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October 2010の記事

October 31, 2010

山の中のカレー屋:峠のカレー屋ぽから@宇佐市

Shop


 安心院から宇佐に抜ける県道658線は山のなかを行く山道であるが、その途中さらに山へ向かう枝道の入り口に「ぽから」という看板が立っていて、そこから入ってしばらくのところに「峠のカレー屋ぽから」はある。

 人訪れること少なき、いかに辺鄙なところであろうが、カレー店というものは、きちんと存在し得る不思議な存在であり、じっさいに「ぽから」はこのように「知っている人しか来ない」ような位置にありながら、今年で営業を続けて17年になる。

【チキンカレー】
Curry

 カレーは、玉葱、野菜でじっくりとコクと甘みをつけたルーに、スパイスをからめて味を立体的に整えた本格的なもの。
 こんな辺鄙なところで、このように本格的なカレーが食べられるという、そのミスマッチングなところも面白い。
 辛さは1から3まで選ぶことができ、辛いものが好きな私は3を頼んだ。マスターの「とても辛いですよ」との言葉どおり、3はいわゆる激辛に属するレベルであり、それはそれで満足であったが、コクと甘みを生かしたルーからすると、3ではバランスが悪く、この店のカレー本来の味から離れていた感じ。今度来る時は、1にしてみよっと。

 休日の昼時ということもあり、店は客でにぎわっていた。
 そのなかにローディ達がいた。自転車でこの山のなかの店を訪れて来たという強者である。
 同じような時間に店を出たけど、彼らは自転車のチーム名を書いたレーシャツ姿であり、そしてなんとドラミちゃんの人形をヘルメットにつけた人を先頭に、すごい速度でかっとんでいった。
 たぶん、地元では有名なチームなんだろうなあ。

【自転車チームの後ろ姿】
Rody


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和食:無量塔@10月

 登山のあとは温泉に入って、それから無量塔の夕食を楽しもう。

【先付】
1

 先付けはこういう面白いものから。
毬栗の殻に見立てて、米粉と素麺を揚げてつくった土台のうえに、海老、栗、パブリカと色鮮やかな食材を載せて、なんともにぎやかな感じの料理である。

【椀物】
2

 椀物は秋の定番、土瓶蒸し。
 しかし松茸の香りはあえて控えめにして、それにアワビの香りをからませて、重層的な、特徴ある香りが演出されている。
 見事なバランスの料理。

【八寸】
6

 旬の新鮮な食材を、繊細にして丁寧な仕事を加えて、一つ一つの料理が個性を主張している。
 こういう複雑で多種な肴が並ぶと、酒がじつに進みます。

【鍋】
3

 鍋は黒豚のけんちん汁。
 黒豚に、人参、葱に、根菜。
 上品だが田舎っぽい味付けが、いかにも無量塔風である。

【焼き物】
4

 焼き物は山女。
 ただの塩焼きではなく、田楽、ホワイトソース和え、骨煎餅と、ずいぶんと手間のかけた料理となっている。

【豊後牛焼き】
5

 いつものごとく〆は豊後牛。
 レア加減の炭火焼であり、肉汁の旨さが噛めば噛むほど広がって来る。


 無量塔の料理は、美味さにおいて本当に安定感がある。
 これにいろいろと遊びが加わるわけで、食べるごとに新たな愉しみを感じることができる。
 次は冬にまた訪れよう。

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October 30, 2010

登山:秋の三俣山@九重

 週末は季節外れの台風直撃を予想していたが、ありがたいことに台風は太平洋側に大きくそれて、天気は曇りときどき雨と、登山にはベストではないものの、それでも山登りを楽しむことができた。

【三俣山本峰から】
Mimata_honnpou

 紅葉の時期、三俣山は稜線まで登ったとき、そこから見える火口(大鍋・小鍋)は紅葉の錦絵が楽しめる絶好の紅葉ビューポイントなのであるが、残念ながら旬を少し過ぎてしまったらしく、樹々の葉の色はくすんでしまっている。
 それでも九重の雄大な峰々を背景とした、三俣山の紅葉の姿は、やはり絵になる図であり、ここまで登ってきた者しか見ることのできない、素晴らしい光景である。

【北峰あたりから】
Mimata_oonabe

 これは御鉢めぐりをして少し高度を下げたところからの大鍋を眺めたもの。
 火口を形成する南峰の急峻さがよくわかる。

【雨ヶ池への登山道入口】
To_amagaike

 本峰の真向かい側にある、雨ヶ池へのルートはこのように立ち入り禁止のロープが張っていた。このルートはたしかに登山道の崩れかたのひどく、自然保護、植生保護のためには仕方ないであろう。
 ただ、三俣山への登山道は、指山ルートも、舞鶴新道も廃道になっているので、正規のルートはすがもり越ルートのみになってしまったわけで、少々登山の面白みが減ってしまうことも事実だ。

【大鍋】
Onabe

 三俣山は火口に降りることができる。
 火口底はクマザサが生茂っており、そして紅葉をまとった山壁が、ぐるりとまわりに広がっている。
 いい雰囲気の地である。

【紅葉】
Momiji

 時期を少し過ぎていたため、鮮やかな色の紅葉には出会えなかった山行であるが、登山口ちかくにあったこの紅葉の樹は、本日のベストの色の紅葉であった。
 このレベルの樹々がたくさんあれば、さぞかし美しい光景が広がっていたはずだが、…なにしろ紅葉のタイミングは難しい。
 来年に期待するか。

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October 28, 2010

山では紅葉の時期なのではあるけど

 紅葉というものは寒暖の差が激しいほうが色が濃くなるので、今年のような真夏から一挙に冬になったような気候の年は、紅葉の当たり年のはずである。
 そして10月下旬は、九州の山々は山頂付近の紅葉は盛りは過ぎたが、山麓では山肌が錦色に染め上がる、もっとも美しい時期となっており、今が旬だよという報告が届いている。
 今週末はそれで山に登る予定を立てていたのだが、…なんたることぞ、大型台風が九州に接近中ではないか。これは山に登るのは無理っぽいし、それに台風通過と同時に紅葉は一挙に散るであろうから、紅葉シーズン終了ですな。
 なんだか、ほんとに今年は変な気候の年であった。

Autum_sunset


 夕方、外を見てみると、西の空はじつに鮮やかな夕焼けである。
 毒々しいまでに赤く染まっており、なんだか妙な不安を感じさせるくらいの、印象的な夕焼け空。
 これも遠くにある台風の影響?

 なにはともあれ、台風が大きく進路をそらしてくれないかなあ。
 紅葉の山、登りたいっす。

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October 15, 2010

光洋の唐墨

 秋になるといろいろと美味しいものが出現してくるわけだが、そのひとつが唐墨である。光洋は自家製唐墨を秋の看板料理としており、それを食ってみた。

 唐墨は塩加減、熟成のさせかた、日の干しかたで、味わいが千変万化する食べ物であり、そしてそのいずれもそれぞれの個性があって、美味い。

【光洋の唐墨】
Karasumi

 本日の唐墨は、立派な大きさの卵を、あえて軽めの手の加え方で、ボラの卵の食感、味わいをよく残したもの。元の素材がしっかりしているから、正面勝負という感じの唐墨となっている。

【鰤】
Buri

 鮨は、海の調子がよくなかったのか、今日は全体的にあんまり素材に力を感じられなかったけど、この鰤の鮨はよかったと思う。
 鰤の腹身を使った鮨で、少し緩慢になりがちな鰤の食味食感を、塩できっちりと整えて、柔らかさと鋭さを両立させている。
 また鮨に加えて、この鳥獣戯画をあしらった有田焼の皿もじつに魅力的。

【フィアット500】
Fiat

 私がほとんど最後の客であったため、またも駅までフィアット500で送ってもらう。
 フィアット500、なにも現在の日本でこんなに非力でメンテの難しい車に乗らなくともと思うのだけど、純和風の光洋の建物を前にすると、じつによく似合っている。
 この車はなんといってもスタイルが魅力だな。この手のものにかけて、イタリア人のセンスって、やはり素晴らしいものがある。

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October 14, 2010

10月の鮎@由貴亭

Ayu

 10月といえば鮎はもう落ち始めた季節であり、友釣りで鮎を獲っている由貴亭では、鮎はメニューから外れただろうなあとか思いながら由貴亭に行くと、たしかにメニュー表には鮎は載っていないが、本日はなぜか鮎はあるとのこと。

 今の時期の鮎は腹に卵をもっているので性格が穏やかになり、他の鮎が自分の縄張りに入っても攻撃しないので、友釣りというものが成りたたなくなっており、店主も当然釣りには出かけない。
 しかし本日はたまたま鮎好きの客が、日之影町の見立川まで行って、網で鮎を獲ってきて、それを店に持ってきたとのこと。
 私もその相伴にあずかり、まん丸に太った鮎を食べさせていただいた。

 この鮎はやはり卵をかかえており、そちらに栄養を取られてしまっているようで、皮と身には鮎独自の香りと味わいが抜けてしまって、9月までの鮎とはべつものの食い物となっていた。
 鮎の季節はたしかに終わりである。

 もうしばらく経ち、卵がさらに大きくなり、身がパサパサになると、これはこれでシシャモの大きなものみたいな、独特の風情がある「落ち鮎」という料理になるのであるが、今の時期は、鮎から落ち鮎への端境期みたいなもので、どうにも中途半端なものになるみたい。

 食べ物は季節をよく映す鏡みたいなものである。
 10月の鮎を食いて、季節の推移をしみじみと感じるのであった。

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October 12, 2010

尾道に「大和」があった日

 尾道は以前に訪れたことがある。
 5年前に「男たちの大和」という映画があり、撮影のために「戦艦大和」の実物大の模型が尾道向島のドックで造られて、それの公開が行われていた。実物大の大和! そんな滅多に見られぬものはぜひとも見なくてはと思って訪れたのである。私は物見高い男なのだ。

【向島ドックを見下ろす】
From_view_hotel

 尾道のビューホテルという、高台にあるホテルから向島のドックを見下ろす。分かりにくいけど、真中のドックに大和の模型が置かれている。

【拡大図】
From_view_hotel_2

 その大和の拡大図である。
 …実物大と謳っているわりにはなんか変ですね。
 じつは予算の関係で大和は前半分しか復元せず、また一番大事な艦橋もつくられなかった。それらはCGでごまかして、映画では完全な大和が出現している。

【映画での大和】
Cinema

 で、映画では、こんな感じとなる。

【大和近景1】
Yamato1

【大和近景2】
Yamato2

 見下ろしてばかりいても仕方ないので、向島に渡って近くから大和を見てみた。
 主砲、副砲、高角砲、機銃はきちんと復元されており、これはけっこう「大和」の実物を伝える力があった。

【ライトアップ1】
Light_up

 巨大なクレーンを何本も使って大和は復元されていたのだが、夜になるとそのクレーンを様々な色でライトアップしており、幻想的な美しさがあった。

【ライトアップ2】
Light_up_2

 これはホテルから見下ろしたもの。
 海峡に各々のクレーンのライトアップされた色が映り、なんとも美しい。


【大和@呉大和ミュージアム】
Klure_yamato

 広島には当時、大和は2つあった。
 そのうちの一つが呉の海軍歴史科学館大和ミュージアムにあるもの。
 こちらはさすがに実物大ではないが、10分の1のスケールで丸々再現したものである。10分の1とはいえど、元が大きいだけあって、巨大でありさすがに迫力がある。


 そういうわけで、「大和」をしっかり堪能した5年前の広島行であった。

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October 11, 2010

高速道路の食事処

 尾道から延岡にどうやって帰るかだが、しまなみ海道で四国に行って、それから愛媛の八幡浜からフェリーで臼杵に渡るのが、時間はかかるが楽しそうである。
 しかしそれはフェリー代が一万円近くかかるのがネックとなる。今は休日の高速道路が1000円で使い放題なので、どうにもフェリー代が割高に思え、結局はいちばん安易な、往路と同様の高速道路使用にて戻ることにした。
 こういう感じでフェリーを使わない人がそうとう増えているのは容易に想像でき、この休日1000円の高速料金というのも、他業圧迫ではあるよなあ。車使う人には便利じゃあるんだけど、いつまでもは続けられない制度であろう。

 尾道ICから山陽自動車道を下っていく。
 どこかのSAで飯を食いたいのだが、まずは王司PAで「昭ちゃんコロッケ」を購入。

【昭ちゃんコロッケ@山口王司PA】
1

【昭ちゃんコロッケ】
2

 高速道のSAの売店はどこでもコロッケを売っているけど、この王司PAの昭ちゃんコロッケは、それらの普通のコロッケとは少々異なっている。昭ちゃんコロッケはジャガイモに独自の味付けをしており、ジャガイモ自体の味より、「味つきジャガイモ」の味のほうが前面に出てくる、…要するに「味付きコロッケ」である。それの何がよいかというと、冷めてもおいしいんですよね。普通は冷えたコロッケなんてうまくもなんともないけど、この昭ちゃんコロッケは、冷えてもしっかりした味があるので、いいビールのツマミになる。
 もちろん熱いときもおいしく、今回もさっそく熱々のものを食べた。

【黒豚ソバ@大分別府SA】
3

 昭ちゃんコロッケで小腹を満たしたのち、昼飯は別府湾SAで、不生庵の「黒豚ソバ」にする。不生庵は無量塔プロデュースの蕎麦屋で由布院にあるけど、この店はその(たぶん)支店である。
 高速道路で食べるソバとしてはかなりレベルの高いものであり、とくにこの黒豚ソバは、とろとろに煮込まれた黒豚と、その脂の混じったソバ出汁のマッチングがよく、かなりの逸品である。これをツマミに酒が飲めないのは残念だが、ノンアルコールビールで我慢しましょう。

【県道122号線から見る海岸線】
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 佐伯ICで高速道を降りたのちは国道388号線で帰るつもりだったけれど、蒲江で道なりに進むうち県道122号線に紛れ込んでしまった。
 この道は、かなりハードであった。道が狭く離合も困難な曲路がずっと続くのに、大きな道路の工事を併設してやっているようで、トラックの交通が多く、運転に緊張を強いられた。
 古江あたりで国道388号線に出た時は、ほんとにほっとした。

 ただこの道は海岸線沿いのときも多く、そのときは景色がよくて、自転車で走るのならけっこう気持ちのいい道ではないかとも思った。

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October 10, 2010

しまなみアイランドライド2010 水軍200コース

 5時半に車で福山出発。早朝なので交通量は少なく、余裕で6時前に尾道向島に着けると思ったら、尾道大橋に入る道を見つけきれずに尾道市を通り越してしまい、スタート会場の向島運動公園に着いたのは6時10分であった。しかも駐車場は満杯であり、3kmほど離れた駐車場へ案内され、そこで自転車を組み立てて会場に戻ってきたのは6時45分過ぎ。スタート時刻は6時半なので思いっきり遅刻である。
 ただ200km組は6時半出発にはなっているが、全員一斉スタートというわけではなく、足の強い人の集団順に時間をずらせてスタートさせていた。私は6時50分発の足の弱い人たち用の最終組に入ってやっと出発。
 …この最終組、走行速度がたしかにゆっくりであった。先導スタッフ率いる集団走行のなか、たしか先導スタッフは抜いてはいけないとかの大会ルールがあったので、これはどうしたものかと思いながら、集団のなかで段々順を上げるうち、後ろから来たスタッフから「ゼッケンナンバー○○番、先に行ってください」と声をかけられたので、あとは集団を離れマイペースで漕いで行くことになった。
 しかし、あの集団、最初からあのぺースじゃあ、たぶんほとんどの人は完走は無理だったと思う。

 最初の橋を渡って因島に入ってから、アップダウンの多い海岸線の道を行く。瀬戸内海は気候の穏やかなところであるからして、島の削れ具合もほどほどであって、どの坂も50m以下の高さのものばかりであり、ウオーミングアップには丁度よい感じ。それでも坂を登るには膝に力を入れねばならず、出走前から鈍い痛みを感じていた左膝の裏側が痛みを増してきた。自転車というものは、片足でも走行できる構造になっており、なるべく左足に負荷をかけないように、意識して右足重点で坂を登っていくことにした。

【多田羅しまなみ公園 AS】
1

 因島、生口島とけっこう坂の多い道を走ってきて、膝に疲労が蓄積している。
 ASではしっかりと休憩をとることにして、膝周囲の筋肉の回復を図る。10~15分くらい休めば、けっこう痛みがやわらぎ、力が戻ってきた。

【ふるさと憩いの家 AS】
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 次のASは「ふるさと憩いの家」なる施設。廃校を利用したものであり、昭和40年代あたりにタイムスリップしたようなレトロな感じがよろしい。廃校のなかで、ぐだ~と寛いでいるサイクリストもいて、たしかにそうしたくなる癒し系の施設であった。
 このASを出てからは大きな坂があり、また膝に負担がかかってくる。右足を多用していたせいだろう、今度は右膝まで痛くなってきた。完走に黄信号が点りだしたなあ。

【よしうみいきいき館】
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 右膝の痛みが強くなったら左足に力を入れ、その後左膝が痛くなったら右足をという感じで、だましだましペダルを回していく。そのうちに100kmを少し過ぎた地点の昼食休憩用のAS「よしうみいきいき館」に到着。
 着いたのが11時15分なので、残りの100kmをあと6時間以内で走れば足切り前にゴールに戻れることになる。完走は本来なら確実だろうが、問題は膝がどこまで持つかである。

【昼食】
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 昼食はいろいろ選べるなか、「鯛飯」にしてみた。鯛飯はともかくとして、味噌汁が塩分多めの味付けのものであり、汗をかいて相当に塩分を消費した者としては、とても美味しく感じられるものであった。

 十分に昼食休憩を取ったのち、四国への橋「来島海峡大橋」を渡っていく。
 6つの橋を渡っていくこのルートにおいて、来島海峡大橋が最も巨大であり、高度も高い。まさに海の上空を飛んでいるような感覚が得られ、爽快な気分にひたれる。

 この橋を走っている途中で、折り返して来たりんりん館チームのAさんとすれ違い、挨拶を交わす。Aさんのバイクは、滅多にないような鮮やかなカマキリ色ゆえ、やはり目立つなあ。

【今治市糸山公園】
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 はるばる来ました、四国は今治市。しかし四国の地は、タッチをする時間くらいしかおれず、四国突端のこの公園が折り返し点であり、ここからまた先渡ったばかりの来島海峡大橋を走ることになる。

 来島海峡大橋を渡ってから、なんだか足の調子がおかしくなってきた。両膝の痛みが強くなってきたのに加え、ペダルがどうにも重たく感じ、ペダルが回ってくれない。ギッコンバッタンという感じでしかペダルを踏めず、こんなに筋力が低下したからには完走赤信号寸前かなあなどとか思いながら、橋を二つこえ、チェックポイントの多々羅しまなみ公園ASに着。
 念のために自転車をチェックすると、あれ! 後輪がゆるゆるの空気圧になっている。これがスローパンクというやつか。空気圧を測るとなんと1気圧であった。よくこんなので走れたな。7気圧まで圧を戻して空気の漏れをみてみるが、空気が漏れる気配はない。
 受付でチェックをして、それから休憩をとったあとタイヤを指で押してみると、まだガチガチに空気は入っている。ゴールまであと40kmくらいだから、なんとか持つかもしれないと思って、スタート。

 そうすると、今までの足の重さがウソのようにペダルが回る、回る。
 自転車の空気圧はとても重要なのである。…しかし私は来島海峡大橋からの40kmくらいをスローパンクの状態で走ってしまったわけで、ただでさえ膝を痛めているのに、さらに余計な筋力を使ってしまったことに対して、なんだか腹が立ってしまった。

 「大事な教訓:自転車の走りが悪くなったとき、体調のせいとすぐに考えず、必ず自転車を調べましょう。」

 生口島からゴールまでは海岸線の平坦な道を進んでいく、足に負担のかからないコース。瀬戸内海の静かな海を眺めながらのライドで、景色もよろしい。私も途中までは快調に漕いでいたのだが、だんだん足が重たくなって、膝も痛んできた。自転車を止めてタイヤを調べたら、また空気圧が落ちている。しょうがないので、携帯ポンプで空気を補充しながら自転車を進めていくうち、次のASの万田発酵社に着いた。

【パンク修理】
4

 これはチューブを変えないとどうにもならないと思って交換しようとする。するとメカニックの人が、こういうスローパンクは必ずタイヤに何か刺さっているか異物があるので、それを外さないと、チューブ変えても同じことになりますよとアドバイスしてくれた。それからタイヤを受け取り、丁寧に探ると、とても小さな石片をみつけ、それを取り除き、そしてチューブ交換までしてくれた。
 さすがプロの仕事、じつに手際がいい。ほんとうに助かりました。

【ゴール会場】
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 両膝は痛いものの、残りは20kmを切っており、しかも平坦な道が続く。ようやく完走に青信号が点りだした。
会場前の最後の激坂を、一番のローギアを使って登りつめ、なんとかゴール。
 195kmを走りぬいたのだから疲れているはずだが、膝の痛みのほうばかり気にしながら走ったため、知らずして省エネ走行を実行していたみたいで、たいした疲労感はなかった。それでもやはり195kmという距離は、それを走りぬけた達成感と満足感は大きい。

 会場に着いたのが午後4時20分。9時間半かけてのロングライドであった。
 実走行時間は8時間7分だったので、195kmを平均時速24.0kmで走ったわけだ。まあ、こんなものであろう。

【最後の難関】
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 サイクリングは終了したわけだが、まだ自転車には乗らないといけない。会場から駐車場まで戻る必要があるからだ。
 この帰り道がじつは難関。赤矢印で示した道は10%を越える激坂が続く。痛む膝で、根性だして自転車を漕いで行ったが、サイクリング終了で心が切れていたこともあり、途中でいやになり押して登っていった。
 しまなみアイランドライド、なかなか奥が深い。

【完走プレート】
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 本日は尾道泊。Aさんご夫婦も尾道泊とのことで、完走祝賀会を尾道のLESPOIRというレストランで開く。Aさんは昨夜もこの店を訪れ、たいそう気に入り、完走したら祝杯をあげにまた来ようと思っていたとのこと。
 大量にカロリーを消費したあとなので、ひたすら食って、飲む。フルコース料理を平らげ、そしてビール、シャンパン、ワインを飲んだのち、店から祝賀のプレートが。溌剌とした文字、かわいらしい自転車の絵、チョコレートで描かれたものでなかったらそのまま記念に持って帰りたくなるようなすぐれものだ。

 料理もけっこう本格的なフレンス料理がでてきたし、アットホームな雰囲気もよく、なかなかいい店だったと思う。


 さて、しまなみアイランドライド。
 瀬戸内海の海、そこに浮かぶ島々。それらを結ぶ巨大な橋々。
 晴天のもと、景色はよく、橋も雄大であり、楽しいサイクリングコースであった。サイクリングが終わったあとも美味しい料理と酒を楽しめ、いい思い出となった。
 もう少し距離を伸ばしたコースの企画があったなら、また参加してみたい気になった。

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October 09, 2010

寿司:吉鮨@広島市本通り

Yosizusi


 吉鮨は以前は平和大通りの少々寂しいところにあり、隠れ家的な雰囲気があったが、今は繁華街のほうへ移転している。賑やかなところにあるので、私が「こういうところに店を構えると、ときどき酔っぱらった人たちが『さあ次は鮨食うぞ~』とか言って入ってきませんか?」と店主に聞くと、「当店は基本的には酔った方は断っています」とのこと。「…しかし、当店で酔ってもらうのはおおいに結構です。美味しい肴を美味しい酒をどんどん出しますからいくらでも楽しんでください」と続く。

 その通り、吉鮨は美味しい肴がいっぱい出て来る。
 その肴はネタケースにずらりと並んでいて、これがまたじつに美しく、そしてまた美味しそうなのである。今はネタケースを置かない寿司屋が増えてきているけど、やはり店に入ったとき、まずはネタを直接見られるネタケースがあるほうがより期待感をもって食事に臨め、食事が楽しくなると思う。

 肴は、サヨリ昆布〆、ミズイカのヅケ、子持ち昆布、ギンダラの自家製唐墨と出て来る。どれもじつに繊細な仕事がなされており、醤油、味醂、柑橘のバランスが上手であり、良い素材がますます美味さを増していく、そういうものである。次は今年出始めの済州島の鯖。脂の旨みはすでに旬のレベル。赤西貝の歯ごたえある食感もよろしい。沖縄モズクは爽やかな潮の風味がよい。そしてアナゴの白焼はそれだけでも絶品であるが、これにトリュフ塩を添えることにより、さらに美味さが重層的になる。茶碗蒸しは、これも卵の澄んだ美味さをうまく描出している逸品。
 どれもが、素材の素晴らしさと、工夫の素晴らしさが高いレベルで組み合わさったものぞろい。

 6年前に来たときはこの肴の行列に感嘆し、あるもの全部頼んで、酒をとんでもなく飲んだ記憶があるけど、今回は翌日早朝からの200kmのサイクリングを控えているので、ぐっと自制して、肴はこのへんにして寿司へと進む。

 握りは、鯛、鰆、平目、コハダ、鱚、煮蛤、ミズイカ、鮪ヅケ、雲丹軍艦、蒸アワビなど。
 どれも〆たり、唐墨を添えたり、隠し包丁を入れたりと、丁寧な仕事が加えられている。それらと砂糖を使わない赤酢のシャリは、とてもバランスが良く著和しており、完成度の高い鮨となっている。
 こういう鮨を食べると、鮨はやっぱり江戸前に限るとか思ってしまうなあ。
 あとはトロタク、干瓢巻きと出てきて〆となる。
 いや、じつに美味しかった。
 そして美味さに満足すると同時に、鮨というものは、精巧かつ精緻な細工品ななんだなあと改めて理解した。

 吉鮨は今の場所に移って4年目。まだまだ吉鮨は進化します、と店主の頼もしい宣言あり。
 広島、あんまり訪れる機会はないのだけど、進化しゆく吉鮨を経験するためだけにもまた訪れたくなってしまった。

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ドタバタしながら広島へ。広島に着いてもドタバタ。

 10月の連休中の10月10日に広島で「しまなみアイランドライド」というサイクリングイベントがあって、それは本州尾道から四国今治まで6つの架橋を渡って、200kmの距離を往復するという、スケールの大きなものである。
 コースも変化に富んでおり、それになんといっても「200km」という距離が魅力的だ。これは一回くらいは参加してみたいなあと思って、エントリだけはしておいた。そして一応その連休の休暇は確保しておいたのだが、…困ったことが生じてしまった。
 9月末にロングライドをしたのだけど、その時に左足の膝を痛めてしまった。原因はつまらぬミスで、サドルのセッティングを平地仕様に高くしたまま、坂の登り降りを繰り返したため、膝をやっちゃったわけである。サドルは高くすればするほどスピードが出てくるが、そのぶん坂での膝の負担が大きくなる。ここの調整って、難問だよなあ。

 まあ膝を痛めても、経験上安静にしておけばそのうち治るのは分かっているんだけど、どうやら「しまなみアイランドライド」の日には治りそうにはない。痛んだ膝かかえて200km走るのは、あらゆる意味で無謀に思えるので、参加は断念しておいた。

 しかし、海上の橋を渡りながら200km走る「しまなみアイランドライド」がどうにも気にかかる。そして10月10日の天気予報は晴れである。膝の回復を待って来年の「しまなみアイランドライド」に出るという選択もあるが、その日が晴れているとは限らない。一期一会という言葉もあることだし、とりあえず行ってみるかと考え、行くことを決意した。

 ただし前日に決めたので、全てはドタバタ。だいたい泊まる宿がない。尾道はこの一大イベントがあるため宿が空いているわけはない。周辺の都市でみると福山に空宿があったので、そこを予約。翌日はなんとか尾道に空宿があったので、そこを予約してとりあえず宿はGET。それから尾道に行く手段であるが、公共交通機関を使うと、どれを使っても複雑かつ面倒なので車で行くことにした。

 9日土曜は午前中にさっさと仕事を済ませて、尾道に向けて出発。いったん熊本に出てそれから高速に乗り一路ひたすら広島へ向い、午後4時半に尾道市役所前でサイクリングの受付を済ませた。それから2号線を使って福山の宿に到着した。とりあえずここで、一段落。

 さて宿に着いたわけだが、飲まず食わずでここまで来たので腹は減っている。なにか美味いものを食いたい。
 広島で美味い店といえば、やっぱり「吉鮨」だな。駄目モトで電話してみると、ラッキーなことに席はあるとのこと。では1時間後の7時くらいにお願いしますと言って、福山駅へ行った。

 …駅に着いて、路線図をみて愕然とした。
 広島駅って福山から無茶苦茶遠くありません? 同じ広島県なのだから広島市―福山市間は近いだろうと思っていたが、あとで調べると熊本市-福岡市間とほとんど変わらない距離があるんですね。こりゃ1時間は無理だなと思ったが、ありがたいことに福山―広島間には新幹線というものが通っており、これを使えば6時半には広島駅に着くことができた。

 吉鮨には6年前に訪れたことがあり場所は知っていたのだけど、それから新しく移転したそうで、「中町のパン屋のアンデルセンという店から、和菓子屋の梅坪の方向に通りをしばらく歩くと左手にあります」とのことだった。この説明はじつに的確であり、また観光地図にアンデルセンは載っていたので、そのアンデルセンさえ見つかれば容易に吉鮨の位置は分かる。
 しかし私は観光地図の位置にアンデルセンをみつけることができなかった。私の知っている「パン屋のアンデルセン」は、天神のデパートの地下にあるパン屋さんであり、ショーケースなり店等にパンを並べている店だと認識していた。そういう店を自力で見つけることはできずに、結局人に聞いて、初めて何度も前を通りすぎた立派なレストランみたいな店がアンデルセンと分かった次第。
 これもあとで調べて分かったけど、アンデルセンって広島が本店だったんだな。

 それやこれやで、なんとか吉鮨にたどり着く。
 吉鮨はまずは酒の肴が素晴らしい。繊細にして精巧精緻と称すべき、素材に工夫がされた肴が次々に出てきて、酒がとんでもなく飲める。6年前に来たときも、際限なしに飲み、今も肴と鮨と酒の美味さが記憶に残っている。

 しかし、明日は4時半起床、5時半宿出発、6時半サイクリングスタートというハードスケジュール。際限なしに飲むわけにはいかない。
 極上の肴、極上の鮨をツマミに、ここは鋼の精神力を発揮して、ビール1本、酒3合のみに止め、あとはお茶で我慢をして明日に備えることにする。

 う~ん、せっかく広島に来たのだから吉鮨でもっと飲みたかったなあ。吉鮨だけ目当てにまた広島に来てみようかな。

 会計済まして、新幹線で福山に戻り、宿に着いたのは午後10時半。明日は早いのでさっさと寝らなければならない。福山の宿は温泉施設が附属しているのがウリでそれも楽しみにしていたのだが、入る時間もありゃしない。
 着くまでドタバタ、着いてもドタバタの広島であった。

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October 05, 2010

オフィス風景

 10月から職場の異動となった。
 本社は延岡に支店を2つ持っており、そのうちの一つから、他の一つへの異動なので、あんまり異動の実感はないなあ。距離も近いし、勤務内容も、相当にかぶっているし。

 ただし、今度の職場は延岡市内といっても、周りは一面、それこそ見渡すかぎり田んぼである。
 延岡市って人口10万人越えているし、旭化成の工場はたくさんあるわで、工業都市と思っていたけど、市中心地から数分離れるだけで、見事なまでの田園風景が広がっている。延岡は田園都市でもあったのだ。
 この風景みるまで気付かなかった。延岡、なかなか奥が深い。

 さて、新しい職場のオフィス風景が、けっこうかっこいい。

【オフィス風景】
Room

 こうやってブースを仕切って、そしてPCを扱いやすいようにレイアウトしている机が置かれているオフィスって初めて経験した。
 なんだかIT産業のオフィスみたいである。

 …もっとも職場のIT化はまったく進んでいなく、ペーパー使っての伝達作業がいまだに中心だ。
 前の職場は、それなりにIT化は確立しており、ほとんどの業務はPC上で動いていたので、なんのかんのいってもすごく楽をさせてもらった。しかし、アナログ時代への逆戻りということになり、正直辛いなあ。
 まあ、PCとLANはあるので、とりあえず出来るところから、コツコツと改革していくか。

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October 01, 2010

Cafe Bar SOHO@宮崎市

 宮崎市に、業界の著名人が講演に訪れたので、それを聞きに行ってきた。
 こういう先端技術についての講演を聞くと、「中央はすごいことやってるなあ」とか思うのであるが、だいたい10年くらいするとその技術も地方に普及してくるのがいつものパターンである。その頃には私は現役を退いているであろうから、今の若い人はこういう難易度高いものを修練していかねばならないから大変だよなあ、と他人事のごとく思ってしまった。
 …しかしよく考えれば、地方には肝心のその若い人がいないんだよなあ。技術は人がいて初めて成り立つものであり、せっかく開発された技術も、九州では、まだ人がいる福岡あたりで留まってしまいそうだ。こうやって、地方はどんどん廃れていくのであろう。

 講演には前の職場の上司も参加しており、懇親会のあと上司のいきつけのBar SOHOへと行く。
 このBarのマスターは宮崎のギター界の大物であり、マスターをしたって楽器好き、音楽好きの客が集まり、知らずしてセッションが始まるという、そういう店である。
 カクテル飲んでいい気分になったところで、上司がマスターとセッションをやろうと言い出す。そして私に、おれが歌うからお前はベースを弾けと命じる。
 …ベースっすかあ。上司率いる職場バンドにベース弾きとして参加して、その後1年半ベース弾いてないなあ。ベースという楽器は、一人で弾いて楽しいというものでもなかったから。まあ楽譜があれば、ベースラインくらいは弾けないこともないが、こういうセッションではアドリブで弾くので楽譜などなしとのこと。そりゃ無理ですよ、とのことで、上司がベースを弾くことになる。

 マスターのギターに合わせて、上司がベースを弾いていたけど、マスター上手すぎ。ギターという楽器が、どれだけ表現力が豊かで、メロディアスで、リズミカルなものというのが、生で聞くとようく分かった。そしてこの演奏につられて、カウンターで飲んでいた客も持参のギターをケースから出し、次々と参加。そしてその人たちが、みんなすごく上手い。
 世の中にはなんと芸の達者な人の多きことか。感心してしまった宮崎の夜であった。

【セッション】
Soho


 …前の職場の忘年会に、上司バンドの一員として参加することを約束してしまった。
 ベース、練習すっかあ。

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