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November 30, 2010

聖なる森@ベックリン

Hollywoods

 ベクシンスキーの絵を出しておいて、そのままにしておくのもなにか後味が悪いので、ついでとばかり秋の森を描いた絵をもう一枚紹介。
 (個人的には、ベクシンスキーはこの絵を参考にして、あの絵を描いたと思っている)

 秋になり、葉の色は黄色に染まり、風にはらはらと落ちて行く、そういう季節の森。樹々は日の当たる側は、やわらかな太陽の光をたっぷりと浴びて、日を浴びることの喜びを静かに表しているようだ。日は画面の奥に向けて、すべてを吸収されていき、森は生の世界から、荘厳な闇の世界へ化していく。
 絵の中央には、祭壇に火を捧げ礼拝をする人たちがいる。その敬虔な祈りに呼応するかのように、森の奥から神秘的な白衣の人の群れが歩みでてくる。
 この絵に描かれた風景は、おそらく誰も見たことはないような風景であるけれど、しかし、この絵には「森」というものの普遍的世界が明らかに表現されており、それゆえ私たちはこの絵に不思議な既視感と説得力を感じることができる。

 しかり、森とは生命の根源に近いものである。
 森は、全てを受け入れ、全てを育み、やがては全てを弔う。
 神というものを人間が発明する以前に、神に近いものが私たちの身近にすでに存在しており、それを具象的に描いたのがこの絵である。森のなかで礼拝する人たちの祈りの対象は森そのものであり、祈りに応じて現れる人々は森の精霊である。だからこの絵は「Heilige hain(holly woods)=聖なる森」と題されている。

 この絵は日本人にも人気のある名画だけど、「鎮守の森」とかで、身近にある森に神秘的なものを感じてきた日本人には、より理解できやすい絵だと思う。

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