晩秋の京都
日本で最も観光客の訪れる地京都の秋のオンシーズンは終了間際。
多くの名勝地の大半で紅葉は散っており、樹々は初冬の装いとなっている。しかし、京都とは広いところであり、そんななかでもまだ紅葉の見頃の地がいくつか残っており、今回はそういうところを訪れた。
京都といえば、どうしても嵐山や東山などの有名どころを訪れることが多かったが、今回はそういう事情なのでややマイナー系統の地をまわることになった。その結果今まで行ったことのなかった地を初めて訪れることになり、改めて京都の深い魅力を知ることができた。
城南宮は平安時代に鳥羽離宮があったところ。
蕪村の名句「鳥羽殿へ五六駒いそぐ野分かな」の鳥羽殿である。静かな境内の風景も、かつてここに承久の変の時に数千騎の武士が集まった歴史を思うと、また違ったものに感じられてくる。
豊臣秀吉の「醍醐の花見」で有名な醍醐寺。
花見のころの桜はさぞかしきれいだろうけど、紅葉もまたきれいであった。
朱塗りの橋と弁天堂に紅葉、それが池に姿を映し、あざといくらいに見事に決まった風景である。
今回の京都行きは紅葉とともに、青蓮院の青不動を観ることが目的であった。
造形の見事さと色の美しさで圧倒的魅力を誇る国宝青不動。この傑作は青蓮院の秘宝であり、寺の創建以来今まで開帳したことはなかったのだが、なぜかは知らぬがこの秋に一般公開することになり、そうなるとこれを逃すともう観ることができなくなる可能性が高く、是非とも観ねばならない。
…青不動はたしかに素晴らしい仏画であった。ただし人が多すぎ、もっとじっくり観たかったなあ。
紅葉見物は青不動のおまけであったが、予想していたよりは紅葉は残っていて、これはこれで十分に訪れる価値のあるものであった。
左京区では紅葉の残っているのは曼殊院のみということで訪れたが、あんまり紅葉は残っていなかった。
この美しい庭は小堀遠州作と伝えられている。廊下に腰をおろしてじっくり見たくなる名庭であるが、そう思う人は多いようで、座ってはダメとの張り紙があった。
曼殊院は、全然知らなかったのだけど、黄不動(レプリカ)があった。有名な赤・青・黄の三不動のうち、二つを観てしまったわけで、ならば赤不動もついでに観に行こうかなとふと思ったが、残念ながら赤不動は高野山にあるので、あまりに遠い。
マイナーなところばかり訪れたが、夜の紅葉ライトアップは、超ビッグネームの清水寺へと行く。
産寧坂を登りきると、一条の太いビームが夜空を突っ切っており、そのもとに三重の塔が鮮やかな朱色に輝いている。ド派手な演出。
清水寺といえば、この「清水の舞台」。
ライトアップされた紅葉、闇に浮かび上がる巨大な本堂、その背後の京都の街の夜景。
なんとも荘厳なものを感じる光景である。
昨年の秋の京都のライトアップは、高台寺を訪れた。
清水寺の雄大な夜景に比べ、高台寺は繊細にして精密な夜景をつくっており、とりわけ輝く紅葉が池に映る幻想的な風景はたいそう美しくて、強い印象を受けた。
京都は観光地の本家本元であって、自分たちの魅力を演出する術に長けている。
ライトアップは幾つもの寺社で行っており、主だったものを観るためには、数日の宿泊が必要であろう。いつか、じっくりと時間をとって、秋の盛りの京都を訪れてみたいものだ。
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