和食:無量塔の夏
香り豊かな焼き鮎に、これも香り豊かな野菜の数々を添えて。
パブリカ、ズッキーニ、オクラ、コーン。それにセロリを摺ったドレッシング。
緑あふれる初夏の表現。
椀は地鶏の治部煮。それに揚豆腐、冬瓜、茄子、根菜。葛で少しとろみをつけて。
コリコリ、シャキシャキした強い歯ごたえに、郷土料理風の強めの出汁が、いかにも「力ある椀」という感じになっている。
八寸はまた旬の素材をふんだんに用い、赤、黄、緑、白。色彩あふれるものである。料理もそれぞれ個性ある味であり、にぎやかさが楽しめる。
月変わりの鍋は、6月は鱧のつみれ鍋である。
今が旬の魚、鱧をつみれにして、これも旬の野菜を数々を無量塔風の強めの出汁で煮られた鍋は、鱧のつみれの上品さと、玉葱、葱などの野菜の濃厚な味が、おもしろい具合に調和している。
〆は無量塔名物豊後牛ローストビーフの五葷味噌和え。
安定した美味さである。
食材がいよいよ旨く力強くなってくる初夏の息吹を感じさせる、そういう無量塔の夏料理であった。
部屋は本日は「吉」の部屋。
この部屋は個性豊かな部屋がならぶ無量塔のなかでも、最も個性豊かなものである。
北国の民家を移設してきており、そういう北国での定番の囲炉裏の間がある。
冬の寒いときなどは、この囲炉裏を囲んで、酒でも飲むとじつに風情がある。
板張りの囲炉裏の間には、ペルシャ絨毯が敷かれ、その豪華な色彩は、炭火に燻され黒くなった板や柱と妙に調和がとれている。
リビングには圧倒的な存在感を持つ大きな絵がかけられている。
無量塔には、この作者アンデルセン氏の絵が、Barや部屋にいくつも置かれているが、「吉」のものが最大であり、そして最もユニークである。
見れば見るほど、深みと広がりのある絵であり、ソファに埋もれて座り、この絵をず~と眺めているだけでも、充実した時間が過ごせるであろう。
「吉」の部屋は、私が無量塔に初めて泊まったときの部屋であり、強い印象を受けた。そのときのレポートを別HP(すっかり放置している)に載せている。
…ま、今の感想も、そこに書いたことに尽きる。
ただ、10年前の料理と比べると、料理長は同じなのに、ずいぶんと料理は変わってるなあ、とも思った。
(参考:以前に書いた「吉」のレポート)
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