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January 20, 2011

私の好きな絵(3): 北極星号 (作)カッサンドル

Polar_atar_3


 基本的には日本人は寒いのは苦手なのであり、それゆえ冬は雪に閉ざされる北の地は、わびしく、さびしい地として認識されがちだ。例えば、演歌にしろ、映画にしろ、北に向かう人は心になにかの傷をもち、それゆえ北の地を目指すことになる。

 ヨーロッパはそうでもないようである。
 冒頭に示すカッサンンドルの絵(厳密にはポスターだが)は、1920年代にパリからアムステルダムへ向かう寝台特急が始まったことから、宣伝のために作成されたものである。
 絵はシンプルなつくりであり、広大なる北の大地に、地平線に向けて線路が鋭い軌跡をもって、収束していっている。肝心の特急列車の姿は描かれていないが、この絵の視点は列車からのものであり、この線路のシャープな線が、列車の走る速度の速さをよく示している。
 そして、はるか彼方の地平線上で輝いている星は、絵のモチーフからして北極星なのであるが、天文学的には位置はまったく間違っている。それでも今にも大地から昇ってきたばかり、いや大地から産まれたてきたばかりのような、生命感、躍動感をもって、その星は我々を北へ北へと招いている。その存在感の大きさは、やはり北の夜空の主軸である北極星そのものである。

 絵全体から感じられる疾走感と、期待感。
 ながめる私たちも、はやく北の地へと行きたくなる、そういう誘いに満ちている絵だ。
 北の地は、寒いだろうけど、それ以上の愉しみを与えてくれる、おそらくは美と音と香りに満ちた、そんな魅惑の地、そのようにこの時代のヨーロッパの人は思っていたのでは。

 大地、線路、夜空、それに星を単純な線で描いた構造の絵ながら、旅の楽しさ、期待感、それに人々の憧れが伝わってくる、優れた絵である。

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Comments

上鹿川にサイクリングで行かれた記事やハーフマラソン等の記事を拝見して訪問させてもらいました。

上鹿川出身で宮崎市に住んでいます。今後も時々訪問させて下さい。

Posted by: ありがとう地球さん | January 21, 2011 11:29 AM

はじめました。
HP訪問させていただきました。
古き、良き時代の鹿川の写真をみて、私もなぜか懐かしい気分にひたってしまいました。
また青大マラソン、フルを完走できる脚力に感心いたしました。
私もそこそこ鍛えてはいますが、とてもフルマラソンを完走できる自信はありません。
これからもよろしくお願いいたします。

Posted by: 管理人 | January 21, 2011 10:11 PM

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