき、大学卒業と同時に教授となる。彼はだんだんと新人類の仲間を見つけていき、グループを作ることになる。

 しかしチャールズのグループとは別に、旧人類を相手に戦争を仕掛けようとする新人類グループがあり、これを阻止せんとチャールズは奮闘する。
 ところが、その戦いで示された新人類の力に旧人類は恐慌状態になり、新人類を抹殺することを決定する。


 …というわけで、結局は敵になるに決まっている旧人類に対し、ならばさっさと敵になると決意したのがエリックである。きわめて正常の思考であり、当然にエリックに新人類の多くはついていく。チャールズと幼きときから一緒に過ごしていたミスティークでさえも。


 なぜ、チャールズは新人類の指導者でなく、旧人類の庇護者を選んだのか?
 これについては映画からははっきりした答は得られないようで、チャールズの個人的嗜好としか言えないみたい。

 ただ、旧人類が恐れたような、旧人類を容易に滅ぼせる新人類、-圧倒的力を持つスーパーフォースは、じつは作中登場するのはただ一人、チャールズだけである。
 他人の思考を読み、他人を操ることのできる能力というのは、それだけで最強に近いものがあり、そして脳波増力器(セレブロ)を使えば、全人類さえ滅ぼすことが出来る、というのはX-MEN2で証明すみであり、チャールズはほとんど神に近い存在なのである。

 チャールズは自分の能力の意味を知らない幼き時に、周囲の人々から恐れられ、疎外されたことは間違いない。しかし彼はそのことで周囲を恨まず、ただ、なぜ自分がそういう存在なのかということを苦悩するのみであった。
 彼はやがて自分の存在に意味があることを知り、人類との調和、その道を進んでいく。
 親友エリックからも、幼き日からの心の友ミスティークからも離反されたことから、彼はその進んだ道を、自分の信じた者からも理解できないことを知る。それでも彼はその道を進んでいく。
 哀しく、辛い道だと思うが、映画ではチャールズは、あっけらかんとしており、故国から攻撃されても、友が離れても、それに脊髄を撃ち抜かれても、平常心を保っている。

 …たぶん神とはそういうものなのだろうな。
 心を読み、心を操れるチャールズは、すでに人間を離れ、ほとんど神に近い。
 神は孤高であり孤独であるが、それを寂しいとか辛いとかは思っていないだろう。チャールズもその域に達している。
 彼は、新人類と旧人類の戦いを、遥かな高みから眺め、結局は一つのところにしか行きつかない、その行末を、己の嗜好から、ただ伸ばしている、そういう存在なのであろう。

 神そのものに近いチャールズと、新人類としてその使命を懸命に果たしていくエリック。その相克劇も、また魅力であり、これを観たあとでX-MEN1~3を見直すとさらに面白みを増していくものに思えた。


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 X-MEN ファースト・ジェネレイション 公式サイト

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