« 鮨@近松 | Main | オリンピック雑感(1) スキージャンプ シモン・アマン賛 »

February 22, 2010

山旅人さんを悼む

 山情報をネットで探っていると、山旅人さんの訃報を知りたいへん驚く。

 山旅人さんは、10年以上も前からネットで九州の山の情報を発信していた人で、山情報のネット発信者として草分け的存在な人であり、有名な人であった。
 山の活字情報というものは以前は雑誌やガイド本で得るしかなかったのだが、それらの情報は登る人の多い日本アルプスや百名山関連のものが大半であり、九州のものは少なかった。
 それが山旅人さんのHPをみると、九州のいろいろな山の一般登山道のみならず、ヴァリエーションルートの記事も載っていて、それを写真とともに丁寧な解説入りで報告してくれていた。それらの多くの記事を読み、このルートは面白そうだと思ったら、私もそれを参考にして、プリントアウトした記事を持って山行したこともあり、愉しい思いをさせてもらった。そういう貴重なHPだったのである。

 私は山旅人さんとは山行での接点はないのだが、「祖母山ボランティア登山」なるイベントで何度かお会いしたことがある。祖母山は九合目に山小屋があって、建て替えした際に以前の小屋の廃材やゴミをそのままにしてひどい状態になっていた。これはいかんだろう、名峰祖母の環境をなんとかしようと、山旅人さんが音頭をとって、九州の各種の山岳会に連絡をして有志を集い、みなでゴミを集めて、そして夜に宴会を行い、翌日は登山道の整備を行いつつ、ゴミを担いで下山するという、イベントを定期的に行うことにした。
 私は山岳会とは関係なかったのだが、その頃はよく祖母山に登っていて、小屋の管理人の快人であり怪人でもあるKさんと、祖母山山稜周囲のあやしげな岩場のルートの開拓を行っていたこともあり、そのボランティアの話を聞いて幾度か参加させていただいた。

 そのときの山旅人さんの印象は、本当の「山登り人」だなあということである。山が好きで、知識をたくわえ、そして屈強な身体をつくり上げた、真に山を楽しむことのできる人であった。リーダーシップもしっかりした人であり、それはこの会を主催できたことや、それにHPでみる山行ツアーでもよく理解できる。

 転勤とかで祖母山が遠くなり、訪れることもなくなったのだが、年に一度のボランティアはまだ続けられていると聞いており、山旅人さんもそこで活発に指揮をとっているものと漠然と思っていた。
 それが今度の突然の訃報である。まだ61歳、早すぎる死であろう。健康そのものという当時の印象が強すぎて、あまりに意外に感じられた。


 山旅人さんのHPはまだ残っており、その素晴らしい内容から、これからも人々を山に誘い続けるにちがいない。
 ただし、今後そのHPに新しい登山ルートの紹介が綴られることはなく、そのことをさびしく思う。

………………………………………
山旅人さんのHP 自然派マガジン山旅人の雑記帳

|

« 鮨@近松 | Main | オリンピック雑感(1) スキージャンプ シモン・アマン賛 »

登山」カテゴリの記事

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 山旅人さんを悼む:

« 鮨@近松 | Main | オリンピック雑感(1) スキージャンプ シモン・アマン賛 »