洋食:Brosよしむら@熊本市
Brosよしむらは、30年近く前から熊本市で営業しているカウンター式の洋食店である。「chopped beef steak」と名付けられたハンバーグが名物であり、たいそう美味しいのであるが、フレンチ出身の店主のつくる料理は、ハンバーグ以外のものも勿論レベルが高く、素材の良さを生かした、繊細系の洋食が楽しめる。
ディナーはハンバーグをメインとしたコース料理、それにアラカルトを加えて。その数点を。
カニをパートフィレで包み、からりと揚げたもの。
カニの旨みが濃厚になっているのに加え、パリパリしたパートの食感と、カニのしっとりした食感がうまく合っている。
アスパラの豊かな香りがまずよろしい。
味付けもアスパラの味をうまく広がらせ、アスパラの魅力をよく出している。
この店のフォアグラはフランス料理でよく出てくる濃厚系のフォアグラでなく、あっさりした、でも旨みは十分なフレッシュフォアグラ。これを控えめの味付けでソテーにして、柔らかでジューシー、そして香ばしい逸品となっている。
ハンバーグと並ぶ看板料理。
アワビのステーキは、素材もいいけど、オイルも大変よい。
オイルとアワビがうまく調和して、たがいに味を高めあっている。これをパンにつけて食べるといくらでもワインが進む。
Brosよしむらの名物料理、チョップド ビーフ ステーキ。この店はいい牛肉を仕入れており、ステーキがメインで出るコースもあるのだが、やはりこちらを選びたい。
牛肉を刻んで叩いて、それをつなぎ無しで形を整えて、ミディアムに焼かれて出される。少しばかり歯ごたえのある食感ののち、肉汁と旨みが溢れてくる、私たちが今まで食っていたハンバーグは何であったのだろうかと思うくらいに、新次元の食の愉しみを与えてくれる名品。
どの料理のレベルも高く、洋食店としてのBrosよしむらの貴重さを改めて知った。
ところで「Brosよしむら」という店名は、「よしむら兄弟」からきている。
以前はオープンキッチンで弟さんが黙々と調理にいそしみ、お兄さんがワイン片手にほろ酔い加減で軽妙に給仕をするという、なかなかの絶妙なコンビで店をやっていたのであるが、今回はお兄さんの姿が見えない。代わりに弟さんお奥さんが給仕をされている。お兄さんは今日はどうされたのでしょうと尋ねたら、「残念ながら一昨年に亡くなりました」とのこと。ええ~と絶句してしまった。そういえばこの店に来たのもずいぶん久しぶりだもんなあ。
店に置かれている二人の人形像は、この店の兄弟二人をモデルにしたもの。亡くなった今も、お兄さんは店の象徴として在り続けるのだろうが、やはり訃報を聞くと、しんみりしたものを感じざるを得なかった。
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Brosよしむら 熊本市下通り 1-4-19
TEL 096-322-7900
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