今年は梅雨前線が停滞しており、宮古島も天候が不安定となっていて、土日は雨が降るとの天気予報であった。しかし本日、外を見ると見事な晴天が広がっている。ほとんど梅雨明けと言ってよいくらいの澄んだ空。これはなんたる幸運と思ったが、…じつはそう幸運でもなかったことがあとで判明。
【りんりん館チーム+1名】

ホテルから会場までの約10kmを自走する。
宮崎から遠征のりんりん館チームに、名古屋からの遠征者一名を加えての足慣らし走行。
本日のりんりん館チームは主催者のAさん夫婦に、Sさんに私。
Sさんは一日100km、一か月3000km、一年で地球をほぼ一周する距離を走るという鉄人であり、後ろ姿もやっぱりペダリングがしっかりしている。
【会場】

会場で受け付けをすませ、ゼッケンなどをつける。
それにしても見事な晴天だ。宮古島の季節はもう夏だな。
【スタート地点】

200名ほどが100kmのサイクリングに参加。
出発は12時という、ずいぶんとまた暑い時刻である。
中盤くらいの位置からスタートし、周囲の者と同じ速度で走る。最初の名所である来間島大橋で軽い登りがあり、登りの箇所で集団がずり下がってしまい、いつのまにか私はトップグループに入ってしまった。さほどの速度でもなかったので、ついでとばかりペダルを早め先頭の車をぶっちぎって先頭に出て、そのまま先導のスクーターのあとを追いて行く。
じつは私の乗っているバイク、コルナゴEPSはレース用のバイクであり、その部門での名車と評されている。たしかにその突進力は素晴らしく、平地を走らせるとものすごく速いのである。ただ、オーナーの私に高速で巡航する脚力と根性がなく、わがEPSはもっぱらローギアでの山登りにばかり使われているという不憫な境遇のバイクであった。それが今回、サイクリングとはいえ、多数の参加者のうちのトップを数キロも走ることができ、レース車としてさぞかし満足であろう。これでいつ成仏しても本望といえる。…いや、ほんとに成仏されては困るのだが。
さて、スクーターの先導のあと40km/hrくらいの速度で走ってるうち、はやくもバテてきた。脚力云々というより、暑いのである。それも、ものすごく。身体に熱気がこもり、汗が大量に出るので、水分を補給したいのであるが、私はペットボトルのみ用意していた。ペットボトルは構造上両腕を使わないとフタが開かず、30km/hr超で走っているとそんなことは不可能である。いくらレース初心者とはいえ、アホであった。水分補給もままならず、といって停車する気にもならず、水・水と思いながらペースダウンするうち、一台にヒュイーンと抜かれてしまった。そしてまた一台に抜かれたが、その一台は私を抜いたあと、後ろをチラチラと見ながらペースダウン。これはついてこい、との合図なのかなと思い、そのあとを追いかけていくうち10名ほどの集団が形成され、35km/hrくらいでの巡航となる。そして集団で走ると、漕ぐのがすっごい楽なことが判明。これは明日のレースに応用できるなとか思いつつ、やはりのどは乾いたままで、水・水と思いながら、なんとか最初のエイド・ステーション(AS)に到着。
【パイナガマビーチ前】

バイクを止めて、冷たい水を何杯も飲む。冷たい水は、身体の隅々の細胞までいきわたり、身体全体がよみがえるような安堵感を得る。
ひと心地ついたころ、りんりん館メンバーのSさんが到着。Sさん、一人で気楽に走ってるうち道に迷ってしまい、だいぶと遅れてしまったそうだ。Sさんは小休止したのち出発。私は顔を洗ったりして、身体の温度を下げたのちに出発。
Sさんに追いついたら、その後ろについて走って行こうと思っていたが、ついにSさんの後ろ姿さえ見ることなしにサイクリングは終わってしまった。それもそのはず、Sさんはその後ずっと先頭集団で走り、ついにはサイクリング部門一位でゴールしたのである。さすが、鉄人。
【池間島大橋】

身体をいったん冷やしたのちも、自転車を走らせるとやはり暑くなる。
この気候は、宮崎の感覚でいえば、もう盛夏である。さすが南国の島。そして、盛夏の真昼といえば、本来ならとても自転車走らせる気象条件ではない。
いい加減に走ると脱水症を起こすことは必然なので、各ASで水分を十分に補給し、ついでに塩分もとる。
ASで停車したのちは、先行するどれかの集団に追い付き、それについていくことを繰り返す。自転車というものは、一人で走るのと、集団で走るのは、空気抵抗が異なり、疲労度がまったく違うのである。また時速も軽く5km/hrはアップする。一人で走ってばかりしていた私にとっては、目からウロコの体験であった。
やがてコースは次の名所、池間島大橋に到る。
コバルトブルーの海を一直線にまたぐ、美しい橋であった。
このあたりで、大会スタッフのゼッケン8番をつけたペースメーカーの人に率いられた集団に追い付き、それが30km/hr超のいいペースで巡航していたので、40kmほど一緒に走らせてもらう。楽チンであった。
【東平安名崎】

ペースメーカー先導の集団に入って走るうち、島北側のアップダウンのあるコースにいたると、集団がばらけてきてしまった。比嘉ASで休止となったが、ペースメーカー氏は集団が追い付くのを待っており、集団が揃うのにはけっこう時間がかかりそうなので、私は先に出発。
ここから先は入りやすい集団を見つけることは出来ず、結局ゴールまで一人旅となった。
一人旅になってから着いた名所、東平安名崎。
天の橋立みたいに海岸に挟まれた細い道を、灯台目指して岬の突端まで走っていく。高度感もあり、海風も気持ち良く、これはいいコースである。
【インギャビーチ】

東平安名崎を過ぎ、海岸沿いを走るが、ここからは凹凸の激しい、けっこう足に来るコースとなる。宮古島はフラットなルートがウリだそうだが、そうでもなかったぞ。
最後の大きな坂の前が、インギャビーチAS。ここでもしっかり水分を補給する。
バイクを立てかけておいたら、大会スタッフの人が私のバイクを見て、「スーパーバイクがスーパーに汚れてますね」との突っ込みをいれる。いや、さすがに輪行袋に収納するときは、きれいに清拭したのであるが、昨日のサイクリングで雨のなかを走ってしまったため泥がいっぱいついてしまったのであって、普段はこんなには汚れてませんよ、と心で言い訳をしておく。
それにしても現在の順位はたぶん全体の半分くらい。スーパーバイク、コルナゴEPSが本来いる順位じゃねえな。かえすがえすも、オーナーに恵まれないバイクであることよ。
インギャビーチの坂を抜けると、あとはそれほどの坂もなく、街中の走行となる。
途中で、りんりん館チームのAさんご夫妻に追いついた。Aさんご夫婦は60kmの部門に参加していたのである。挨拶して追い抜き、あと5km、あと4km、あと2kmと書いている標識を見ながら、ようやくゴール。
サイクルコンピューターでみると、100kmを3時間40分で走破。平均時速は27km/hrほど。このペースで走れるのなら、明日は足切りにあうことなく完走可能だな。
【Aさんご夫婦ゴール】

会場でストレッチなどしながら身体をほぐしているうち、Aさんご夫婦もゴール。まだまだ余力を残しての余裕のゴールに思えたが、奥さんは限界寸前だったそうだ。それから愛知のIさんも到着。一位でゴールしたSさんも含め、サイクリング参加者全員がめでたく完走に成功。
その後、グローブを紛失してしまったSさんとともに、宮古島唯一のサイクルショップくるくるに行き、Sさんはグローブを、私はサイクリング用水筒とボトルゲージを購入。明日はレースなので、今日のような休憩はとらず、ほとんどノンストップで走ることになるであろうから、これがないととても完走など出来ないことは本日身にしみてわかった。そういうことが今頃分かるサイクリストもちょっと珍しいのだろうが、とりあえずレース前に気がついて良かったなり。
【夕食】

猛暑のなか100kmを走って、そうとうにスタミナを浪費している。
夕食はカロリーが高くて消化のいいものを食べようと、Sさんと意見が一致して、市内中心部の洋食屋「キッチンさとう」で、ハンバーグステーキ大盛りをともに注文。私は生ビールを頼むが、Sさんは明日に備えてアルコールは自粛とのこと。節制の効く人だなあと感心。私はロングライドしたあとビール飲まないと、何しに自転車漕いだのかわからなくなってしまうもんなあ。これは山登りも同様で、山小屋泊のときも必ずビールは持って登るし。(そういう人は山ヤに多い。というか、山ヤのほとんどはそのタイプである)
ハンバーグステーキは肉質もよく、またデミグラスソースも旨みが豊かで、これはなかなかの上物であった。
それにしてもこの店は居酒屋も兼ねているのだが、隣で騒いでいる集団の騒ぎっぷりはすごかった。焼酎だって、ピッチャーになみなみとついだのをガンガン飲んでいるし。焼酎飲みのパワーは、宮崎や熊本でいくらでも見てきたが、宮古島はそれとはケタ違いのパワーである。さすが南の島と妙に感心する。
さて、明日は4時半起床、5時半ホテル出発、7時にレーススタートという、体内時計が変調を来すような日程である。
なにはともあれホテルに戻ったのちは、速効で就寝して明日に備えた。
宮古島訪問の記(1)
宮古島訪問の記(3)
宮古島訪問の記(4)
宮古島訪問の記(5)