俵屋 元日
元日の部屋は、「翠」にて。
この部屋は伝統的日本家屋の造りの印象が強く、どちらかといえば柊家の本館に似たものを感じる。そのなかで強い個性を放っているのが、三和土に置かれた行燈。部屋のなかのどこかれでも目立つ意匠であり、磨きぬかれた硝子に明かりを灯した姿が重なり、庭を背景にした万華鏡のようにも見えて、とても面白い。
翠には小さな書斎が用意されていて、姿よき庭を眺めながら、ぼんやりと読書や書き物などができる。心地よい空間である。
正月の夕食として、まずは新年を祝っての祝膳。
伊勢海老の黄金焼きである。添えてある唐墨や慈姑、人参の朱色と金色もあわせ、いかにも目出たい料理だ。
造りはフグの薄造り。
色鮮やかな皿の絵模様が、フグの薄造りより透けて見え、これもなかなか目出たい。
御凌ぎとして手毬鮨。海老に煮蛤、それに椎茸の雛鮨。
遊び心も感じられる、可愛らしい料理である。
抜群の素材の真魚鰹に、淡く西京味噌で味を調えて焼かれた、この料理は俵屋の凄さを物語るものだ。味加減、焼き加減、すべてが完璧。一口食えば、もうノックアウトの世界。
子持ち諸子を蓮根にのせたものを南蛮酢で和えて。
これもまた正月らしい、目出たい料理。祝いの御節料理を夕食風にアレンジしたようなものでもある。
美味い肴に、酒をビール、ワイン、清酒とちゃんぽんにして飲みまくり、平成23年度もしっかりと酒を飲むことから始まるのであった。
夕食のあとは、ひさしぶりに二階のラウンジに寄ってみた。アーネスト・サトウ氏の使っていた書斎なのであるが、屋根裏的雰囲気のある、ふしぎと落ち着ける空間である。
机の上のパソコンがいつの間にかMacからWindowsに変っていた。部屋の感じからすると、Macのほうが似合うと思うのだが、userがこちらのほうが多いだろうから、そうなったのでしょうな。
そのあと、寒いなかホテルオークラまで行って、トップラウンジでカクテルを飲むことにした。
京都の夜景を高きところから眺めながら、マティーニを飲む。なにか優雅な気分になる。
この店のツマミは漬物が出てくるという独創的なものであったが、いつのまにか普通に乾きものになっていた。
俵屋のパソコンの件といい、しらぬまに世は動いているのだなあ。
それにしても、午後11時近いということもあったのだろうけど、この広いラウンジに客は他にいなかった。
大晦日と違い、元日の夜はそんなに京都の人は出歩かないみたいであった。
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