落ち鮎@延岡水郷やな
落ち鮎というものは、美味しいといえば美味しいし、美味しくないといえば美味しくない、人によって好みの分かれる微妙な食材である。
私の先輩に鮎の好きな人がいて、何年か前に鮎の名産地である球磨川沿いの地方都市に赴任することになった。当然、和食店で出る鮎を楽しみにしていたのだが、そこの店の人に「極上の鮎が入りました。どうですか」と言われ、それは是非ともと頼むと、一尺近い落ち鮎が出てきて、?と思った。なにはともあれ食べてみると、大味でパサパサの身の、香りも乏しい、自分が好きであった「鮎」とはまったく異なる魚であり、これが極上の鮎とはぜったいに何かの間違いだと思った。しかし、その後どの店に行っても、「いい鮎」がありますと言われたとき出てくるのは定番のごとく、妙に太った落ち鮎であって、閉口することしきりであった。どうやらその地では、いい鮎とは、大きな落ち鮎であるらしかった。
以前会ったときに、そういうことを私に話し、あそこはこんなでかい鮎ばかり食わせるろくでもない所だぞ、と両手でサイズを示しながら力説していたが、まだそこに住んでいるのでそれなりに気にいってるのであろう。
私も鮎は初夏の瑞々しい香り高いものが一番と思っているけど、落ち鮎のほうを好む人も多いみたいで、私の職場では10月に鮎やなが立ち、落ち鮎のシーズンになったのちに、鮎の宴会を開くことが定例となっている。
鮎やなは10月から12月まで立って、落ち鮎を収穫している。昨年まではこの店のすぐ前の瀬に鮎やながあり、そこで取れた鮎を出していたようだが、今年は採算の面から(鮎やなは架設するのに1千万円くらいかかるそうだ)鮎やなは立てられず、他のやなで取られた鮎を生簀に入れて、それを供している。
落ち鮎のための期間限定の建物だけあって、こういうプレハブ仕立ての建物。味があります。
これが出てきた落ち鮎。塩焼きと味噌焼き。それぞれオスメスがセットになっています。
骨を抜いてかぶりついてみると、…卵がたっぷり入っており、大きなシシャモのような食感だな。鮎本来の繊細な味は失われてしまっているけど、このジャンキーなテイストは、ビールのツマミとしては、なかなかのものと言えよう。
職場の宴会ゆえ、10月から延岡に異動してきた見習の新人が2名いる。
鮎の名所延岡に来たからには、鮎の食い方は覚えておけと、鮎の骨の抜き方を教える。最初は途中で骨が折れていたけど、4匹もあるので、4匹目くらいにはきちんと抜けるようになった。これで彼らも立派な延岡人。
6月の解禁から鮎を食ってきたけど、そろそろ今年度の鮎は食いおさめ。
11月からは、…やっぱり河豚だな。
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