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May 2010の記事

May 28, 2010

寿司:5月の光洋

 光洋にて夕食。
 ツマミは、鰻の初物、ウニ諸味、鮎のウルカ、トコロテン、石鯛刺身、などなど。酒の進むものがたくさん出てくる。特に面白いのが鮎のウルカ。普通のウルカと違って、骨まで擦って作ったもので、ガニ漬けにも似た食感とほろ苦さがよろしい。

【椀物】
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 椀物は、ハモに、イチジク、冬瓜、ナス、アワビ、アイナメ、ナスなどを、あっさりめのトロ味つきの出汁で整えたもの。個性の強い食材が、ごちゃごちゃにあわさった、なんとも混沌たる椀。割烹とかでこういう椀が出ると、なんじゃこりゃ~と思うのだろうけど、ちかごろ光洋の椀はこの手の「海と山の幸をふんだんに」系のものを店の個性としているようであり、今のところはまだまとまりが悪いように思えるが、さてどのように進化していくのであろうか。

【タカベの鮨】
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 ネタケースの中に、イサキのようで、しかし普通のイサキよりもねっとりした感じで脂ののっている魚があり、「イサキの太ったやつですか」と尋ねると、タカベという魚とのこと。そういえば、前も食ったな。
 これを炙って鮨タネにすると、脂の香りと旨さがより強くなり、見事な鮨となっていた。タカベは初夏が旬だそうだが、これは旬ごとに楽しみにできる鮨である。たいへん美味なり。

【復活フィアット500】
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 さんざんと飲んで食い、終店真近まで店にいて、終電の時間も迫ってきており、好意に甘えフィアット号で宮崎駅まで送ってもらう。
 レトロカー、フィアット500はあまりにレトロなため購入後にすぐに故障し、修理に出されていたのだが、修理も終わり、ちゃんと走れるようになった。
 この車、走るとエンジンの振動にあわせて、車がガタガタと揺れ、なんだかこの振動だけでまた故障しそうに思えてしまう。しかし、そういうスリリングなところもまたイタリアのレトロ車の魅力の一つなんでしょうなあ。自家用車にしたいとかは思わないが、たしかに楽しい車である。

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May 24, 2010

山の中のカレー屋:カレーカフェはひふ@阿蘇

【店内からの眺め】
View

 阿蘇の国道325号線沿いに、櫓付きの山小屋みたいな面白い外観のカレー屋があり、以前から気になっていたが、本日は営業中であったので寄ってみた。
 店内のガラスは大きく、阿蘇南郷谷の風景を広々と眺めることができる。本日はあいにくの悪天候であったが、晴れた日には波濤のような外輪山を望むことができるであろう。

【はひふカレー】
Curry

 店の看板メニューらしい、はひふカレー。
 チキンに、マッシュポテト揚げ、青菜、隠元、ナス、人参と、地元の野菜をたっぷりと使った、スープ風のカレー。
 スパイスはそれほど利かせてはおらず、脂も少なめの、柔らかなで優しめのカレースープである。阿蘇のカレーって、だいたい同じような「癒し系」のカレーが多いような気がするけど、地元の好みなのかなあ。


 カレーカフェはひふ 
 店休日 毎月第1・3日曜日 毎水曜日 時間11:30~20:00

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May 23, 2010

和食:5月の無量塔

【無量塔】
Entrance

 由布院でも雨は降っており、無量塔の庭は新緑が雨にしっとりと濡れて、情緒深いものとなっていた。
 部屋に入り、風呂にのんびりとつかったのち、食事処にて夕食を。
 「無量塔の夏」と題された5月の料理は、初夏を迎え味が濃厚になってきた野菜をふんだんに使ったものであった。

【鰻と生揚げ野菜】
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 パプリカにズッキーニにナスなどの、今が旬で味も香りも豊かな野菜に、これも味の豊かな鰻を合わせて、初夏の食材の力強さを感じさせる料理から始まる。

【椀もの:地鶏のウド捧書巻き】
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 先の料理が洋風な雰囲気のものであったのに対し、こちらは和風かつ地元風。
 蓮根擦流しの控えめの味の汁に、ウドの独特の野趣味豊かな香り、ウドのシャキっとした食感と弾力ある地鶏の食感の組みあわせを楽しむ。

【ワラビ豆腐】
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 ワラビの載った豆腐というのみならず、ワラビの輪切りも入っている豆腐である。豆腐を噛むうちワラビのぬめり感も広がってくる。口直しにふさわしい、清新な感じを受ける小品である。

【鍋:黒豚野蒜味噌煮】
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 月変わりの鍋は黒豚をメインに白味噌で煮立てたもの。
 黒豚ってけっこう出汁の出る素材みたいで、黒豚の脂の香りと旨みが満ちている。これに負けじと、味の濃い野蒜や根菜、玉葱もともに煮られ、賑やかな味と香りが印象的である。
 以前の無量塔の地鶏鍋を髣髴させる、ストレートで分かりやすい味だな。


 夕食ののちは蛍でも見に由布院盆地に下りようと思ったが、雨がまだ降り続いているので没とし、おとなしくTan’s Barにてカクテルを飲む。
 Tan’s Barも夜は宿泊客専用になってから、ほんとに閑散としているなあ。宿の狙いとしては、「落ち着いた」とか「静か」と称すのが正しいのだろうけど。

 Barで飲んだのちも、また部屋に戻って飲む。
 リビングで飲んでいるうち、リビングの奥に隠し部屋を発見。というか茶室である。前来たときは、なにしろ部屋全体が広いので、気がつかなかった。
 無量塔では「楽」の部屋にも茶室があるが、あれは食事処として使われている。「昭和」の茶室はなにか使い道があるのであろうかと、あとで尋ねてみたらちゃんと使い道があるそうだ。
 「昭和」は大人数で泊まることがあるので、そのときにイビキをかく人がいたら、他の人を安眠させるよう、この部屋に寝てもらうとのこと。茶室変じて隔離部屋となるわけだ。無量塔に泊まるさいに、メンバーに大イビキの人がいるなら、「昭和」の部屋がお勧めです。

【リビング 奥に茶室】
Tea_room


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May 22, 2010

登山:三俣山@九重

 九重は6月初旬がミヤマキリシマの旬であり、だいたい毎年そのくらいの時期に九重に登ることにしているが、今年は少々予定を早め5月の第4週に登ることにした。

【阿蘇谷の水田】
1_aso

 やまなみハイウェイを通って九重に向かい、途中で見た阿蘇谷の風景。
 田植えを控えて、水田に水を張られており、それが湖面、あるいは鏡面のようになって空を映している。この時期の阿蘇の風物詩。

【長者原から三俣山】
2mimata

 予報では本日は天気が悪く曇りあるいは雨で、午後からは雷雨になるとのことであったが、なぜか好天である。これはラッキー。
 まだどの山に登るかは決めていないが、とりあえず雨ヶ池までは行ってみることにする。

【雨ヶ池】
3rainpond

 雨ヶ池は植生の豊かなところであり、さまざまな種類の木や草が生えている。そのなかで、ボケ、リンドウ、イワカガミなどは咲いていたが、目当てのミヤマキリシマはツボミがついているくらいで、開花はまだまだである。ここの標高でこれでは、平治や大船はツボミ以前の状態に決まっている。だいたい遠くに見える平治岳も、ミヤマキリシマのピンクの色はまったく見えない。

 九州では花は、アケボノツツジ→シャクナゲ→ミヤマキリシマの順に咲くので、順番からいえば今はシャクナゲが咲いているはずである。九重でシャクナゲといえば、黒岳か三俣山なので、このまますぐ登れる三俣山に行き先を決定。

【登山道】
Way

 三俣山は、雨ヶ池から登るルートはけっこう急峻であり、しかも道がぬかるんで滑りやすいことから、なかなかハードな登山道である。そこらに生えている木の枝や根をつかみながら慎重に登っていく。
 途中で、すがもり越コースから登ってきたものと思われる25名のグループとすれ違う。「こんなきつい坂を登って来たんですか、すごいですねえ」とか言われるが、どう考えてもこの手の登山道は登りに用いたほうが安全だし使いやすい。25名も引き連れてこんな転びやすい登山道を下っていくガイドにちょいと畏敬の念を覚えた。おれは絶対やりきらん。

【坊がつる】
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 登山道南面には、坊がつるが広がって見える。
 いつもなら、いくつものテントの花が咲く坊がつるであるが、本日は一張りのテントも見えず。午後から天候が崩れて大雨になることが分かっているので、さすがに今日泊まる登山客はいないようだ。

【三俣山稜線】
4mimata_line

 三俣山は九重のなかで最も噴火口の広い山で、その噴火口縁をたどって、山頂をめぐることになる。
 予想通りにシャクナゲが旬であり、登山道に沿って、ピンクの花を咲かせている。

【シャクナゲ】
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 シャクナゲに三俣山、そして遠景に涌蓋山がのぞく。
 美しく華やかな風景。これ見るだけでも、ここまで登ってきた甲斐があったな。

【三俣山南峰山頂】
7summit

 そうこうするうちに南峰山頂に到着。
 予報より遅れ天候が崩れてきて、ガスがどんどん湧いてきた。
 雷雨とかに遭遇したらたまったものではないので、さっさと下山することにする。

【三俣山 北千里ヶ浜側】
8down_way

 南峰からはまず北千里ヶ浜へと下りて、それからすがもり越経由で長者原へと戻ることにする。
 三俣山は崩壊の激しい山であり、北千里ヶ浜側の斜面は大半が崩壊している。山肌が無事に残っているのは、赤矢印で示した細い部分のみであって、ここが登山道になっている。この登山道も早晩消失するだろうなあ。

 雨が降り始め出すとやがて本降りになり、雨具を装着して長者原へ急ぐ。さいわい雷を聞くことなしに、長者原へ到着できた。

【イワカガミ】
Iwakagami

 今回の登山ではシャクナゲも美しかったが、イワカガミも処々でたくさん咲いており、これも良かった。
 イワカガミは好んで山に咲く花であり、登山者を楽しませてくれる可憐な花である。

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May 21, 2010

スペイン料理トレス@熊本市

 なんとなくスパイシーな料理が食べたくなったので、熊本ではちょっと珍しいスペイン料理店トレスに行ってみた。
 スペイン料理って、一品料理屋みたいな感じで小皿料理をたくさん選んで、ワインを飲みまくるという使い方が一般的であるが、それに従い小皿料理をあれこれ頼んで、パエリアで〆るという流れで行く。

【ポテトとタコのサルサ】
Potato

 スペイン料理はオリーブとニンニクというイメージを私は持っているが、この料理はまさにオリーブとニンニクがいい具合に効いていて、やはり最初はこれから始めたい。

【子羊のモーロ風串焼き】
Lamp

 この店の名物料理。こちらもスパイスがほどよい効き具合で、子羊のやさしい味をうまく支えている。

 その他、いろいろと食った後は〆のパエリア。

【バレンシア風パエリア】
Paella

 海老、ムール貝、アサリの海の幸に、季節の野菜を使ったミックスパエリア。
 リゾットでもピラフでもない、独特の米の炊き方。米もいろんな食べかたがあるのだなあと、食文化の広さにあらためて感心。

 ワインはスペインのものを主に使っていて、料理によくあっている。

 スペイン料理はあんまりメジャーなものではないのだろうが、海産物をよく使った、日本人向きの料理に思え、たまには食べたくなる料理である。
 そして、店は客がほぼ満席であり、やはり好きな人は多いのだろうなと思った。

……………………………
 スペイン料理トレス

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May 20, 2010

交通安全協会に対する民主党事業仕分についての雑感

 政権交代を果たした民主党はろくでもないことばかりやっているわけだが、事業仕分については、その成否はともかくとして、「世の中には無駄としか言いようのない仕事があるんだなあ」ということを世に知らしめたことで十分な意義があるとはいえる。

 本日のニュースで、民主党が俎上にあげていた「交通安全協会」。
 3分の1くらいの人しか読まないテキストで受講者から金を取ることを非難していた。交通安全協会刊のテキストの費用は年間32億円。これで交通安全協会は運営費の大半を稼いでいるわけである。
 「交通安全協会」は怪しいことがいっぱいある組織であり、その怪しさを攻撃するのはいいことと思うけど、でも攻撃ポイントが少しずれている気がする。

 交通安全協会の収入源は何であろう?
 その怪しげなテキストの費用もそうであるが、これは「講習費」というものがセットである。

 講習費というものは講習を受ける人がいればいるほど儲かることになる。
 そして「交通安全協会」にはその講習者を増やすルートを持っている。これが怖い。

 さて、俗にネズミ捕りと言われるスピード違反、これって、警察はずいぶん熱心にやりますね。あまりに熱心なため、罰則金が目当てに取り締まっているんだろうとか思う人もいるけど、罰則金は国庫に入るので、警察本体や、取り締まった人の臨時収入になるわけではない。だから、ネズミ捕りは一応はお金のためではなく「交通安全のため」に警察が行っている行為と、建前上は考えておきましょう。

 ただ、そのネズミ捕り、これには警察の独自のルールがあるのです。
 40km制限のところでそれを越えた車を全部捕まえればずいぶん罰金が取れそうだが、そういう「法律を遵守」したことは警察はやりません。それやれば、幹線道路は麻痺しますから、警察もそこまで反社会運動はできないわけです。それで独自に「制限速度」を決めて、それをオーバーした者を捕まえるわけです。勝手に制限速度を決めるな、と若いときの私は抗議したことがありますが、その制限速度はちゃんと基準があるそうで、「勝手には決めていない。速度取り締まりをやる前には対象路線を1時間調査して、その中で100台通ったうちの上から5番目くらいまでの速度を、そこでの違反速度とする」とのこと。

 法治国家で、自分らのルールで勝手に法律の基準を決める機関があることに私は愕然として怒りましたが、ここまであけすけに中身の事情を教えてくれたM町警察の担当者に、今では感謝しています。社会ってたしかに複雑で、各組織勝手なことはやっていますから。当時、私はそのことは理解できていなかった。そしてその後警察の方たちと種々のことで話す機会があるが、やはり速度違反取締についてはいろいろと意見があるとも言っていた。

 ともかく、「泥棒を取り締まる」とか「詐欺師を取り締まる」とかと違って、「交通違反を取り締まる」は、走っている連中の一定の割合を捕まえればいいわけですから、確実に違反者をGETできるわけです。違反者は罰則金を払うわけですが、それは国庫に入り警察の収入にはならない。しかし違反者が免停をくらった場合、彼らはたいていは、免停の期間を短縮させるために「交通安全協会」に講習に行きます。ここでの収入も、立派な収入源です。 「交通安全協会」の職員はたいてい警察のOBですから、講習に行かせる違反者を摘発することは、やがて自分たちの飯の種にもなるわけで、仕事の意欲もさぞかし出るでしょう。

 私はスピード違反が悪くないこととは言っていません。スピード違反が事故の原因の大きな割合を占めることも理解しています。
 ただ、現在の速度基準が、車の性能,道路の状態と必ずしも見合ったものとは思えないし、道路では車の流れに沿うことが一番安全な走行でもあり、だから基準速度を越えたところが一番安全ということはありえることです。
 もし基準速度を守ることが絶対に正しいことなら、まず警察のパトロールカーがそれを遵守すべきであります。公道走行中のパトカー、案外と制限速度越えて走ってませんか? 後ろにパトカーがついて、制限速度を守って走っていたら追い抜かれた経験、私けっこうありますけど。そして制限速度が安全のために本当に適したものなら、それを越えた者は、変な内部基準によらず、すべて検挙すべきでしょう。まず高速道路のオービス、100キロ越えた者は全部検挙してはいかがでしょうか。オービスは40キロ超まではお咎めなしとのウワサがありますが、法治国家でそんなこと堂々と許していいのですかねえ。

 さて、事業仕分けに話を戻す。
 警察もOBを食べさせるためには懸命なのである。
 問題になったあのテキスト、じつは交通の法律って変化が多いので、役には立つ。読む人が少ないなら、もっと読めるように、あるいは講習でビデオをただ見させるのでなく、テキストを読ませるような講習をすればよい。そういうふうに、講習者にお金を出す気にするテキストをつくって、正当な収入源とするよう指導してもらいたい。
 テキストでお金を稼ぐのは、きちんとやれば、きわめて真っ当な行為である。
 しかしそういうことをしない、あるいはその能力がなかったら、テキストで金が稼げなくなり、交通安全協会は別のルートから金を稼がねばならなくなる。
 そうなれば、この集団は、交通違反者を恣意的に増加させて、講習者を増やして、それで安全協会の収入を増やすことをやりかねない。というか、やる。
 それはきわめて迷惑な行為である。
 事業仕分団が、交通安全協会の妙な収入源について注目したのはたいへんいいことだけど、そういう蛮行は阻止する、そこまでサポートしてもらいたいものだ。

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May 16, 2010

月と金星

 8時頃に携帯にショートメールが入って、「西の空がとても素晴らしい。すぐ見ろ」てなことが書かれていた。
 メールをよこしたのは数百キロも離れたところに居る人物なので、いったい何がどうしたんだろうとか思いながら、外に出て西の空を見てみると、

【延岡の西の夜空】
View

【拡大図:月と金星】
Smile

 これは見事。
 細い三日月に、金星が大接近して、互いの美しさを自慢するかのように輝いている。絶妙の位置に互いがあるので、三日月を微笑んだ口として、まるで片目をつぶってウィンクしているかのような表情にも見える。

 PCを開くと、Twitterでは「月と金星がきれい、なう」みたいな書き込みがたくさんあった。
 今夜は日本は全国的に雲が少なく、星と月のよく見える夜だ。この素敵な天体ショーをたくさんの人が見ているわけだが、その人たち、遠く離れた地にいる人たちみんながじつは同じものを見ているのも、なんだか不思議な気がする。

 奈良時代に阿部仲麻呂が歌った名歌「天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも」を思い出した。唐国でも、奈良の山でも、そこで見る月は一緒の月であり、今夜見る「月と金星」もまた、世界中で見られているわけだ。

 奈良時代は、その美しい名月を仲麻呂は和歌に記録したのだが、現在のIT時代には、直接に記録し、みなに広めるtoolがある。
 さとなおさんのサイトで紹介されていた素晴らしい「月と金星」の写真を私もリンクさせてもらおう。
 地平線に沈みゆく、荘厳にして、神秘的な風景。 →http://twitpic.com/1ob3pn

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サイクリング:北浦 日豊リアスライン~林道森山線

 本日は好天なのでサイクリングに行くことにする。近頃は続けてフラットルートを走ったので、今回は山にでも登ってみることにする。
 それで宮崎県北で自転車で山頂まで登れる山のうち、まだ登ったことのなかった北浦の鏡山を目指すことにした。

【日豊リアスラインの最初の峠】
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 延岡から北浦へ行く国道388号線は日豊リアスラインと名付けられており、峠をいくつも越えて行くルートであるが、最初の峠はこのU字型に山がえぐられた所である。採石で長い年月をかけてこういう形になったのだろうけど、市内からもよく目立つユニークな姿である。

【熊野江】
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 388号線のアップダウンをいくつか乗り越えたのち熊野江に到る。ここから鏡山へ続く林道が始まるが、案内の標識がないのでちょっと分かりにくい。

【林道1】
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 林道を半分ほど登ったのち、眺めがよくなってくる。
 熊野江港と日向灘を右手に見ながら、淡々と登って行こう。

【林道2】
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 この林道は、似たような山が周囲にいっぱいあり、どこに向かっているのか分かりにくい。ようやく向いの山の半ばに白いガードレールが見え、あちらの方向に行けばいいのだなと分かった。
 あと、200mは登らんといかんな。

【林道分岐部】
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 勾配が緩やかになったころ、林道の分岐部に到着。ここから鏡山へのルートが出ているはずだが、…

【通行止めの案内】
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 なんと、鏡山へは立入り禁止となっている。
 鏡山山頂には牧場があるので、4月26日から口蹄疫の伝染の予防のため、立入り禁止処置がなされているそうだ。
 感染の中心地湯児郡からけっこう離れている地とはいえ、感染拡大の防止のためには、やはりここまでシビアに防御処置をとる必要があるのだな。口蹄疫の深刻さを改めて知る。

【森山】
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 鏡山へは行けないため、反対方向の道を進んでいく。この方向には「岳山」「森山」の2つのランドマークが存在していると標識にある。
 そのうちの一つ「森山」が向いに見える。道はここと同じような高さにあり、ずっと同じような高さの山道を進むことになりそうだ。
 それにしてもこの林道は自然の豊かな道であり、鹿に猿に猪が道にうじゃうじゃと出てくる。猿はともかく、鹿と猪は口蹄疫に感染しうるので、ここまで口蹄疫が来たら九州の畜産大変なことになるなあ。鏡山立入り禁止にまでするわけだよと深く納得。


【岳山】
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 もう一つのランドマーク「岳山」は、しばらくすると見えてきた。
 花崗岩の崖を頂上近くに剥きだした、なかなか格好いい山。登山意欲をそそる山である。どこかに登山道がないかなと注意しながら走ったが、見つけることはできず。

【森山登り口】
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 やがて林道は森山の周回に入り、そして森山への登る林道が一本分岐している。
 せっかくなのでここを登ってみる。
 けっこうハードな坂を立ち漕ぎを混ぜながらなんとか登りきると、山頂にはNHKの鉄塔が立っている。

【森山山頂】
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 森山山頂からは、北浦の漁港と日向灘の広々とした眺めを楽しむことができる。四国はかすんで見えなかった。

【アメニティルート公園標識】
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【アメニティルート公園への入り口】
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 あとは北浦まで林道を下っていくだけのはずだったが、途中で図の標識を発見。
 なかなかハイカラな名前の公園があるようだが、そこへの入り口って、荒れ果てた林道である。四駆だって、よほどの根性のある人しか入っていけないであろう。
 なんだか、不思議物件のにおいのプンプンする公園である。というわけで寄ってみることにする。
 こんな石と岩だらけの道をロードバイクが走れるわけもなく、地道に押して歩いて行った。

【アメニティルート公園】
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 ろくでもない道を歩くこと10分ほどして、そのアメニティルート公園とやらに到着。
 なんというか、眺めのいい、「普通」の公園であった。着くのに難儀する以外は。

【公園 東屋】
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 どういうわけで作られた公園かは知らないが、(たぶん何かの補助金対策と思うけど)、作ったあとはたいした手入れもされてないらしく、雑草はぼうぼうと生え放題で、丸太の柵も壊れた部が多い。あと数年もすれば、いい味のある廃墟になりそうである。

【県道43号線】
Root43

 アメニティルート公園に寄り道をして、北浦に下りて、それからは県道43号線を使って北川町に行く。
 県道43号線は川沿いの道であり、ずっとフラットである。これで路面の状態が良ければいいサイクリングロードなのだが。

【国道10号線 鏡山入り口】
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 北川町側からも鏡山へは登れるわけだが、ここでも「山頂には入れません」の標識はなし。
 こちら側からでも、山頂近くに行って初めてそれを知ることになりそう。
 鏡山は登る人の少ない山ではあるが、も少し情報があってもいいのでは、とも思った。


本日の走行距離: 102.3km

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May 10, 2010

サイクリング未満:鹿児島市

 鹿児島市では自転車での桜島一周というものを一度はやってみたかった。
 それでホテルでチェックアウトを済ませたあと、自転車を組み立てて桜島桟橋へと向かう。
 しかし走ることしてすぐビル群の上に何やら異様なものが見えている。巨大な雲の塔のごときものが、ビル群の上、はるか天空まで立ち上っているのだ。
 どう考えてもそれは桜島の噴煙に違いないのだが、…ここまで大きなものを見たことは私はなかった。
 海岸線に近づき桜島が見えてくるころには、たしかにそれが桜島の噴煙であることが確認できた。そして、その噴煙は崩れてきて桜島を広く覆ってきている。

【桜島1】
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【桜島2】
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 さらに時間がたつと、桜島はわずかしか見えなくなってしまった。

【桜島3】
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 とりあえず桟橋近くまでは来てみたものの、もはや桜島はすっぽりと噴煙に覆われそのなかに隠れてしまっている。
 しかもその噴煙は鹿児島市へも届き、あたりは灰に満ちている。
 自転車を走らせると、スポーツグラスの間からも灰が入ってきて目が痛くなるし、自転車もすでに灰まみれだ。
 これはとても自転車など漕いでいられない。さっさと鹿児島市から逃げ出したいのだが、鹿児島市って実際に走ってみると、どこ走っても車が多い道ばかりで、結局は桜島へ渡る必要がある。桜島はここより更にひどい状態に決まっているので、本日はサイクリングはあきらめた。

 私は鹿児島市にはけっこうな数を来たことはあるが、ここまでの噴火は初めて経験した。
 私などは、「桜島走られなかった、ああ残念」で済むが、地元の人は大変だろうなあ。
 宮崎の口蹄疫といい、鹿児島の桜島といい、今年の南九州はひどいことになっている。速やかにこの災厄の去らむことを祈念する。

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May 09, 2010

寿司:鮨匠のむら@5月

 南九州で美味いものを食いたいと思ったとき、まずは一番にその名前を上げるべき名店「鮨匠のむら」。
 この店は基本的にはお任せコースしかなく、例のごとくそれにて。

 まずは旬の魚の造りが次々に出てくる。

【イサキ】
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【サワラの腹身】
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【ショッコ】
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 この他には、近海サバ二種類、カンパチ、豆アジ、赤カマス、白カマス、ヅケマグロなどなど。
 いずれも鮮度と寝かせ方のバランスが絶妙であり、旨み、甘み、爽やかさ、食感どれもが素晴らしい。魚って、それぞれが個性豊かで、そして美味いものだなあと改めて感心。
 全国的に今年の春はどうにも海の調子が悪かったらしく、なかなか満足できる魚を私は食ってなかったが、鹿児島近海のものをそろえたこの店は例外であり、どれも抜群の美味さであった。

【ウニ】
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 ウニは2種類を盛りあわせで。上がアカウニ、下がムラサキウニ。アカウニはまだ出始めのころで幼さと淡さが特徴的。これが月を経るごとにどんどん旨みが濃厚になっていく。ムラサキウニは今が旬か。アカウニの豊かな旨みとは違う、すっきりとした旨みが口のなかに広がる。
 美味いウニというものは、良い素材を仕入れることに加え、上手に寝かせないと味が広がらないのだが、この店はどちらも見事。

【イサキの白子、卵子】
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 本日の珍味はイサキの白子に卵子。イサキの刺身も美味かったが、これはさらに美味い。
 爽やかにして、豊かという、バランスの良い味である。酒のツマミとしても秀逸なもの。

 その他の肴として、茹でダコ、キビナゴ焼きなど。

【茶碗蒸し】
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 これものむら名物。澄みきった味の玉子に、旬のウニとシイタケがいいアクセントをつけている。滑らかな食感もたいへんよろしい。

【マグロ】
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 肴を十分に食ったのちに、鮨へと。
 のむらの鮨はシャリがこぶりで、また味が控えめであり、ネタの旨さをより強調していて、酒の肴として非常にあう。
 このごろ私はこのサイズの鮨が気にいるようになった。

 のむらは酒の種類も豊富であり、全国の名酒ばかりが出てくる。
 半年ぶりののむらということもあり、なんだかずいぶんと飲んだ気がする。八合は飲んだか。
 酒と料理に十二分に満足したのち、千鳥足で天文館通りを歩き、ホテルへと戻った。


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May 08, 2010

サイクリング:国道388号線~国道446号線~日向市

 本日は宮崎市に一泊の用事があったため、南郷経由で西都に抜けてそれから宮崎市に入る計160kmほどのサイクリングの予定を立てていた。しかしその用事が急にキャンセルとなり、宮崎市に行く理由もなくなったのだが、新しいサイクリングコースを考えるのも面倒なので、予定のコースを行くべくザックをかついで出発。

【国道388号線 五十鈴川沿い】
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 五十鈴川沿いの宇納間へ行くまでの388号線は道も広く、傾斜もゆるやかな登りで気持ちよく走れる道である。

【和田越トンネル】
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 宇納間を過ぎてから道はけっこうきつい登りとなり、その最高点が和田越トンネルである。ここを過ぎてから長い下りとなり、稼いだ一挙に高度をはきだして、美郷町を下っていく。路面の状態がよく、やたらにスピードの出る道なので、スピードの出し過ぎに気をつけましょう。

 サイクリングの途中、携帯電話が鳴った。
 昨夜駄目元で予約の留守電を入れていた「鮨匠のむら」からの返事で、今日は席はあるとのこと。それならば本日は鹿児島市泊としよう。延岡から鹿児島市へは約300km。これを自転車で行ったならば、私は「のむら」史上の伝説の男になれるであろうが、もちろんそんな根性も脚力も、だいたい時間もない。
 ただし予定通りに宮崎市に出てそれからJRで輪行して鹿児島市へ行くとなると、ずいぶんと遅い時間に着いてしまう。それで予定を変更して、どこかで向きを東に変え、日豊本線の駅に出て、鹿児島市へ行くことにする。

【388号線分岐点】
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 そうこうするうちに国道327号線と388号線の分岐点に出る。まっすぐ行けば327号線で、東郷経由で日向市に入ることになる。それだとあまりに早く日豊本線に出ることになるので、ここは予定通りに右折して388号線に入る。
 ここからは小原隧道に向けて、350mの高さを登っていくことになる。

【388号線】
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 327号線から離れてから388号線はほんとうに「山の中」の道となり、くねくねと曲がった道をひたすら登っていく。周囲は万緑の山また山である。

【388号線 工事中】
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 388号線は「酷道を走る」という、険しい国道のマニアの人が書いた本でも取り上げられている道で、路肩が崩れていたり、道が細かったり、ガードレールが破損していり…との惨状をレポートされている。車にとっては「酷道」でも、自転車が走るぶんには何も問題なし、というのが普通であるが、388号線は自転車にとっても酷道であった。
 元々の道の惨状を改善するために388号線はどこかしこも工事中であり、未舗装の道路がたくさんある。そしてロードバイクというのは、あくまでも舗装路を走る道具であり、オフロードではグリップがてきめんに利かなくなる。妙な制動をすると簡単にこけてしまいそうだ。ここは速度をぐっと落として慎重にオフロードを進んでいく。

【小原隧道】
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 今回のサイクリングの最高点は小原隧道。標高は500m弱。ここからはずっと下りとなる。

【446号線分岐点】
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 下りが終了したところで、446号線との分岐点になる。予定では右に曲がり南郷に行くはずであったが、日豊本線を目指すべく、左の446号線を行くことにする。

【木城分岐点】
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 446号線はちょこちょことしたアップダウンはあるものの、それほど脚にこたえるような所はない。
 そのうち木城への分岐点にと着く。宮崎市方面へのバイパスとして有名な県道22号線がここから始まり、ここを通って高鍋に出ることも考えた。しかし今その一帯は口蹄疫の感染地のまっただ中である。宮崎県が総力を挙げてウイルスの封じ込めを行っている場所を、生身の人間が横切っていくのも顰蹙ものの行為に思われ断念。ここは、向きは後戻りになるが、446号線をそのまま行き日向市に向かう。

【看板】
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 446号線も一部感染防止区域に入っているようで、こういう看板があった。
 口蹄疫は日々深刻な状況になってきているが、なんとか治まってほしいものである。

【日向駅】
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 日向駅に到着。バイクを輪行袋に収納し、さてJRで鹿児島市へ行くことにする。
 本日の走行距離は92.3km。平均時速は22.5kmであった。25kmの壁は厚いなあ。

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May 07, 2010

山で見かけた不思議物件

 世の中にはうろうろと歩いていると、なんでこんなところにこういうものがあるのであろうと不思議に思う物件に出くわすことが多い。
 ただ、不思議と思うのはじつは自分だけで、きちんと種明しをすると、不思議でもなんでもなかったということもよくあることで、それはそれですっきりとした気分になれる。
 今回はそういう不思議物件を紹介。

【大崩山の不思議物件】
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 昨年大崩山に登ったとき、祝子川登山口から歩いて2~3分のところにこういう妙なものがあった。
 あまりに妙なので、いったいこれは何であろうかと、立ち止まって考えてしまった。
 二つの覗き穴があるからにはそれが観察の窓口であるはずだが、それが何の役に立つのかよく分からない。
 もしかして双眼鏡?とか思い、この穴を覗いてみたが、真っ暗で何も見えない。
 スイッチを入れると中で明かりがついて、立体登山案内画像でも出るのかもとか思ったが、スイッチの類はなにもなし。
 わけが分からないものは叩いてみれば何か分かるかもとか思ったが、オール金属製のモノを叩いてもこちらが疲れるだけである。

 それで結局そのときは覗き穴から中を覗いたのみで、以後そのままほっておいたのだが、……

 今回、初めてこの物件の意味を知った。

【説明図】
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 新たに設置された説明図を読んで分かるように、この物件は登山者の数のカウントの機械だったわけである。
 覗き穴が二つあるのは、この二つを時間差で横切った物体があれば、どちらの穴を通ったのが先かで、登山者と下山者とを判断でき、それで登山者・下山者の数を計算していたわけであろう。
 そして大崩山の登山者は大多数がこの登山口を利用するので、登った人と、下った人との数を突き合わせることで、遭難者の可能性を早めに判断できるというわけだ。
 よく出来た機械である。

 私はそれなりに多くの山は登っているけど、このような登山者カウントの機械はここでしか見たことはない。しかし、これってよく考えられた優れものの機械である。
 登山の安全のためにも、このような機械はもっと全国的に普及してよいのではと思った。

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May 05, 2010

登山:大崩山 (三里河原~モチダ谷~山頂~ワク塚)

 今年の5月の連休はずっと好天が続き、山登りにはもってこいの日ばかりであった。連休最後の本日も、午前中仕事をさらさらと終え外に出ると、晴天である。それならばと、山登りに行くことにする。
 延岡はいい山が近くに多くあり、気軽に山に行けるのが良いところだ。

 祝子川登山口に着いたのが午前11時。今回は新緑に溢れているであろう三里河原経由で大崩山に登る予定であり、結構距離がある。だらだら登っていると日が暮れる可能性があるので、てきぱきと登っていくことにしよう。

【ミツバツツジと小積ダキ】
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 登山道に入ってすぐ見えてくる大崩山のシンボルマークの小積ダキ。
 白く輝く巨大な岩の塔と、朱色のミツバツツジのコントラストが鮮やかでよろしい。

【五葉ダキ】
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 三里河原ルートは、祝子川に下りるまではずっと山肌に沿って歩くわけだが、その途中での一番の名所が五葉ダキ。花崗岩の一枚岩はそれ自体が美しく、周囲の眺めもまた抜群。

【吐野】
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 登山道はテン場に出会ったところで祝子川の川原に下りる。ここが吐野(はけの)である。
 ここからは川原の小石や岩の上を適当に歩いて上流へつめて行く。
 三里川ルートの要所である吐野は登りに使うときにはまず間違いなく見つかる場所であるが、大崩山山頂からの下りに使うと案外見過ごしやすいので注意が必要。ただし、ここを過ぎて歩いていくと、そのうち切り立った淵にぶちあたりロープ持参でないと進めなくなるので、必ず引き返すことにはなる。(経験者は語る)

【祝子川】
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 九州で最も美しい渓流とも呼ばれる祝子川。
 たしかに澄みきった水、自然林の樹々の緑の豊かさ、石や岩の美しさ、どれもが素晴らしい。

【三里河原】
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 このルートのハイライトは三里河原。
 一枚岩のスラブが渓流の底を造っており、その平らな岩の上を清流が、一面全体を滑るようにさらさらと流れている。不思議な静けさと安らかさを感じさせる、水の流れ。
 そして両岸の樹々は今まさに新緑の盛りであり、緑あふれる風景となっている。
 見どころ多い大崩山でも、ワク塚群と並ぶ、屈指の絶景。

【モチダ谷大滝】
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 三里河原の一枚岩が終わって渓谷が険しくなる頃、モチダ谷への入り口があり、そこからモチダ谷を登りつめるコースに入る。
 モチダ谷もまた美しい沢であり、いくつもの花崗岩でできた滝をみることができる。最初にでくわすこの大きな滝は、右に巻いて登ることになる。

【モチダ谷ナメ滝】
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 このナメ滝も一枚岩で美しい。
 思わず、なでたくなるような滑らかさである。

【横の岩屋】
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 モチダ谷コースのランドマーク「横岩屋」
 岩屋につっかえ棒のように木を差し込んでいるのは、山の約束事か。
 山々の岩屋でよく見かけるこの光景。これ見るたびにダリの絵を思い出すのは私だけでしょうか?

【参考画:作者ダリ】
Dali

 それはどうでもいいとして、横岩屋を過ぎると沢の水の量は減り、傾斜も急になってくる。道も分かりにくくなるが、ここでは稜線が遠く見えているのであれに向かって行けば、最終的には間違うことはない。

【モチダ谷上部】
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 モチダ谷も稜線近くの上部になると、水は完全に涸れて、このように苔むした岩がゴロゴロする岩場となる。ここは晴れの日はいいが、雨の日はとても滑りやすく、難所となる。

 だいぶと前に初級者を連れて雨の降るなかこのルートを下ったことがあるが、連れて行った者は何度も転びそうになり、見ていてひやひやしたことがある。なんとかモチダ谷を怪我することなく下りきったら、祝子川は増水しており、渡渉は命がけみたいな行為となって、あれは大変であった。(同行者、泣き出したし。)雨の日は、三里河原コースは使うべきコースではない、と一応書いておこう。

【遭難追悼碑】
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 モチダ谷上部にはこのような遭難追悼碑がある。
 50年ほど前にここに飛行機が墜落した事故の追悼碑である。飛行機の残骸がいくつか残されており、大半は錆ついていて、事故からの歳月を物語っている。

【縦走路合流部】
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 遭難追悼碑からは稜線まではすぐである。稜線に出れば、熊笹が生い茂る登山道にと合流。

【石塚】
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 普段は大崩山は山頂には登らないのだが、合流部から山頂へはすぐの距離なので、ついでに寄ってみることにする。
 まずは「石塚」に着く。大崩山を知る人は誰しも、「頂上が石塚だったらよかったのに」と言う。その通りに、石塚は岩の格好もよく、また眺望も素晴らしいことから山のトップとしての貫録は、山頂よりもはるかにある。
 山登りは、基本的には山頂に着いた時が一番嬉しいわけで、そのときの山頂が、見晴らしの良いところか、そうでないかで、ずいぶんと登頂の満足度が変わってくる。標高は山頂とほとんど同じくらいなんだから、こっちを山頂にしていいんでは、と私も思ったりする。

【石塚からの眺め】
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 石塚からは360度、九州の山々を望むことができる。
 こちらは大崩から祖母傾にいたる縦走路方向の写真。名峰をたくさん見ることができる。

【大崩山山頂】
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 石塚からはほとんど登ることはなく数分の徒歩で山頂に着く。
 何の変哲もない場所であり、また樹が生い茂っているので眺望はよくない。
 大崩山は山全体はすごく素晴らしいのに、山頂だけが凡庸である。だから大崩山は一度山頂まで登ったら、それからはまた大崩山に登っても山頂まで来ない人が多い。ずいぶんと虐げられた山頂であり、たぶん九州で一番可哀そうな山頂である。

【ワク塚稜線】
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 下りはワク塚ルートをとることにする。
 稜線はアケボノツツジが満開の時期を迎えている。ピンクの花で満ちたアケボノツツジの林が、どこにもかしこにある。

【上ワク塚】
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 連休中ずっと良かった天気も午後からは崩れてくる、との予報通り雲が湧きだしてきた。
 上ワク塚は、花崗岩の白い岩塔をキャンパスに、アケボノツツジのピンクと松の緑で点描したような艶やかな姿。そこにガスがまとってきて、神秘的な雰囲気をかもしだしている。

【夕刻の小積ダキ遠景】
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 アケボノツツジの咲き乱れる稜線と別れて、傾斜の厳しい下山路を進んでいき祝子川に到る。
 ここからの小積ダキと下ワク塚の眺めは、大崩山有数の名物であるが、それらはガスのなかに半ば埋もれてしまっている。しかし雲からにじむ日の光は、峰々の後光のように広がり、荘厳なものがあった。あと30分も待てば、いい夕焼けになりそうであり、それはそれで素晴らしい景色とも思えたが、日が暮れての下山もイヤだったので大人しくさっさと下山する。

 大崩山山荘をしばらく過ぎたところで、登山者2名を追い抜いた。
 GWというのに、本日大崩山のなかで人に会ったのは、この2名だけであり、静かな山行を楽しめた。
 白く輝く花崗岩の巨岩、新緑あふるる祝子川、稜線上の満開のアケボノツツジ、大崩山の魅力を存分に堪能した一日であった。

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May 02, 2010

サイクリング:延岡~宇納間~諸塚~椎葉~国見トンネル~五ヶ瀬~延岡

 来月宮古島で行われるサイクリング大会に参加を予定している。
 案内のHPを見ると、島一周の平らな道160kmを1日で走るコースになっている。これには時間制限があり、6時間半以内、つまり平均速度25km以上で走らないと足切りにあってしまう。
 せっかく出るのだから、順位はどうでもいいとして、完走はしてみたい。

 私はサイクリングは、山なり峠なりを根性で登りきってあとは下るだけどいう安直なものばかりやっており、フラットなコースを同じような速度で巡航して走る、いわゆる一般的なサイクリングはほとんどやっていない。
 だいたい1日160kmという距離も未知の世界だ。体力的に可能かどうかも、じつはよく分からない。
 それで宮古島大会、ぶっつけ本番というのもなんなので、とりあえずはフラットなコース160kmを平均速度25km以上で走れるかどうかの予行練習をしてみることにする。

 ただそうはいったものの、そのようなコース自体が宮崎県北で見つけることが難しい。平地の多い県南と違って県北は山国であり、どこを走ってもすぐ山に突き当たるので、フラットなコースが乏しい。あえて言うなら海岸沿いの国道10号線を宮崎市まで行って帰ってくればフラットで160kmというコースになるのだろうが、あんな車がいっぱい走っている幹線道路を自転車で走る気はさらさらない。

【今回のサイクリングコース】
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 とりあえず宮崎県の地図を見て練習コースを検討する。
 県北ではフラットで長い道は川沿いにしかない。それで延岡からは北川から五十鈴川に沿って宇納間へ行き、それから美郷に抜けて耳川に沿って諸塚村経由で椎葉に入り、椎葉からは国見トンネルを通って五ヶ瀬町に抜け、それから五ヶ瀬川に沿って延岡に戻れば、距離は160kmを越えるし、フラットな道も多く経験できる。これが県北では最良に近いコースのようだ。
 ただし標高700mの国見トンネルを通って、九州脊梁山地を縦断するというルートはよく考えると、フラット主体の宮古島のコースとは似ても似つかぬ気はするが、そこは深く考えないことにする。

【宇納間神社】
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 北方から黒木に抜けて、それから五十鈴川に沿って宇納間神社への平らな道を行く。ここの道路は広くて車も少ないので、延岡近郊の自転車行の好スポットとなっており、延岡のローディがよく走っている。
 宇納間神社がいちおうそのフラットな道の終了点。

【美郷町】
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 宇納間神社から美郷までは和田峠を越えねばならず、ずっと坂を登って行くことになる。和田トンネルを抜けると、このように広々とした風景がひろがっている。

【和田大橋交差点】
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 和田大橋を越えたところで、国道327号線に進路を変え諸塚村を目指す。

【耳川沿いの道1】
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 諸塚村に到る耳川沿いの道は二車線で広く、また車の通行量も少ない。
 道は平らで走りやすく、自転車のためにあるような素晴らしい道である。
 こういう道を走ると、「自転車王国宮崎」とか宮崎県を宣伝したくなる。

【諸塚村】
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 327号線を快適に飛ばして、諸塚村へ到着。
 けっこうにぎわった街で、ベスト電器まであった。
 ここを真っすぐ椎葉村へと進んでいく。

【耳川沿いの道2】
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 国道327号線は諸塚村から椎葉に到る道は緩やかな登り道となり、徐々に高度を上げて行くことになる。
 耳川には巨大なダムがいくつも造られており、なかには建設中のものもある。

【五ヶ瀬への道】
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 下椎葉に入ったところで、国道265線に向きを変える。
 阿蘇~蘇陽~椎葉村を結ぶこの国道は以前は本格的山岳道路で、狭く曲がりくねった難路であったが、今は全域で新道になっており、見違えるように走りやすくなっている。
 ここから400m弱の登り道となり、脊梁山地を越えるべく国見トンネルを目指す。

【国見トンネル】
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 椎葉と五ヶ瀬を貫く国見トンネルに到着。今回のサイクリングではここが最高点である。五ヶ瀬と椎葉を結ぶこのトンネルは1996年に開通したが、それ以前は椎葉村へ到る道はいずれもひどい難路であり、椎葉村はまさに九州の秘境であった。ヤマメ釣りに凝っていた頃、そのひどい道を使って椎葉ダムまで行っていた私としては、隔世の感とまでは言わないが、少しばかりの感慨にふけってしまう。

【国見トンネル内部】
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 その便利な国見トンネルであるが、自転車で通る分にはまったく便利でないことが判明。
 トンネル内は道幅が狭いので自動車は自転車を追い抜くとき、隣の車線にはみ出ることが多いけど、国見トンネルは写真の通り、真ん中にポールを立てて車線を区切っているので、自転車を追い抜くときは走行車線をそのままで追い抜くことになる。普通車ならそれでもいいが、大型トラックなどにギリギリ横を抜かれては、自転車走行者としては命の危険を感じるであろう。
 それで後ろから車のライトが届いたら、すぐに自転車抱えて歩道に逃げることにした。3km弱のトンネル内で追い越した車は二台だけであり、交通量の少なさには救われた。

【五ヶ瀬鞍岡町】
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 怖い国見トンネルを抜けてからはずっと下りであり、そのまま265線を行くと馬見原で218号線に合流することになる。それでは面白くないので、鞍岡町で鞍岡赤谷線に入り、峠を越えてから218号線に合流することにする。

【鞍岡赤谷線(県道202号線)】
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 鞍岡から五ヶ瀬三ヶ所へのショートカットルートでもある鞍岡赤谷線は、峠を二つ越えて行く山のなかの林道であった。
 この道を走ると五ヶ瀬町が山深いところであることがよく分かる。

【笠部トンネル】
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 鞍岡赤谷線の最高点は笠部トンネルであり、ここまでけっこうな高さを登ってしまった。感覚的には国見トンネルなみの標高はあったような気がする。

【五ヶ瀬町】
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 笠部トンネルからは下り道となり、五ヶ瀬町の中心部、雲海酒造やコンビニ、ガソリンスタンドがあるところの交差点に出て、ここで国道218号線に合流。
 ここからは少々の坂を登って行って、津花トンネルに着いたところが国道218号線の最高点。津花トンネルからは熊本方向であろうが、宮崎方向であろうが、どっちに行っても下り基調の道となる。

【日之影川】
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 青雲橋から旧218号線に下りて、五ヶ瀬川沿いの道を走ることにする。
 5月には日之影川には名物のコイノボリが川いっぱいにかけられていた。
 もう日も暮れようとしているが、まだまだ残りは35km以上ある。

 とっぷりと日が暮れたところで延岡にようやく到着。
 168.5kmの道のりを7時間25分にて走破。160kmは無難に越えたけど、平均時速は22.7km。う~ん、あと2.3kmも足りんな。これは宮古島の本番は完走は厳しいか。
 ま、あと1カ月あることだし、ぼちぼちと鍛えていくことにしよう。

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May 01, 2010

登山:傾山・杉ヶ越コース

 祖母傾山系で祖母山に並ぶ盟峰傾山に登ってみる。
 5月初旬はアケボノツツジの旬であり、この山系で最もアケボノツツジが多く生えているのが傾山に到る杉ヶ越の稜線とされているので、そのコースを使ってみることにした。
 杉ヶ越登山口の標高は900mで、かなり高い位置にある。傾山の標高が1602mなので、高低差は700mしかない。だから2時間もあれば余裕で登頂できそうに思えるが、じつはこのコースそんな生易しいものではない。

【登山口】
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 杉ヶ越登山口は、杉ヶ越トンネルのすぐ横にある。
 「このコースは難路であり過去には死者も出ている。初心者の人は他のコースを使うように」というふうな警告が書いている。
 たしかに足を一歩踏み外せば、命を失うようなところが何か所もあるコースなので、十分に気をつけて登ることにしよう。

【アケボノツツジと傾山(1)】
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【アケボノツツジと傾山(2):(1)よりも近付いたところで】
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 稜線に入ると樹々の合間から遠く傾山を見ることができる。
 杉ヶ越の稜線はアケボノツツジの群生がいくつも見られ、そういうところではあたかもアケボノツツジの林のなかを進むような感じであった。

【ハシゴ場】
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 杉ヶ越コースは国体の登山競技に使うために整備されたこともあり、高低差の激しい体力のいるコースである。稜線上には小ピークがいくつも連なり、登っては下り、登っては下りの繰り返しとなる。だから進んでも進んでもなかなか高度が稼げない。この厄介なピークについて、その数は数え方によって諸説あるが、だいたい13から20のあいだのどれか。
 難所々々には写真のごとく金属製のハシゴがかけられているので、さほど技術を要する所はないが、ともかく体力のいるコースである。
 そのきつさから、あんまり人の訪れること少なき静かなコースであるけれど、一年の今の時期ばかりはアケボノツツジを目当てに登山者が多く訪れる。

【岩峰】
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 杉ヶ越コースは登り出して半分くらいのところから出現してくる大きな岩峰群を越えて行くところが核心部。登りの傾斜も急だし、岩の稜線も痩せている。
 しかし眺めは抜群である。緑の松と、ピンクのアケボノツツジが峻嶮たる岩に生えている姿は、あたかも南画の仙人の住む蓬莱山のような姿。登山者だけが経験することのできる絶景である。

【傾山への取付き】
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 いくつもの岩峰を越えて鞍部につき、写真のハシゴがようやく傾山への取付き点となる。ここからは400mの急登を登りつめていくことになる。ハードな登りであるが、そこで稼いだ高度がそのまま傾山への高度になるのが有難い。

【縦走路】
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 登りの傾斜がだんだんと緩くなって馬酔木の灌木が目立つようになるころ、ポンと九十九越えからの縦走路に合流する。
 ここから傾山山頂へは、あと少しだ。

【傾山山頂】
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 九州の山でたぶんもっとも頂上の美しい山、傾山。
 頂上は名石といってよいような形のよい岩が秩序をもって並んでおり、松やツツジも良いバランスで生えていて、天然の日本庭園となっている。かえってかつての茶人達はこの姿を真似て、庭をつくったみたいにも思える。

【アケボノツツジ】
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 アケボノツツジを目当てに登った傾山であるが、稜線上無数にあったアケボノツツジのうち、最も花が美しかった一本を紹介。
 濃いピンクの花を満開に咲かせたこの樹は、妖気を感じさせるくらいまでに、艶やかで美しい姿であった。

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