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May 20, 2010

交通安全協会に対する民主党事業仕分についての雑感

 政権交代を果たした民主党はろくでもないことばかりやっているわけだが、事業仕分については、その成否はともかくとして、「世の中には無駄としか言いようのない仕事があるんだなあ」ということを世に知らしめたことで十分な意義があるとはいえる。

 本日のニュースで、民主党が俎上にあげていた「交通安全協会」。
 3分の1くらいの人しか読まないテキストで受講者から金を取ることを非難していた。交通安全協会刊のテキストの費用は年間32億円。これで交通安全協会は運営費の大半を稼いでいるわけである。
 「交通安全協会」は怪しいことがいっぱいある組織であり、その怪しさを攻撃するのはいいことと思うけど、でも攻撃ポイントが少しずれている気がする。

 交通安全協会の収入源は何であろう?
 その怪しげなテキストの費用もそうであるが、これは「講習費」というものがセットである。

 講習費というものは講習を受ける人がいればいるほど儲かることになる。
 そして「交通安全協会」にはその講習者を増やすルートを持っている。これが怖い。

 さて、俗にネズミ捕りと言われるスピード違反、これって、警察はずいぶん熱心にやりますね。あまりに熱心なため、罰則金が目当てに取り締まっているんだろうとか思う人もいるけど、罰則金は国庫に入るので、警察本体や、取り締まった人の臨時収入になるわけではない。だから、ネズミ捕りは一応はお金のためではなく「交通安全のため」に警察が行っている行為と、建前上は考えておきましょう。

 ただ、そのネズミ捕り、これには警察の独自のルールがあるのです。
 40km制限のところでそれを越えた車を全部捕まえればずいぶん罰金が取れそうだが、そういう「法律を遵守」したことは警察はやりません。それやれば、幹線道路は麻痺しますから、警察もそこまで反社会運動はできないわけです。それで独自に「制限速度」を決めて、それをオーバーした者を捕まえるわけです。勝手に制限速度を決めるな、と若いときの私は抗議したことがありますが、その制限速度はちゃんと基準があるそうで、「勝手には決めていない。速度取り締まりをやる前には対象路線を1時間調査して、その中で100台通ったうちの上から5番目くらいまでの速度を、そこでの違反速度とする」とのこと。

 法治国家で、自分らのルールで勝手に法律の基準を決める機関があることに私は愕然として怒りましたが、ここまであけすけに中身の事情を教えてくれたM町警察の担当者に、今では感謝しています。社会ってたしかに複雑で、各組織勝手なことはやっていますから。当時、私はそのことは理解できていなかった。そしてその後警察の方たちと種々のことで話す機会があるが、やはり速度違反取締についてはいろいろと意見があるとも言っていた。

 ともかく、「泥棒を取り締まる」とか「詐欺師を取り締まる」とかと違って、「交通違反を取り締まる」は、走っている連中の一定の割合を捕まえればいいわけですから、確実に違反者をGETできるわけです。違反者は罰則金を払うわけですが、それは国庫に入り警察の収入にはならない。しかし違反者が免停をくらった場合、彼らはたいていは、免停の期間を短縮させるために「交通安全協会」に講習に行きます。ここでの収入も、立派な収入源です。 「交通安全協会」の職員はたいてい警察のOBですから、講習に行かせる違反者を摘発することは、やがて自分たちの飯の種にもなるわけで、仕事の意欲もさぞかし出るでしょう。

 私はスピード違反が悪くないこととは言っていません。スピード違反が事故の原因の大きな割合を占めることも理解しています。
 ただ、現在の速度基準が、車の性能,道路の状態と必ずしも見合ったものとは思えないし、道路では車の流れに沿うことが一番安全な走行でもあり、だから基準速度を越えたところが一番安全ということはありえることです。
 もし基準速度を守ることが絶対に正しいことなら、まず警察のパトロールカーがそれを遵守すべきであります。公道走行中のパトカー、案外と制限速度越えて走ってませんか? 後ろにパトカーがついて、制限速度を守って走っていたら追い抜かれた経験、私けっこうありますけど。そして制限速度が安全のために本当に適したものなら、それを越えた者は、変な内部基準によらず、すべて検挙すべきでしょう。まず高速道路のオービス、100キロ越えた者は全部検挙してはいかがでしょうか。オービスは40キロ超まではお咎めなしとのウワサがありますが、法治国家でそんなこと堂々と許していいのですかねえ。

 さて、事業仕分けに話を戻す。
 警察もOBを食べさせるためには懸命なのである。
 問題になったあのテキスト、じつは交通の法律って変化が多いので、役には立つ。読む人が少ないなら、もっと読めるように、あるいは講習でビデオをただ見させるのでなく、テキストを読ませるような講習をすればよい。そういうふうに、講習者にお金を出す気にするテキストをつくって、正当な収入源とするよう指導してもらいたい。
 テキストでお金を稼ぐのは、きちんとやれば、きわめて真っ当な行為である。
 しかしそういうことをしない、あるいはその能力がなかったら、テキストで金が稼げなくなり、交通安全協会は別のルートから金を稼がねばならなくなる。
 そうなれば、この集団は、交通違反者を恣意的に増加させて、講習者を増やして、それで安全協会の収入を増やすことをやりかねない。というか、やる。
 それはきわめて迷惑な行為である。
 事業仕分団が、交通安全協会の妙な収入源について注目したのはたいへんいいことだけど、そういう蛮行は阻止する、そこまでサポートしてもらいたいものだ。

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