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June 01, 2011

映画:パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉

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 パイレーツ・オブ・カリビアンは第3作目で完結していたので、4作目は時系列的にはどこに位置するのかと思ったら、3作目の4年後の話で、まったく別の話ということである。

 パイレーツ・オブ・カリビアンはJ・デップという大スターがスパロウ船長の役をやっているため、スパロウ船長が主人公と思われがちだが、彼は物語では一貫して狂言回し役であり、1~3作目の本当の主人公は呪われた運命を生きる男ウィルであり、最初から最後まで彼を軸として物語は動いている。

 で、物語はリセットとなり、次はスパロウ船長を主人公にした話かと思いきや、またも彼は脇役であり、物語の主筋はバルボッサ船長と黒髭船長の確執劇なのであった。

 あらすじはといえば、自分が近いうちに亡くなるという予言を知った黒髭船長がそれを回避すべく、それを飲めば寿命が延びるという「生命の泉」の水を得るために、航海に出る。
 「生命の泉」は邪教の崇拝物なので、その情報を知ったカソリック国のスペインが、船団を出してそれを破壊しに行く。スペインと敵対しているイギリスはそれを阻止し、かつ病気の国王の寿命を延ばすために泉の水が欲しい。そのためにバルボッサを船長として船団を組み、スペイン船団のあとを追いかけていく。
 これにスパロウ船長がからみ、4組での「泉の水」争奪戦が行われる。

 スペインは実際にアメリカ大陸、アフリカ大陸で異教文化の破壊、抹消をやり尽くしたわけで、このところは妙に説得力のある設定である。

 物語は一種の家庭悲劇で幕が閉じる。

 パイレーツ・オブ・カリビアンは、主役級の登場人物に関しては、「親子の物語」に固執しているところがある。 ウィルは呪われた運命にある父をそれから解放させるために奮闘し、エリザベスは憎しみまで覚えていた父と和解を果たす。スパロウ船長は、海賊長であった偉大な父に心身ともにずっと守られている。(だから父親はJ・デップよりも格上のスターが演じている)

 本作では、黒髭船長とその一人娘の親子の悲劇が語られる。
 それは、自分を愛さない父を、それでも愛し続ける娘の物語である。これが悲劇となっているのは、父が娘を愛していないことを、他人は誰でも分かっているのに、当の本人だけが分かっていないというところである。まあ、スパロウ船長はそれを逆用して、娘の命を救ったわけで、こういうところが食えない男スパロウ船長の真骨頂というところか。

 本筋はともかくとして、本作で一番映像的に魅力であったのは、「命の泉」に関連する人魚たちの登場と、彼女らによる船の破壊のところ。
 まず最初に登場する人魚が人間離れした(まあ、設定上は人間でないわけだが)美しさを持ち、そして海での人魚の群れの遊泳も幻想的に美しい。
 ここ見るだけでも、映画を観る価値あり。

【人魚】
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 最初に登場する人魚は、ジェマ・ワードが演じている。
 非常に整った、人形のような容姿であり、「これが実際の人魚だ」を言われれば信じてしまいそう。
 人魚は一匹捕えられ、その後の物語に絡んでくるのだが、その人魚はジェマ・ワードでない、他の役者によって演じられていた。もっと見たかったのに、残念。
 ジェマ・ワードはモデルが本業であり、演技力に問題があったのだろうなあ。

 …………………………………
 パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉→公式サイト

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Comments

生命の泉=ブードゥー教の聖水みたいなものなんでしょうか?スペインがこの宗教にだけは寛容だったのは不思議。

Posted by: 天ちゃん | June 03, 2011 10:10 PM

ブードゥー教の聖水って、ゾンビを造る水でしたっけ? だとすると全然違います。「生命の泉の水」はあくまで普通に生きている人間の寿命を延ばすアイテムです。
ブードゥー教みたいな目立つ民間宗教を、あのカソリック教会が見逃すはずはなく、容赦ない苛烈な弾圧が加えられていますよ。現代まで何とか生き残ったのは、組織系統がはっきりしない、あやふやな民間宗教集団であったため、根絶が困難だったからじゃないんですかねえ。

Posted by: 湯平 | June 03, 2011 11:23 PM

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