読書:初代竹内洋岳に聞く (著)塩野米松
日本で山登りをしている人は多いけれど、竹内洋岳氏はそのなかでただ一人、山登りで飯を食っている、すなわち本邦唯一の登山のプロである。
…登山で生計を立てるといえば、普通は登山客を連れての登山ガイドということになるが、竹内氏はそうではなくて、登山行為そのもので給料を得て、生活しているのである。
ヨーロッパなどでは先鋭的な登山をする人は英雄的存在であり、スポンサーがいくらでもつくので、登山プロはそれほど珍しい存在ではないが、日本にはそのような登山文化はないので、登山という行為に商業的価値はなかった。
しかし竹内氏は、登山に商業価値があることを認識し、それを周囲に覚知させることによりスポンサーを得て、日本初代のプロになることに成功した。
これは、本邦の登山史における画期的な出来事といえる。
竹内氏が示した商業的価値とは、大雑把にいうと、(1)登山の近代化により、各種の器具も近代化してきた。それを実際に使い検証するプロが必要だ。(2)登山にはまだ冒険が残っている。その冒険は十分に商業として成り立つコンテンツだ。との2つである。
本書を読めば、そのへんのことが詳細に分かり、日本の登山技術史の進歩そのものを理解することができて、たいへん面白い。
ところで、竹内氏はその商業的コンテンツとして、現在「8000m峰14座登頂」を実行中である。
ヒマラヤには8000mを超える山が14座あり、その全てを登ったものは、この世に21人しかいず、そして日本人にはまだ完遂者はいない。
このヒマラヤ8000m超の峰は、いずれも登頂に命の危険のある山である。
ベースキャンプから頂上までロープを張り巡らされている、「観光客でも登れる山」と揶揄されているエベレストでも、そういうロープだらけの状態になってもまだ死亡率4.4%であり、一番危険な山アンアプルナでは、死亡率は40.7%に達する。
14座完登者は、そのような危険な山を14も登って、生きたまま降りてきた、卓越した技術と精神力を持った、賞賛すべき優れた登山者である。
竹内氏は、8000m級14座のうち、すでに12座を登り、あとは2座残すのみである。
さて、栄光の日はいつ訪れることになるのか。
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初代竹内洋岳に聞く
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