旅館:無量塔「新」
本日の宿泊は「新」の部屋。
雪国の旧家を移設して造り上げた部屋は、歴史を刻んできた風格を感じさせる。
このリビングで最も存在感を示しているのは大きなソファであるが、向きが少しおもしろい。
無量塔の部屋のリビングは、部屋そのものの魅力をじっくりと味わってほしいとばかり、ソファは壁側を向いている部屋がほとんどだけど、なぜか「新」だけはソファが庭を向いている。大きなガラス窓を通して、庭の奥には雑木林が広がっており、鳥たちの鳴き声が響いている。ソファに寝っ転がって、ゆったりと自然の音楽を聴くことにするか。
四畳半のこじんまりとした部屋で、中央を貫く大きな柱が空間の主役を務めている。夕食と朝食はこの部屋で。
風呂は長方形。
ここも大きな窓を通して、雑木林がのぞけ、半露天風呂的雰囲気である。
24時間こんこんと流れる源泉の湯の感触は、やわらかで、すばらしい。
部屋も食事も温泉も、そしてサービスも、とても高いレベルの宿である。
オーナーの突然の死で、裏側ではまだバタバタしているところもあろうが、そういう面はみじんも見せず、いつもどおりの落ち着いた、重厚感あふれる雰囲気に満ちた無量塔であった。
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