読書:死都日本(著)石黒耀
新燃岳の噴火がなかったら一生手にとることもない小説であったが、新燃岳の噴火を機に、その存在を初めて知ったので読んでみた。
これは面白かった。
小説では、加久藤カルデラに貯まったマグマが限界に達して、霧島山系を吹き飛ばすくらいの大爆発を起こす。火口から溢れ出る火砕流、爆風は南九州全体を飲みこみ、死者300万人という壊滅的なダメージを瞬時にして与える。悲劇はそこで終わらず、火山噴火後の膨大な降灰は西日本から関東まで覆い、各地で多くの土石流が置き、都市は破壊されていく。日本が存亡の危機に立たされとき、政治、経済、軍事はどのように動いていくのか、それを壮大なスケールで描いている。
政治、経済の部門に関しては、ある意味ファンタジーであり、読んでいて苦笑してしまう面もあるのだが、本来のファンタジーである破局的噴火のシーンは極めてリアリティックである。作者は専門家ではないそうだが、その火山の知識は途方もないものだ。しかも理系、文系両面からの火山の考察が優れているので、空を炎と煙が覆い尽くし、大地が溶岩に埋め尽くされていく、科学的・写実的描写が、神話的・黙示録的な悲劇として、読者の胸に迫って来る。
そして宮崎在住の者としては、作中使っている場所が、ほぼ現在地そのものを使っているため、とても臨場感がある。主人公と新聞記者の2人が、霧島の大爆発噴のあと、後ろから迫りくる火砕流から逃れるため、必死に車を飛ばして走るルート、霧島→田野→大戸峠→北郷→日南は私も自転車で走ったことがあり、(ブログにも載せている)、逃避行中の周りの景色まで目に浮かぶようであった。
宮崎在住で、このようなカタストロフィー小説が好きな人には、必読の本であろう。
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死都日本 (著)石黒耀
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