冬の大崩山
先週末には寒波が九州にも来て、山間部に雪を降らせた。大崩山にも雪が積もっていることを期待し、冬の大崩山に登ることにした。
午前中さっさと仕事を終わらせて、大崩山祝子川登山口に着いたのは午前11時。車は私をふくめて4台が駐車している。11時から大崩山に登ろうとする者なんて私くらいであろうから、これが本日の入山者の全てであろう。九州を代表する名山のわりには、いくらオフシーズンとはいえ入山者の少な過ぎるなあ。ま、とりあえず本日は静かな山行が楽しめそうだ。
三里河原から見上げる、大崩山の山群の威容。
突兀と空に尖塔を突き立てる小積ダキと、その隣の威圧感あふれるワク塚の岩群は、迫力と美しさを兼ね備え、おそらくは九州本土の山々で随一の景観を誇る。
登山口から30分間歩いて来た者のみが観ることを許される真の絶景である。
山にとりついて急坂を登りあげ、袖ダキ展望台に着くと、このワク塚の素晴らしい眺めを楽しむことができる。
美しい花崗岩の岩峰が、いくつも連なり、積み重なり、岩の塔を造っている。
下・中・上と続くワク塚は基本的には岩の上の稜線を進んでいくのだが、中ワク塚では最後の岩(黄矢印付き)が急峻に切れ落ちており、キレットになっているので、ここでいったん綾線を離れて岩を巻かねばならない。
ロープ張れとはいわないが、支点でもつくってあれば、ロープ持参して懸垂で降りてそのまま上ワク塚まで行けるのに、といつも思ってしまう。
というわけで中ワク塚からは岩を巻くために、うんざりするほど山道を下降して、それから岩に掛けられた金属製の橋を渡り、上ワク塚に登り返さねばならない。
爽快な綾線歩きを離れての巻き道行だけに、あんまり面白いところではない。
山道を登り返して、上ワク塚へと登る。
ここからは奇岩「七日巡りの岩」を眺めることができる。いつ見ても、へんな岩峰である。
上ワク塚に登ったあとは、山頂への道はパスして、りんどうの丘経由で下山することにする。
りんどうの丘にはテントが一つ張ってあり、登山者が2名いた。挨拶をかわすうち、次の沢は凍っていてアイゼンがなければ通過できないよと忠告される。
りんどうの丘からすぐの沢。本来は大崩山綾線の数少ない水場として有名なところだが、見事に凍っておりました。ほとんどice fallですな。
いつもは矢印をつけたところが登山道となっているのだが、そのすぐ下は凍れる滝であり、さらにその下は滑り台のごとく凍った沢がずっと下まで続いている。これはいったん滑って足を踏み外してしまったら、数百メートルの氷の道を一挙に滑り落ちること必定である。
こんなところ、持参した6本爪アイゼンをつけたところで、まともに渡った日には命がいくつあっても足りんわい。私は凍った登山道をダイレクトに渡るのは諦め、滑り落ちても死なないところを探してそこを渡り、それから藪道を登りつめて、元の登山道に合流した。
ワク塚からは小積ダキ側の沢が何本も雪に埋もれているのが見えたので、同じような凍った沢をいくつかトラバースしないといけないのかなと思っていたが、結局凍った沢はこの一本だけであり、なにごともなしに小積ダキを過ぎて、坊主尾根へと入った。
坊主尾根登山道で一番のdangerous pointである象岩のトラバース。ここが凍っていると、けっこう怖いなあと思っていたが、そういうこともなく一安心。
何度来ても、その急峻さにあきれる坊主尾根を注意深く下りて行き、やがて祝子川に出る。ここが坊主尾根登山道の終点地。振り返れば、大崩山がその岩峰を輝かせていた。
登山口に着いたのは午後4時。ちょうど5時間の山行であった。
山道よし、岩よし、川よし、眺めよし。いつもながらの充実した山登りを楽しめる大崩山であった。
宮崎の宝というより、九州の宝のような山である。
「登山」カテゴリの記事
- 森の貴婦人に会いに行ってひどい目にあった話(2020.06.27)
- 令和2年5月 宮崎のアケボノツツジ(2020.05.10)
- 地球温暖化を実感する @冠山~寂地山登山(2020.02.23)
- アクロス山に登ってみる@福岡市(2019.11.16)
- 滝で涼みに日向冠岳へ(2019.07.06)
The comments to this entry are closed.
Comments