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February 26, 2010

飲食店全面禁煙の通達が出たそうだが

 厚生労働省が2月25日に、公共空間ひいては飲食店を全面禁煙にするように通達を出したそうである。これについては、平成14年に既に健康増進法というものが出ており、不特定多数の人の受動喫煙を阻止するために、飲食店等では店主が努力しなければならないという法律が成立はしていたので、べつだん新たな法律ができた、というわけではない。
 しかしなにしろ日本という国は、法治国家のくせして遵法精神には問題のある国で、罰則がなければその法律は無視していいと平気で思っている人が多いため、健康増進法はザル法のまま放置されていた。
 けれども今の世の中、海外の先進国は公共の場の禁煙は標準となっているのに、この状況を放置しておいてはさすがにWHOから絶対何かの指導を受けると思った厚生労働省が、何かしなければといけないと、とりあえずあんまり役に立ちそうもない通達を焦って出したということか。

 煙草の問題点は、もちろん受動喫煙による健康被害もあるのだろうが、第一に挙げるべきは、なんといってもひどい悪臭がすることである。とくに食事をとることが目的の飲食店で、そういう悪臭を振り撒く喫煙は、迷惑きわまりない行為である。
 なかでも困るのは、カウンターの店、なかんずく寿司店における喫煙である。
 繊細な香りと味を愉しむ寿司において、店内で煙草を吸うという行為は、まさに毒ガスを撒くに等しいテロ攻撃であり、(本人が煙草まみれの不味い寿司を食うわけで自爆テロ攻撃というのが正しい表現か)、まったくたまったものではない。煙草の煙が満ちた店では、せっかくの美味い寿司も価値が半減どころか4分の1以下になってしまい、たいそう納得いかない思いは、何度もしたことがある。

 もっとも地方においては、真っ当な鮨を出す店は、自分の精魂を込めて握った鮨を煙草で燻されてはかなわないという常識的な判断を行うみたいで、たいていはカウンター禁煙である。熊本、宮崎、鹿児島…美味い鮨を出す店は例外なく禁煙だ。

 ところで、地方と違い都市部では美味い鮨を出す店は接待に用いられることが多い。接待族って、する方もされる方もスモーカーの確率がなぜか高く、接待に使うときの条件に「煙草が吸える」ということが必須になりがちとなる。ゆえにそういう店では禁煙はなかなか実施することはできず、喫煙可の店が多い。


 東京は当然そうであり、有名な寿司店でも喫煙可の店が多い。それゆえ東京で鮨を食うときは、煙が漂うことへの覚悟が必要なのだが、それでも禁煙の店もある。

 その貴重な禁煙の店で、店主より聞いた話を紹介。
 銀座の某寿司店は極上といってよい質の肴と鮨を出すことで有名な店であるが、開店してからずっと喫煙可であった。ある日、常連の人が一人、隣で煙草を吸おうとしている人にこう言った。
 「自分もヘビースモーカーで煙草の美味しさは誰よりも知っている。しかし、この店の鮨は自分がこの世で最も好きなものであり、それを食べることをなによりも楽しみにしている。でもこの素晴らしい鮨に煙草の臭いがあっては価値が台無しになってしまう。だからここでは自分は煙草を我慢している。すまないけどあなたも煙草を吸うのは控えてくれないか」
 これを聞いたとき、スキンヘッドの店主は、「ああ、これは自分が言わねばならないことであった。自分の鮨を楽しみに来てくれた人に対して、そういうことを言わせてしまって、すまなかった」と、おおいに反省したそうである。
 それ以来、その店は禁煙となった。

 喫煙者というものはいったいに想像力が不足している人が多いように思える。
 店では客は大事な存在だろうが、大事な客といえども煙草を吸われて嬉しい店主がいるはずもない。店は汚れるし、灰皿は掃除しないといけないし、ネタにも臭いがつきかねないし、だいたい丹精込めて握った鮨が、煙草の臭いと味とともに食われては、料理人として忸怩たるものを感じざるをえないだろう。

 某寿司店で客が言った「煙草は料理の邪魔をする」との言葉を、喫煙客に言いたい寿司屋の店主は、いくらでもいると思う。
 健康増進法の施行にもかかわらず、客商売の難しさで禁煙に踏み切れない店は多く、今も多数の寿司店は喫煙可なわけだが、自分のつくった料理をわざわざ不味くして食べている客を店主がどう見ているのか、それについて喫煙者は少しは想像力を働かせてみてはいかがなものか。ついでに、その煙に閉口しながら鮨を食べている他の客の思いについても。

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Comments

私も30年前までは喫煙者だったんで、大きなことは言えませんが
たばこを止めてから、和食の繊細さに気が付くようになった気がします。

今では喫煙OKの店には入らないようにしてます。

しかし私らの年代は、まだ喫煙者が多いですなあ。

Posted by: 輝ける黄昏を目指して | March 03, 2010 03:07 PM

昔は「大人の男は煙草を吸うものだ」みたいな常識がありましたからね。その誤った常識でニコチン中毒になってしまい、健康を害しながらも煙草が止められない人がゴマンといるのをみると、このようなものを国家が合法的に売るのはいかんとまじめに思います。
じっさい煙草という商品は今のPL法ではとても認可されるようなシロモノではないわけですから。

ついでにいえば、自転車乗りにとって煙草は御法度ですね。

Posted by: 管理人 | March 03, 2010 07:17 PM

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