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November 14, 2009

登山:晩秋の九重黒岳(男池~ソババッケ~黒岳)

 九重連山のなかで紅葉の最もきれいな山は黒岳である。
 この山は人の手の入り過ぎた感のある九重のうちでは例外的に自然林が豊富に残されており、四季ごとに美しい装いをみせてくれる。
 紅葉の時期となり、その黒岳に登ることにする。ただし、11月第2週は低気圧のせいで、大雨は降り、強風は吹き荒れ、全国的に紅葉は吹き飛ばされてしまった。おかげで、紅葉は期待できそうにないが、まあ名残くらいはあじわえるであろうと、めげずに黒岳へGo。

【男池登山口】
Entrance

 黒岳の登山口である男池からstart。見ての通り、紅葉は樹々にわずかに残っているのみ。一番標高の低いところでこの具合なら、ここより上は紅葉はまったくないであろうと思われる。

【登山道1】
1

 黒岳への登山道は自然林のなかである。葉はわずかに木の枝にまとったもの以外は、すべて地に落ち、積もっている。林の地は落ち葉だらけで、落ち葉の絨毯みたい。これはこれで、味のある光景だな。樹々の葉が落ちていることから、風景の見通しもよくなっていて、青空と晩秋のくすんだ色の山が鮮やかに見える。

【登山道2】
2

 歩くうち、とある林で風景が急に変化する。落ち葉がすべて黄葉であり、木漏れ日を浴びて、地が黄色く輝いて、あたりの空間も黄色に染まってみえる。なんともふしぎな雰囲気の林。

【登山道3】
3red_leaves

 落ち葉が山道に吹きだまりのように集まっていて、黄・茶・赤と色彩コントランス豊かな道となっている。この落ち葉もすぐに風に散らされ、そして土に還っていくのだな。

【ソババッケ】
5sobabakke

 登山道をいったん登りきったところが、湿地帯の山窪である「ソババッケ」。昨日までの雨のせいで、小さな池ができている。
 「ソババッケ」という妖怪のような変な名前は、じつはやはり妖怪から来ている。ソババッケは名前から想像つくように蕎麦から化けた妖怪で、人里離れた山間の平地で、蕎麦の種を撒いて、自分の仲間を増やすことを生業としている。その妖怪ソババッケが最もよくいるところが、なにを隠そうこの九重の山窪ソババッケで、いまでも運がよければ雨あがりのあとなど、樹々のあいまから現れ、ひょっこりひょっこりとはねながら、地に蕎麦の種を撒いているソババッケの姿を見ることができる。
 
 …と、ここでヨタ話を止めてしまうと、私のブログが、ソババッケ=妖怪説の発祥の地となってしまうなあ。
 今の検索エンジンは性能がいいので、ソババッケの意味を知ろうと検索したら、私のブログのような超マイナーなものでも容易にひろってしまう。そうなると、なかにはソババッケ=妖怪説を信じる人がいたりするかもしれない。いたとして、なにが困るというわけでもないが、まあ、いちおうソババッケの語源について、妖怪説以外のもっともらしい話も、ついでに書いておこう。

 南九州は、北海道や東北とならんで、縄文時代の言葉が地名に多く残っているところである。ソババッケもそのたぐいで、「ソバ」は山の中、「バッケ」は急傾斜くらいの意味。あわせて、山の中の急傾斜(に囲まれた)地という意味になる。
 この、人もたいして訪れることもないような、でも独特の雰囲気を持つ山間の小盆地が、何千年ものあいだ名前を持ち続けていたのは、感慨深いことに思える。
 なお地名から誰でも関連して考えるであろう「蕎麦」については、こんなじめじめしたところで蕎麦を育てるのは無理であろうから、まったく関係ないと思われる。

【黒岳への登山口】
6road

 ソババッケからは黒岳のほうへの道を行く。岩がごろごろした悪路を行きながら、徐々に高度をかせいでいく。途中で、トレーナーに運動靴、ザックなしという、山をなめているとしかいいようのない格好の5人組とすれ違う。こういう人たちって、じつはすごい達人か、あるいはド素人かのどちらか一つなんだろうけど、まあ後者でしょうな。
岩場がおちつき、ちょっとした広場に出ると、そこからが黒岳への取り付きとなる。
 この登山道は、なんでこんな直登ルートにしたんだろうと不思議に思うくらいに、急傾斜をまっすぐ登っていく。足場も岩と砂利だらけで悪く、山慣れしていない人は、ところどころに親切に設置してあるロープを使わねば、登るのは大変であろう。

【高塚山】
Mttakatsuka

 黒岳は複雑な形をしている山だが、いちおう高塚山と天狗の二つの峰から成り立っていうことになっている。
 高塚山はミヤマキリシマが生い茂っている灌木の多い山。ミヤマキリシマの咲くころはさぞかし美しい山となっているであろう。

【天狗遠景】
10_takatsuka_view

 高塚山山頂より、黒岳のもう一つの峰である天狗を望む。
 天狗は高塚山とまったく異なり、岩を積み上げてできたような岩塔の峰である。

【天狗近景】
11tengu_near

 天狗は山頂まで登山道は続いているとはいえ、登るのに岩登りの感覚が要される。
 赤ペンキを見つけながら、ルートを確実に拾って登っていきましょう。

【天狗山頂】
7tengu

 山頂は岩だらけで、山頂とされている岩にたどりつくには、いくつもの岩を越えていかねばならない。
 さて、登頂を「その山の一番高いところに立つこと」と定義すると、黒岳の天狗は登頂がかなり困難な山である。まず第一にこの山頂の岩、まっ平というわけでなく、この岩に立つにはそれなりのバランス感覚が必要だ。しかもこの岩の向こうは断崖絶壁であり、落ちると確実に命がなくなるので、立つにはかなりの度胸がいる。というわけで、この天狗では登頂の記念写真は、たいていは岩の前に立った姿で撮ることになる。
 私とて、この岩の上に立ったことはない。
 Webで黒岳の登山記事を検索すると、天狗の岩に立った登頂記念写真がUPされたものがあるが、すなおにすごいと思う。

【天狗山頂2】
8tengu_sumitt

 なお、天狗の登頂が困難な、第二の理由。
 山頂とは「その山の最も高いところ」であるので、じつは天狗の岩は、真の山頂ではない。(はず)
 山頂部にあるいろいろな岩のうち、天狗の岩より高い岩が一個ある。写真で赤矢印をつけた岩であるが、左端に写っている天狗岩とくらべ、どうみても、どこからみても、こちらのほうが高い。しかしこの岩、見てのとおりとんがっており、これに立つのは、天狗の岩よりさらに困難と思われる。
 以上のような理由より、黒岳天狗は九州でも有数の登頂が困難な山といえる。

【男池】
Oike

 高塚山、天狗とめぐり、黒岳登山を終え、もと来た登山道を戻って下山。
 帰りは男池によってみる。
 数年前に訪れたときに比べ、台風の災害の影響か、ずいぶんと姿・形・施設が変わっているようだが、湧き出る水はあいかわらずきれいなものであった。

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