思い出だけではつらすぎる@中島みゆき
黄砂のせいで中島みゆきの記事を書いたが、またも中島みゆきの話。
なにせ高校時代から大学時代にかけて、月曜深夜はオールナイトニッポンの中島みゆきのDJが何よりの楽しみであった、という、あの時代ならどこでもいたコアな中島みゆきのファンの一員としては、中島みゆきについて何かを書いたら、ついでにもう少し何かを書き足したくなったのである。
といっても私の中島みゆきへの思いを書いても、ただ長くだらだらした際限ない記事になってしまうので、今回は中島みゆきの(私が思う)最高傑作の紹介にとどめておく。
その曲は「思い出だけではつらすぎる」。
元々はドラマの主題歌として、柴崎コウに提供した曲であったのであるが、失礼ながらこの曲を柴崎コウは全く歌いきれてない。せっかくの名曲がもったいない、それを挽回すべくとでも思ったのか、中島みゆき御大が改めて自ら歌った曲は、まさに素晴らしいの一言。
「難しい言葉であなたの居場所を告げないで、探せないから」との冒頭の歌詞から分かるように、この曲は沈鬱な挽歌である。
亡くなった恋人を探し求めて、心を揺れ動かす女性の、狂おしいまでの思いを、あの中島みゆき節でせつせつと歌いあげている。
「思い出だけではつらすぎる」「本当の鍵はただひとつ、永遠にあなたが持っている」と、そこまで思う彼女は、歌詞が示す通り、彷徨い歩いた凍えた海辺で、思い出に心中するべく身を投げる寸前まで思いつめるわけだが、…ここで「大人になりすぎて」との逡巡でそれをとどめる。そして、心を強くして、「思い出だけではつらすぎる」ことこそ自分の心の真実であり、、生きるすべであることを知り、その思い出の辛さと共に行きぬくことを決意する。
この心のドラマを、中島みゆきは完璧に歌いあげており、この曲はそれだけで一幕の見事な劇に思える。
中島みゆきといえば、ふられた女の「恨み節」ばかり歌っているという印象が強いけど、まさにこの曲はその極限のもの。「先に死ぬ」という究極のふられ方をした女の心の衝撃と懊悩とそれからの立ち直りを、素晴らしい歌詞と曲と歌唱で表現した、絶唱としかいいようのない名作。
以下のYoutubeから聴けます。
【思い出だけではつらすぎる】
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