映画:2012
映画界において、毎年何本は必ず作られる「地球滅亡もの」。それは、このジャンルの映画を好む人が多いということだろう。もちろん私も好きである。
その滅亡ものを、あのエメリッヒ監督が撮ったからにはぜひとも観らねばならない。それはもちろん大画面で観るべきであり、映画館へと行った。
それで感想だが、滅亡ものの映像に関しては、この映画で終止符がうたれたのでないだろうか。
滅亡ものは、要するに私たちが今暮らしている地球の文明が壊滅していく姿、その迫力がウリなのだが、これほどの大迫力ある壊滅の画面を、今後上回る映画がつくられることは、到底無理に思える。
ロスアンジェルスの街の地面が崩れ、建物が、道路が、街路樹が次々に倒れ、粉々になっていくリアルな映像。そしてロスアンジェルス全体の地盤が傾き、そのまま街が海になだれ込んで、沈んでいく、絶望的なまでに悲愴で、しかし美しい光景。
これらの凄いVFXの作成には、いったいいくら費用がかかったのだろう? 途方もない額であることは間違いない。
物語の前半は、その地球崩壊の姿をこれでもかこれでもかと連ねていく。ブラジルのキリスト像の倒壊、サンピエトロ寺院の崩壊、等々。
人々は突然訪れた世の終末に狼狽し、右往左往するのみなのであるが、そのなかでただ一人、世の終わりを歓喜して迎える男がいる。
彼、チャーリーは独自のルートで極秘情報にされていた地球の崩壊を知り、その情報を私設のアングララジオ局を使って世界に発信している。彼は世界が終わる日、その終末がいよいよ始まる場所、世界最大の火山イエローストーンへ行き、火山の大爆発に大地が焼かれていく姿を、リアルタイムで実況中継する。「こんなすごいものを見て、それを最初に実況するのが俺だ。俺の名前、チャーリーを記憶してくれ」てなことをマイクに叫びながら、やがて溶岩の激流に飲み込まれていく。
この地球の滅亡を狂喜して迎え、滅亡の魅力を発信していく滅亡オタク、彼こそエメリッヒ監督その人であろう。
じっさいのところ、いつかは必ず地球が迎える地球崩壊、それは地球の歴史のなかで最大のイベントであり、それを見ることができるのは、貴重な機会であり、大きな感慨をもたらすことは間違いない。
この映画を観て、そう思った。
そして、私とて、明日地球が滅びるのなら、わけもわからず倒壊していく建物に飲まれるよりは、地球が崩壊していく大悲劇を俯瞰できるようなところで、地球とともに滅びたい。
もしその日が来たら、チャーリーの尻馬に乗って、一緒に騒ぎながら、愉快(?)に、そして厳粛に、母なる地球との滅亡の時を迎えたいものだ。
2012(2)へ続く
2012年 公式サイト
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